隠しきれてないぞー
ぬるるるん時間も終わり、帰り支度が始まった。
まだ世界食いは残っているものの、道と世界食いとの間に世界樹聖堂の人が等間隔に立って見張っているので多少は安心して通れるだろう。
それでも恐ろしい存在であるやつの横をのんびり歩むなんてできるわけなく、誰が何を言わなくても自然とみんな駆け足で、荷車を牽くロッパもどことなくせかせかしている気がする。
往路と同じように荷車に繋がり、でこぼこ道の上をいく車輪の振動に揺られて右へ左へ。
「よーっす、おチビちゃん……………それ、なにごと?」
世界食いの横を完全に通り過ぎて全体の速度が落ちてきたところであのチャラそうな男が、上から覗き込みながら声をかけてきた。
ずぶ濡れで疲労あふれながらも笑顔で歓談する人達にダッタ芋でいっぱいの荷車を牽引するロッパ、いつも通り干物になって空を眺めてるボク。
なにも変なとこはないと思うけど。
「いやこれこれ、なんで繋がれてる?なんかこの短時間になんかやらかした?」
あー、縄で繋がれてるってそういう認識になるんだ。
まぁだからといってやめるつもりはないけどね、そのうち見慣れるだろうし。
「や、違うぞ聖堂の。おチビはただ歩くのがめんどくさいだけ。縄でこうなってない時はだいたい誰かに背負われてる」
「え、えぇ~……………」
なにか納得いかないみたいだけど知ったことじゃない。
ボクを挟むかたちで一言二言ブルレと縄について言葉を交わしてるのを意識の端っこに置きつつ、それなりに背のある2人により狭まった空をぼーっと見上げる。
「うん、まぁ同意が取れてるなら、いい、のか?うん、いいんだろうね?」
「こっちがどんだけ気にしようとおチビは己を貫くからさっさと慣れたほうが気が楽になるぞ」
「そっ、かぁ……………」
そうそう、さっさと慣れて欲しい。
言葉にしないで視線だけでも詮索とかはうっとおしいもの。
「聖堂のは仕事はいいのか?あっちはまだなにかやってるみたいだが」
世界食いとその周囲にいる人達のほうへ視線を投げるブルレに男はけらけら笑って答えた。
「だいじょーぶ、こっちの安全確保も仕事のうちだからねー。あと俺の名前はアーヴィン。聖堂の、だと該当者がたっくさんいるから気軽にあーちゃんとでも呼んで」
そういってまたこっちを覗き込んできたあーちゃん。
にっこり笑顔で目を細めてるけど、探るような目ってこういうのなんだろうなって感じがする。
これって隠そうとしてるのかな。
あけましておめでとうございます。
三が日のうちならセーフなはず。




