【大帝】と【魔女】
「待って」
その言葉に【大帝】は動きを止める。
「誰?」
「フリーズ様、アルフィです」
そう言いながらお辞儀をするアルフィに【大帝】は首を傾げる。
「アルフィ...?」
「はい、アルフィです」
ジロジロとサラの姿をしたアルフィを見た後に笑い出す【大帝】
「貴方がアルフィ? ただの小さな小娘ではないの?」
「...お気づきになられませんか、それも仕方ありません、今の私は貴方に仕えていた時の【悠久の魔女】ではありませんから」
その言葉に【大帝】はピクリと反応した。
「【悠久の魔女】...、その名前を知っている所を見るに貴様はアルフィ本人のようね...」
彼女は何やら懐かしむようにアルフィの事を見据えている。
しばらく2人が見つめ合った後にアルフィから切り出す。
「【大帝】フリーズ=ディスティア様にお願いがあります、この侵攻を今すぐに止めて【帝王】の国へとお帰り下さい」
突然そんな事を言われた彼女は渋い顔になりながらこう返してきた。
「悪いけれど盟友である貴方の頼みでもそれはできない、それにあくまでも盟友だったのは生前の貴方で今そこに立っているのは人間のサラっていう小娘だよね? 私はフィナを殺したこの世界が憎い事に変わりはない、私は【大帝】フリーズ=ディスティア、その名を冠する者の気分を害したこの世界こそが悪!」
彼女がそう叫んだ瞬間から急速に周りの温度が低下した。
「【殺す】」
そう呟いた瞬間に【大帝】の指先から氷の弾丸が放たれる!
「「「「「えっ...?」」」」」
キィアレイナエリーゼプラルポニーはただただ声を漏らすのみだが、我とアルフィは動いていた。
「【砂鉄壁】!!」
「【聖女の大加護】!!」
我の放った砂鉄による外壁がアルフィの加護によって強化される。
圧倒的硬度を持った砂鉄の壁ではあったが、それでも奴の放った小石程度の弾丸は我とアルフィの合体技を貫通してきた!
「チッ!!」
幸いな事に弾速はかなり落ちていたので我が刀を振るい下にへと叩き落とす。
すると...!
「全員ぐずぐずするな!! 飛べ!!」
我の言葉と共に皆が上空へと飛び上がる。
それと同時に先程まで我らがいた足場の全てが瞬間凍結した。
皆は我が作って置いた砂鉄の雲の上に避難したお陰で助かってはいる。
「あのままあの場所に立っていたら全員氷像だったな」
我の言葉に仲間全員がゴクリと息を飲んだ。
そう、今から我らが相手にしようとしているのは【帝王】の王【大帝】なのだ。
生半可な覚悟で撃破できる相手ではないと言う事を皆が実感した瞬間なのでした。




