無傷
我が【雷帝】を討ち取ると拍手が鳴り響く。
「流石は【次元龍】様、見事な腕前で...」
そこにはアポロが無傷で立っていたので不信感を覚える。
「アポロ...、我はお前を守っていないぞ? なぜあの海の中を無傷でいられたのだ?」
そう、彼の事は途中から放置していたのでその辺で野垂れ死んでいるとばかり思っていました。
それなのにあの電撃が荒れ狂う海の中でさえこいつは無傷で生還していたのです。
そんな我の言葉にアポロはこう答える。
「運が良かったんでしょうね、僕の方に電撃は襲ってきませんでしたから」
(あれだけ波打っている電撃がこいつの周りにだけ行かない事なんてあるのか?)
そんな事ある訳がないと思いつつも、実際こいつは無傷でこの場所に立っているのがその証拠と言えるでしょう。
「...なんか怪しいな」
ジロジロとアポロの姿を見つめる我に彼はこう呟いた。
「そんな事よりもどうやら今ので全ての【帝王】を倒したみたいですよ」
「お前に言われなくても分かっている、この体も一応奴らの【眷属】だからな」
「それは失礼、では今度こそ【大帝】様の場所へと【次元龍】様をご案内しましょう」
我は目の前にいるアポロと言う不思議な男に警戒しながらも、道案内をさせるのでした。
 




