きっと、きっと
「シロってば聖堂のになにしたんだい?」
「わからない。なんかいろいろ聞いてくるんだけど、どうも本題じゃなさそうなんだよねー。ずっとそんなのばっかでめんどくさくなった」
軽く首をまわしてあーちゃんを見ると、こっちにくるのを完全に諦めたっぽく、子供の相手に徹底してる。
「噂には聞いてたけど、ほんとにめんどくさがりなんだねぇ…………さっきはありがとうね」
「ん?」
「本当に助かったよ、もうすぐカーキンの儀のための回収がくる。今までなんとかぎりぎりのとこで持ちこたえてたのがクズが働き手を連れてっちまってどうにもならなくなっててね。人を、差し出さなきゃいけなくなるかとみんな怯えてたんだけどね。これだけ採れたら代わりの物資として十分にだせるはずさ」
「…………………………まぁ、役に立ったならなにより」
どこからか次もこんな楽だといいなんて聞こえてくるけど3ヶ月後に後にまだここにいるかどうかはわからない。
俺の記憶とボクの記録で動いてたころはまわりすべてどこか他人事として見ていた。
執拗に声をかけてくるシスターのことも、なんだかんだ面倒見のいいブルレのことも、長年の付き合いのあるクロのことも、それこそ自分自身のことすらも。
だけど時間が経つにつれて俺の記憶は記録へと変わっていき、ボクの記録が記憶へと変わっていき、今ではボクが主体を持っている。
ならば、帰らなくちゃいけない。
今ここにいるのはなんとなくめんどくさいから火事で死ぬことを選んだ俺じゃなくて、面倒くさがりでいることを神のために選んだボクだから。
どんなに手間がかかっても、面倒でも、速やかにあの場所へ帰る方法を探さなくちゃ。
大事な家族の所に。
クロが今どんな状況なのかわからない、ボクと同じようにこの世界のどこかに落ちた可能性もあるし、世界と世界の間に挟まってるかもしれない、迎えにくるどころがむしろ迎えを待っている状態かもしてない。
でもきっと他の子らが捜しに来てくれるだろう。
迷子の鉄則はその場で動かないことだけど、声を上げて目立って今ここにいると主張しなくちゃ迎えだって見つけにくいにきまってる。
「そういえば、さっきのシロはとびっきりきれいだったねぇ。金の輪っかの光できらっきらしてたよ」
「ん?そう?」
「そうだよぉ。大きな金の輪を頭の上に飾ってさ!今だっておてんとさまの光で髪がきらきらしてるけど、さっきはすっごかったね!物語にでてくる天使様かと思ったよ!」
「んふふ、そうさボクは天使様」
大きな口をあけて、歩む足以外ぽかんと固まっちゃたエンナの手にボックスから取り出した羽根をむりくり持たせた。
持ってる中でたぶん一番大きくてきれいなやつ。
あぁ、街の壁が見えてきた。
なんとなく、ほんとになんとなく気分がのってきたので1対だけ翼をだして荷車を引っ張るように空を飛んでみる。
まだまだ空よりも地面のほうが近いような飛行高度だけど、少しでも、きっと家族のいる場所に近づいたと思うんだ。




