説明してもらう前に説明してる
「ヤラチュウは成長段階がある。見た目が完全に芋虫な第1期、鎌ができる第2期、足ができる第3期、この後に蛹になって、しばらくすると成虫になる」
指を折りながら説明していく。
「鎌があるとは聞いたけど足はあった?芋虫から獣の爪がでてるみたいな足」
「いやなかったと思うよ」
「じゃぁたぶん第2期。目はなくて一番は音、次に匂いに反応する」
ボクの声以外は呼吸音しかしない。
服の意匠も質もさまざまな男達が石像みたいにピクリともせずこっちを見てる。
「問題は背中に線があるかないか」
「さっきも言ってたね。赤か青か黄の線はあったかって」
「そう、赤の線があると水に弱い、青の線があると土に弱い、黄の線があると火に弱い。――――魔法とか属性って概念はある?」
ボクのゲームと違ってなかったらまず話が大幅に変わってくる。
「あるよ。といってもこの街じゃ私と司祭様しか使えないがね。あとは何人かスキルがあるくらいだ」
魔法とスキルは別物判定なのか。
そこはちょっと違うな。
「まぁ魔法が使えなくても燃えてるものとか水とか石投げつければなんとかなる。なんなら弱点を狙えば武器でどうにかなる。問題は線がなかった場合、それはヤラチュウじゃない」
喉は乾いてないけどせっかくなのでシスターがくれたので水を飲んでから続きを語る。
「ヤラチュウの上位種ワムンディカの幼虫ワムチュウかレイディカの幼虫レイチュウのどっちか。どっちなのかは第3期にならないとわからない」
「とりあえずどう問題なのか教えてくれるかい」
「ワムチュウは物理が一切きかない、レイチュウは魔法が一切きかない。そして魔法か物理しかきかないくせに防御力がとても高い」
レイチュウはレベル上げて殴ればどうにかなったけど、ワムチュウはゲームじゃ中ボスの1種で、苦労せずに倒すには専用スキル持ちが必要だったんだよね。
「はぁ……ヤラチュウ、悪くてもレイチュウであってほしいね。私と司祭様の二人だけじゃ倒しようがないよ。ワムチュウなんてきたら危険承知で王都にいって魔法部隊でも要請するしかないよ」
聞いただけで疲れたようで椅子を引っ張て来て座り込んだ。
「まずはそこが確認できないと先のことを話しようがないよ。鶏に匂いが強いものつけて囮にすればすぐに見つかると思うけど」
「そうだね。とりあえずブルレ、偵察たのむよ。裏の1羽連れてきな」
「あいよ。ちょっといってくらぁ」
身軽にするためか長いほうの剣と手甲を外すとささっと出ていった。
どこからか響く鶏の悲痛な鳴き声が遠ざかっていく。
「それじゃ待ってる間にあんたの冒険者登録から始めようかね」
「どうしてそうなった」
いやほんとになんで?
戦えるような見た目してる?
してないよね?
「これもイベクエになるだろうからね。待ってな。準備してくるよ」




