呪文って語彙力いるよね
「先ほどの問いの返事ですが、連絡が切れると同時にオディリアを出しました」
「あぁ、あれかぁ」
イベントの時専用の場所へ移動するのに使っていた宇宙船みたいなものがあった。
設定では世界から世界へ渡るための船とあったからこれたのだろう。
ゲームから出てきたの?と思わないでもないけど、俺がボクになるなんてこともあるんだしこういうこともあるんだろう。
船ごとに搭載人数や移動速度などが異なり、オディリアは小型で搭載人数が少ない代わりに最も速い機体だ。
よっぽど急いだんだろう。
「オディリアは今どこに?」
「召還のベルはこちらに。ですが搭乗口の開閉に合わせて2分少々かかります。」
「それまで待っててくれそう、な感じじゃないよねぇ」
動きは止まっているけれど、いつ攻撃が再開してもおかしくない。
「おもちゃぁ イイコ、だからぁ、、、かわィ、かわぃ」
悩んでいる間に広がっていたぐるぐるが折りたたまれていく。
もしかして、広範囲攻撃していたのを一点集中に変える準備?
使えるバフの中には効果高いかわりにデバフも同時にかかってしまうものもあって、それはあまり使いたくなかったのだけどそうも言ってられないみたいだ。
転生しょっぱながボス戦みたいなのってひどくないだろうか。
「2分、余裕を見て3分か4分くらいあれを行動不能にしなきゃだめかぁ」
「申し訳ありません。到着時間を優先したため他の天使達を置いてきてしまいました」
「しかたないよ。ボクもいきなり言っちゃったし」
クロが隣にいるからか、さっきよりも落ち着いて考えられる。
リンはボクを攻撃してこないけどそれはたぶん遊ぶためなんだろう。
さっきからおもちゃと呼ばれているし。
遊ぶためにクロが邪魔だから排除したい。
でもおもちゃだって(リンがそうとは認めないけど)持ち主を傷つけたら捨てられる。
なら今やるべきはむこうの攻撃が届かないようにすることでの時間稼ぎ。
軽く頭を振ると雲真珠が髪からほどけた。
クロがリンとボクの間に立つ。
まだ先ほどのバフは残っているから多少の盾にはなってくれる。
――クロside―――
「愛しく尊き我が母なる父よ」
背後からすべての汚泥が浄化されるような素晴らしきシロ様の歌うような声が流れてきました。
見えませんがきっとあの絹のような御髪の擬態が解け、上級天使の証である輝かしき4対の翼があらわれていることでしょう。
「やめろ、おもちゃああぁっ」
降りかかる攻撃は先ほどよりも一撃が重い。
だが、けっして、けっして、届かせるものか、シロ様がてめぇなんかのものになるわけねぇだろうがよ!
「母にいただくは静なる月光
父にいただくは動なる日光
無秩序に構築せよ
生命抱く白夜の織布 」
――――――




