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弟子と師匠VS【聖帝】⑥

「...」


 無言のまま焼け続けるラグネルを見ている師匠に声をかける。


「アルフィ様...なんですよね?」


「...レイナ」


 彼女は私の方を見て静かに呟いた。


「そうだ、この体はサラの物...、いや私の新しい姿といっても過言ではない、なぜなら本当に私はこの世界で転生を果たしているからだ」


 私はそんな事はどうでもよかった。


 ただただ彼女に頭を下げて詫びを入れる。


「すみませんでした、私は貴方の弟子なのに、あんな奴らに不意を突かれ貴方を危険に晒してしまった、何度謝っても足りませんが謝らせてください、本当にすみませんでした」


 私の言葉に彼女はこう答える。


「別に良いんですよレイナ、私は貴女の師匠ですから、弟子の身を保護するのはある意味当然です」


「ですが、それで貴女は処刑されてしまった!」


 私は次々とあの時に起こった事を口にし、涙を堪えられなくなってきました。


「あんな町の為に私が薬を配布しなければ、貴女が死ぬことは無かった、全て私の責任です」


 自分を責める私に彼女は言いました。


「レイナ、それは違いますよ」


「...えっ?」


「人の為になる事を率先してやる事は良いことです、あの時の貴方の行動は何も間違ってはいませんでしたよ」


「...でもっ!!」


「でもっ!! じゃありません!」


 空中に浮きながら私の頬をパチンと叩いてくる師匠。


 じんわりとした痛みが頬を刺す中、彼女は静かに微笑みながら言いました。


「大丈夫ですよレイナ、私はあの後確かに火刑に処されましたが、ある意味あれは天寿だと思っていますし、あの時の私は本当に疲れていたので死に場所を求めていたのだと思います」


「...」


「それにですよ、これはサラとしての記憶ですが貴女の成長した姿を見られて本当に感動していますし、新しいこの体も悪くありません、だから気にしないでください」


 優しい言葉の数々に私は涙が溢れでる。


「...ししょう」


「レイナ...、貴女ももう大人なんですから、こんな事で泣かないでください」


 そう言いながら私の涙を手で拭ってくれる師匠の手は小さくても暖かい。


(...師匠の手だ)


 それは彼女が転生してもいても変わらない。


 弟子と師匠の絆の様な物がそう感じさせているのでした。

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