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毎日、頑張ってます。

うう、今週も何とか終わった……。やっと帰れる…。


この、周りから見たら平然と歩いているように見える女性は、高崎(たかさき) (りく)。体は悲鳴を上げ今にも疲労で倒れそうだが、顔には殆ど出ていない。


「帰ったか。高崎。もう終わるなら飲みに行くか?」


私のこの疲れてます!っていうのが分からないの?!と思いながら答える。

本人は、自分がポーカーフェイスなのを気付いていないようだ。


「いえ、もうへとへとですから…」


「そうか?本当に高崎は分かりにくいな。」


と驚きながら言っているのは、私の直属の上司、鶴橋(つるはし) 信也(しんや)さん。今日は週末の金曜日。明日は休みということで、誘ってくれたようだが、私の体力はもう無い。

何が分かりにくいのか…と思いながら、取り敢えず謝る。


「すみません。」


私は、大学の恩師の推薦で、国内トップシェアである徳川製薬のMR(医薬情報担当者)に就職した。

紹介してくれた際、恩師からは薬学の知識が必要で、準薬剤師の資格も必要だと言われ、必死で勉強してK大学に編入し、今は必死で勉強して準薬剤師の資格取得を目指している。

後々(就職後)、MRには薬学の知識や特別な資格は特に必要無いことを知った。

推薦枠で入るためには、編入と資格取得が条件だったそうなので仕方無いが、MRなら当然と思うのと、推薦なら当然と思うのでは、何となく違うと思う。

しかし、会社が学費を負担し、更に半日学業の時間を取ってくれているため、恵まれていると思うことにた。


準薬剤師:薬学課程を学んだ年数に関わらず、一定の単位を取得すれば、薬剤師資格試験を受けることが出来、合格すれば薬剤師と同等の知識を有することが証明される資格。


ということで、私は今午前は大学、午後は仕事、帰ったら準薬剤師の勉強、というハードな日常を送っている。


「陸ちゃんは色々大変なの!早く帰りなさい。また余裕が出来たら飲みに行きましょ?」


「藤堂さん。」


こちらは、藤堂(とうどう) 麗香(れいか)さん。 30歳という若さで、このMR部の部長をしている。とても綺麗な人で、私を何かと気にかけてくれる。ちなみに鶴橋さんと同期だ。


「はい、ぜひ行きましょう。」


私は答えた。「今日も…だったか…。」と何かブツブツ言っている鶴橋さんを置いて、私は帰ることにした。残っている人達に挨拶する。


「お疲れ様でした。お先に失礼します。」


「おつかれー。」という数人の声と、鶴橋さんは右手を挙げて、藤堂さんは小さく手を振ってくれているのに対して会釈しながら、会社を出た。


駅で待っていると、電車が来た。東京は電車が来る間隔が短いよなぁ、と思いながら乗り込む。女性専用レーンには乗らない。なぜなら、私は身長が175cmであるのに加えて、髪は薄茶色で長めのショート。顔は色白で鼻は高い方だが、目は少しタレ目で二重。周りから中性的だと言われているため、女性専用レーンに乗って男に間違われる可能性がある。というか、一度間違われてからは乗らないことにした。


取り敢えず電車に乗ったわけだが、隣の女性がチラチラ見てくる。え?この車両女性専用?!と思ったが逆の隣が男性だった。なんだろう。ま、良いか。

次の駅で運良く前に座っている人が降りた。けれど、少し離れた場所にお年寄りがいたので、空いた席に荷物を置いて場所を確保してから、お年寄りに声を掛けて座ってもらった。まあ、私はあと30分くらいで降りるし。


最寄り駅で電車を降り、徒歩15分。やっと我が家であるアパートが見えてきた。

※注意

準薬剤師という資格は実在しません。

この物語のみの資格です。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「準薬剤師という資格は実在しません。」・・・そうですよね、少々驚きながら読み始めました。そういう資格あったっけ、後で調べなくちゃ・・・と思いながら。 漫画の話ですが、成田美名子さんの「エイリ…
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