表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/150

強くて、綺麗な

朝ごはんを食べ終わった私は、バイトの支度をした後、洗濯物を干した。

バイトに行く時間になったので出発する。


「それじゃ、陸さん、行ってきます。」


「色々ありがとね。いってらっしゃい。」


あれから陸さん、元気がなかったな…。


葵、気を使ってたな。

もう何年も前のことなのに…。やめやめ!ちょっとランニングでも行こう。

頭を切り換えるため、私は走ることにした。私は気分転換によく走っている。走ると気持ちが良いんだよね。



15時30分。葵は陸の部屋の前にいた。

ふう…普通通りに普通通りに…


【ピーンポーン】


…ガチャ。「おかえり。お疲れ様、葵。」


いつも通りの笑顔だ。


「ただいま。」


中に入ると、陸は、「自由にくつろいでね。」と言うと机に向かった。


あ、いつも机に出てる教科書で勉強してる。そう言えば私、陸さんのこと何も知らないな。聞いてみよう。


「陸さんって社会人じゃないんですか?何でいつも教科書で勉強してるんです?」


「うん。私は働いてるよ。だけど、学生でもあるんだよ。」


え?どういう意味?

葵は不思議そうにしている。


「MRっていう職種知ってる?私、それなんどけど。」


「製薬会社の営業ですよね?在学中だけど、もう就職してるってことですか?」


「ううん。それの逆かな?

大学の修士課程がはじまったばかりの頃、急に教授から東京の就職先を勧められて…。私、ずっと地方にいたから、抵抗あったなぁ…。でも、行ってみようと思ってOKしたら、MRだから、大学にも編入して薬学学べって…。しかも、2年間で準薬剤師の資格も取れって…。教授が当然のことのように言うから、あ、知識とか資格とか必須なんだって思って、頑張って編入試験の勉強もしたし…。実際は必須じゃなかったみたいなんだけど…。

まあ、なんとか無事に大学の編入試験もパスして、今は平日の午前は大学、午後は製薬会社で働いてるんだよ。」


陸は笑いながら説明を終えた。

いやいや笑い事じゃないでしょ。メチャクチャじゃない。


「…よくやろうって思いましたね…。

それで資格の勉強をしてるんですね。」


「まあ、資格だけじゃなくて、普通に大学の講義も難しいし、仕事をしている中で分からないことも勉強してるんだけど…。」


「すごい。私だったら絶対無理って諦めてますよ。」


すると陸は、ふふ…と笑いながら、強い、綺麗な目を葵に向けて言った。


「もう、逃げたくなかったんだ。」


「…。」


綺麗な目…

どうしてあなたは、そんなに強いの?


『リリリリン…リリリリン…』


「あ、電話だ。ちょっとごめん。」


陸はベランダに出る。


陸さんにはよく、電話がかかってくる。

私といる時だけでも、1日最低1回はかかってくる。

まあ、あんなにイケメンで優しいし?そりゃあみんな、陸さんのこと頼りにするよね。

でも、何だか、他の人にもイケメン顔で優しくしているのを見ると、なんか、モヤモヤするんだよね…。


「ごめんごめん、…葵?」


「え?!あ、か、買い物行きましょうか?!」

※注意

準薬剤師という資格はありません。

この物語のみの資格です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ