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第七話 少年達と7人のエルフ熟女の奇妙な道行き ~初めて接するエルフ達の真実の姿~



 「・・・あ、あの・・・貴女達はブルータル・デス・エルフなのですか?」


 生まれて初めてエルフという種族を目にしたマグリスが恐々と尋ねる。

 彼が国元でパンフレットや印刷物で目にしていたエルフは恐ろしい黒い眼をした凶悪な容貌で、狩ったヒト族の頭蓋骨の一部をアクセサリーとして鎧に飾っているような残虐な者共だった。


 ・・・・彼は今、自分の目の前に現れたエルフ達があまりに美しく、そして優しい表情をしていることに面食らっているのである。



 「ふうっ・・・ブルータル・デス・エルフ・・・貴方達もそれを信じ込まされているのね・・・」


 「し、信じ込まされているって?・・・・それは一体どいう・・・」


 マグリスだけではない、セリオンや他の少年達もその言葉の意味に頭を捻る。


 「まあ、その話は後でもいいわ・・・・みんなもう何日も食べていないんでしょう?私の村に案内するわ・・・空腹で歩くのは辛いでしょうけどあと数日、我慢してちょぅだい」


 「・・・は、はい・・・」


 「わかりました・・・シセラさん・・・」


 セリオンとマグリス以下、30人の少年達はどこかホッとした顔でエルフの女達に従って移動を始める。



 ・・・・驚いたことに大軍と思えたエルフ達はたったの7人、しかも全員女性だった!


 しかしこの場合、戦力は「数」の問題ではない、7人対30人でも到底勝ち目はない事は少年達全員が身に染みて理解していた。

 少年達はエルフ族に降伏したことを恥だとは思わなかった、おそらくあのまま戦闘を始めていたら、今頃全員が屍となって地面に横たわっていただろう。

 降伏したことは決して間違いではなかった・・・皆が心からそう思った。



 7人のエルフの美女達に取り囲まれ、武装解除された少年達が列になって歩き出す。



 ・・・・あのシセラさんっていうエルフの族長・・・綺麗な人だな・・・


 セリオンは歩きながらチラチラと彼女の美貌を眺めウットリとする。

 ヒト族の女性でもこんなに美しい人は見たことがないし、彼が今まで会ったエルフ族でもこれほどの最高の美をたたえた女性は皆無だった。


 ・・・思わずセリオンの心臓の鼓動がトクトクと高鳴り、頬に赤みが差す。



 一方のマグリスも、自分の隣で真面目くさった顔で前を見て歩いているエルフの女性の横顔をボンヤリと眺めていた。

 シセラにキビキビと付き従っていたそのエルフ女性は部隊の副隊長か、シセラの腹心の部下といった立場なのだろう。


 彼女はヒト族の年齢でいえば二十代後半だろうか、7人の女性達の中では比較的若く、エルフ特有の透き通るような美しい肌が美しいグラマーな女性だ。

 シセラに勝るとも劣らない巨乳!色白でちょっとポッチャリ目の彼女は、今まで恋をしたこともないマグリスの心臓を早鐘のように高鳴らせる。


 ・・・これは後で聞いた話だが、彼女はゾラという名の280歳・・・ヒト族で言えば28歳ほどの女性であった。


 マグリスは、凶暴で醜悪だと刷り込まれていたエルフがこんなにも美しいことに戸惑いを感じていた、それは種族は違えど、端的言えば異性に感じる「オンナ」としての魅力・・・有体に言えば「セッ〇スアピール」だった。



 7人のエルフと30人の少年達は、なんとか2日間歩き続け、険しい断崖絶壁を超えてエルフの隠れ里へと向かった。

 彼女達は衰弱している少年達には薬を与え、皆に自分達の水や食料を等分に分け与えて励ます。


 ・・・それはエルフ族を「征伐」にきた少年達からしてみれば、自分達の価値観が崩壊してしまうほどの驚きだった。

 美貌のエルフたちと少年達の間にはいつの間にか温かい心が通じ合った。


 ・・・無垢な少年達は気持ちの切り替えも早い・・・昨日の「敵」ではあるが、そんなことにこだわる者など一人もいない。

 最初はエルフに激しい敵愾心を抱いていたマグリスさえも、今はすっかりこの優しいエルフ達に親しみを感じていた。



 「・・・さあっ、やっと着いたわ!みんな本当によく頑張ったわね!」


 三日目の早朝、この不思議な一行はエルフの隠れ里、ドミネ村へと到着した。


 ・・・これじゃグラムニア王国軍がいくら探しても見つかりっこないや!・・・


 セリオンは思わずため息をつく。

 エルフの村はヒト族が足を踏み入れないような断崖絶壁を超え、さらに鬱蒼とした密林に囲まれた、ほとんど外部から隔絶した場所にあったのだ!


 エルフの女達が疲れた少年達を励まし村へと入る・・・村への唯一の入り口は非常に狭く、ツタに覆われて巧妙に擬装されてはいたが、一歩中に足を踏み入れると広大で、まるで別世界のような光景が広がっていた。


 それは絵で見る理想郷(ユートピア)のような村であった!






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