アポロの正体
「ケロナ!!」
私の叫び声と共にキィアがアポロに攻撃を開始しました。
「【ブレイク・ソード】!!」
「おっと危ない」
彼は勇者の攻撃を簡単に躱してしまうと、次に焼かれ続けている【大帝】の方を見つめました。
「後は...」
彼はそう呟くと【大帝】に向かってダッシュし、炎の中でレイピアを振り回しとどめを刺す!
「アポロ...」
「おやすみください【大帝】様、貴方様と【次元龍】様の戦いをここで終わらせる訳には行きません、僕が貴方方2人の力を受け継ぎ、相応しい舞台を再び作りましょう」
その言葉に【大帝】は絶句していた。
「再び...だと?」
「ええ、素晴らしき【次元大戦】をこのような形で終わらせてしまうのはあまりにも惜しい、今度はこんな下等な存在達に足元を掬われないよう気をつけてくださいね」
「フィナ...」
「貴方様も最後の断末魔がソレですか、そんなに大事だったんですか? あんな人間如きが」
【大帝】の心臓を突き刺し、彼がこちらに振り向く。
【最強パーティ究極魔法】の炎の中を平然と歩きながら私達にお辞儀をしてきました。
「失礼します皆様、僕は本日限りを持ちまして名をアポロ改め【次元大帝ファウスト】に変更させて頂きます」
その言葉に皆が驚愕する。
「ファウスト...? 貴方は確か私達が倒したはず!!」
「そうだそうだ! 俺もちゃんととどめを刺したぜ!」
エリーゼとキィアがそう声をあげるのだが、そんな彼女達を見てアポロ(ファウスト)はふっと笑う。
「あの程度の実力で【炎帝】な訳が無いでしょう、僕こそが本物の【炎帝】ファウストでしたからね」
「なに〜!?」
「何ですって!!」
今日1番の驚きを見せるキィアとエリーゼの表情に苦笑し続けるファウストなのでした。




