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朝起きると…

……朝?

こんなにぐっすり眠れたのはいつぶりだろう?

私はゆっくり目を開けた。

隣には陸さんが寝ていて…。

…綺麗な顔。ボーッと見ていると、徐々に頭が覚醒してくる。

え?待って、待って!私、陸さんに腕枕してもらってる上に横から抱きついてるんですけど!陸さんは上を向いてるけど、腕枕している手はそのまま私の背中にまわされてる?!

アワアワしていると、陸さんが起きたようだ。


「ん…。おは…。」


「おはようございます!」


く、食い気味に返してしまった!と、取り敢えず背中の手をのけてもらわないと!


葵は朝から元気が良いな…。うーん…まだ眠い…。


「…おやすみ。」


ええ!また寝るの?!ちょっとちょ…でも、昨日も何だか疲れてたみたいだし…。今日は休みなのかな?だったらもう少し寝かせてあげよう。

何だか私も眠くなってきた…。


あーよく寝た。

ふふ、葵もまた寝たんだ。寝てる顔も可愛いな…。

時計を見ると、もう11時だ。そろそろ起きるか。

ん?!んんん?!!

う、腕が動かない!葵の頭が乗ってる左腕が…!!


「あ、葵、葵さーん。」


あれ?私、寝ちゃったんだ…。

何か陸さんが言ってる…。

私は今の状況を思い出して、ガバッと体を起こした。


「っつう!!」


ゆ、ゆっくり起きてほしかった…。


「ど、どうしたんですか?!」


陸さんが左腕を抑えている。


「あははは…。さっきまで左腕の感覚がなくて動かなかったんだけど、葵が勢い良く跳ね起きてくれたから、痛覚は戻ってきてくれたみたい。」


陸さんは、まず右手をベッドについて肩から左腕を動かすと、左手も同じようにベッドにつこうとした…けど、手首が動かないのか手の甲でついてしまい、滑って勢い良く再びベッドにボフッと落ちた。


「…。」


「だ、大丈夫ですっ…かっ?」


葵は笑いを堪えながら言った。


「あ、葵さん…、誰のせいだと思ってるの?!」


陸は右手だけでガバッと起きながら言った。

葵は堪らず笑いだした。


「ぷっふふふ…あっはははは!

だって!だって変だったんだもん!!」


目に涙を溜めながら、大声で笑っている。

それを見た陸は、自分も可笑しくなって、2人で笑い合ったのだった。


笑いが落ち着いてくると、陸が言った。


「ふふ、ところで、葵は今日はどうするの?」


「私、14時からバイトなんです。

…それで、バイトが…19時までなんですけど…。…き、今日も泊まらせてください!ちゃんと親にも連絡するから!」


「良いよ。明日も学校休みなんでしょ?」


「良いんですか?」


「ふふ、だって帰りたくないんでしょ?」


「でもでも、私、高校生です…ふふふ。

ありがとうございます。」


昨日と同じ台詞に、2人して笑う。よく笑うようになったな。葵の笑顔を見てたら、なんだか嬉しくなるな。


「お昼どっか食べに行く?」


「いえ!」


即断られた。

ええ…。な、なんでー?


「あの山のような洗濯物を洗います。」


わ、忘れてた…。

葵は洗濯機のある脱衣所の方に歩いて行く。

ゴソゴソ…パタン…ピッピッ………ウィーン、ウィーン……

洗濯機が動き出したようだ。手際が良いなあ。葵が戻って来た。


「じ、じゅあさ、洗ってる間にコンビニ行ってお昼買おうか。その部屋着だったら外出ても大丈夫でしょ?」


「そうですね。行きましょう。」



陸の左手はまだ動かないので、今日は葵がカゴを持つ。陸はおにぎり、葵はサンドウィッチを入れて、2人でサラダを選んだ。


「はい、お財布。これで会計してくれる?」


陸が言うので、葵が、


「いや、今日は私が払いますから!」


と言うと、「荷物持ち代。」と笑いながら行ってしまった。

ちょっと…ってもう扉の前で待ってるし…。

もう!と思いながら、会計を待っていると、レジのオバサンが、


「昨日の夜も来てたわよね?

その時も仲良さそうにしてて…ふふふ…ラブラブね。」


と言ってきた。私は、カッと真っ赤になりながら、「そ、そんなんじゃないですから!!」と言ったが、オバサンはふふふと笑いながら「ありがとうございました。また来てね。」と言って手を振るだけだった。


葵とレジのおばさんが、何か話している…と思ったら急に葵が赤い顔で「そ、そんなんじゃないですから!!」と言って会計を済ますとこっちに走って来た。

「どうしたの?」と聞いても、葵は「な、なんでもない!」と言いつつ、なんだか落ち着かない様子だ。


わ、私達、カップルに見えるの?!

さっきから、私の心臓がうるさい。帰るまでに落ち着かないと!

昨日から、度々こうやって心臓の鼓動が早く大きく打つことがある。そりゃあ陸さんがイケメンを発動したら誰でもそうなるとは思っていたけど、今のは…ビックリが一番だけど…私…喜んでるの?

…いやいや、そんなはずは無い。どんなにイケメンで優しくても、陸さんは女性だし。そうそう、只のイケメン体験だよ!

私はそう思うことにした。



19時30分、葵はバイトを終えて陸の家に帰って来た。もちろん、バイト先に陸の部屋着で行くわけにも行かず、バイト前に一度家に帰って着替えた。


【ピーンポーン】


…ガチャ。「おかえり、葵。」


おかえりと言われると思っていなかった葵はフリーズする。


「おーい、葵ー?」


左手を振っている陸を見て、葵は、


「左腕、治ったんですか?」


と聞いた。すると陸は、苦笑いしながら答えた。


「1時間くらい前かな?やっと動くようになったよ。」


「良かった。」


「腕枕って長時間するもんじゃないんだね。」


1つ学んだ2人であった。

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