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女性差別の国⑨

 私が外に出てみると息を切らしながら私の方に向かってくる人影がありました。


「はぁ...はぁ...、やっと見つけた...」


 息を荒げながら肩で呼吸をしている茶髪の少女を見た私はすぐさま背中を向けて歩き始める。


「ちょ...ちょっと待てって...」


 なんて言われますが待つ気はありません。


「冒険者なんてやってないでお父さんとお母さんの所に帰りなさい、あなたくらいの歳の子がこんな危険な仕事をする事はないんだから」


 私がそう呟くと彼女は言いました。


「わたしにはもう父さんも母さんもいねぇよ...、だからこうしてあんたに頼み込んでんだ」


 その言葉に私は歩みを止める。


「...どう言う事?」


 少しは興味が湧いたので彼女の話を聞いてみましょうか。


「言ったままの意味だ、私にはもう帰る場所も家族もいねぇ...、あんたがさっきのしてくれたアカギ組に両親とも殺されたんだ、私の家系は代々アカギ組に属していた傘下の者だったんだが親父がヘマをして抗争で殺されちまったんだ、親父が死んで私と母さんは2人暮らしを始めたんだが、この国での女性差別っぷりを身に染みて知っている母さんはこの国から逃げようとしたんだけど途中でアカギ組の奴らに見つかって拷問されて死んだ、分かるか? 散々尽くしてきたアカギ組に裏切られた私達家族の恨みが!」


 迫真の表情でそう言ってくる彼女を見て私は言いました。


「なら復讐するのか? 悪いけど私は手を貸さないよ? そんな事をするほど暇じゃないんでね」


 そう言い捨てて去ろうとした瞬間に彼女は言いました。


「別に手を貸してくれなくて良い、勝手にあんたの旅についていって技を盗んでいつの日かアカギ組を自分の手で壊滅させるつもりだから、あんたの旅にただついて行くだけだ、それなら文句ないだろう?」


「...勝手にして、ただし私はあんたの都合に一切合わせるつもりはないからね」


「分かってるって!」


 おかしな道連れができましたが、町を出るまででしょう。


 町を出たら速攻で振り切ってやると自分に言い聞かせてそそくさと歩き始めるのでした。

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