【次元龍】と【大帝】
【大帝】の攻撃を躱した我は反撃に出る!
「楽しいな!! フリーズよ!! 主との戦いは実に血沸き肉踊る!!」
「そう? 戦いなんて結果を出す為の行為なだけでしょ? ただどちらが強いのかを出すために1番合理的なのが殺し合いってだけ」
彼女はそう言いながら冷静に我の攻撃の全てに回答してくる。
砂鉄攻撃には水による反撃、瘴気による弱体化には超反応による回避で避けられている。
瘴気を避けられるのは本当に意味が分からないのだが、どうやら【大帝】には見えるらしい。
そうでなければ弱体化しない理由にならないしな。
砂鉄による攻撃も瘴気も効果がない相手にはアレしかないだろう。
ある程度の攻防を繰り広げた後に彼女はあくびをしながらこう呟いた。
「何度も言わせないでよ、私にはもう貴方と戦う理由はないの」
「...そうか、だが我にはあるのだよ」
笑みを浮かべてそう呟く我を見た彼女は首をかしげる。
「そう?」
「ああ...、我は我を呼び出した者の敵を全て滅ぼす為にこの地に召喚された...、つまり何年経過しようが我はいずれ主を倒さなくてはならない宿命にあるという訳だ」
「...」
初めて彼女が我の話に興味を持った様で話が返ってきた。
「そう...、昔の私と同じ状況のままなのね貴方は...」
「...そうだな、主は我を異次元へと追放した事でその任から解かれているのだろうが、我を繋ぎ止める【契約】と言う名の楔は依然として我をこの地へと再誕させた」
「...」
「...」
束の間の沈黙。
お互いの合間には微妙な空気が漂い始める。
「長い時の末に私の【眷属】達も何にかが貴方の方に寝返ったようね」
「何を突然、我は貴様の【眷属】共になど興味はない、今の我にあるのはそう、貴様との最終決着、それのみを望んでいる」
「いえね、私についてきていたはずの子達がこんなにも貴方の方に寝返るなんて思っても見なかった光景がこの城を囲んでいるから少し驚いちゃっただけ、それに【帝王】達がいるからあの子達はその内全滅するでしょうしね」
「分かっているのならば良い、今はこの戦いに集中しろ、我を失望させるな【大帝】よ」
我の言葉に彼女はほんのりとした笑みを浮かべる。
「そうね、もう充分楽しんだしそろそろ本番と行きましょうか【次元龍】」
お互いの総称を口にし合う。
それは互いの力量を認めていると言う証。
ここから先は勝者のみが立つ事を許される覇道。
願わくばこの戦いが誰にも邪魔されないことを願わん。




