表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

妹はオネエ〜オネエスパイ女川乙音の過酷で甘い現実〜

作者: さいらなおき

「あたし、いやアタイはオネエスパイ、(おんな)(がわ)(おと)()。昼間はチューガクセイだけど、夜はオネエスパイとして相棒のおに――タカシと共に、この世の悪をやっつける、正義のスパイなんだよ!」

 自室で本を読んでいた僕の前に現れた妹は、何の前振りもなく、そんなことをのたまった。

 僕は尋ねる。

「乙音、なんでオネエスパイなんだ?」

「だって、お兄ちゃんの彼女……」

「ちーがーうー! あれは、あいつの渾身の自虐ネタなの! あいつはちゃんと女の子なの!」

 そうなのだ。僕より背が高く、胸がない――そのことをとても気にしていて、僕はいつも「そんなの関係ない。今のままの君が大好きだよ」と――いや、それはいい。

「だって、おっぱいない……」

「ありますよ! 昨日は厚着してたから分かりにくかったかもしれないけど、水着になればちゃんとあります!」

 夏に見せてくれたスレンダーな水着姿は、素晴らしく美しい滑らかな流線型を描いていて、ボンキュッボンとはまた別の魅力があることを――って、それはいいんだよ!

「……でも、お兄ちゃんは、ああいう女が好きなんでしょ」

「いや、それは否定しないけれども、なんでお前がそれに張り合うんだ」

 すると妹は急に顔をくしゃくしゃにして大声を上げた。

「だぁって、あの人だけお兄ちゃんといっしょの学校行ってずるいんだもぉん! あたしだってお兄ちゃんといっしょの学校行きたいんだもーーーん! うわあああああぁん……!!」

 そうか。僕が中学に上がった時に、「もっと大きくならないとダメだ」って言ったのに、体のごく一部が大きくないあいつが中学行ってるから、自分も「オネエスパイ」になれば中学に行けると思ったのか。

「ごめんな乙音。それでもやっぱり小学生は中学校には行けないんだよ。分かってくれ」

「いやあだああああ、あたしもお兄ちゃんといっしょがいいー! いっしょじゃなきゃヤダああああ!」

 泣き止まない妹に、僕はやむなく白旗を上げた。

「分かったよ。一緒に中学に行くのはダメだけど、今度の日曜あいつと一緒に遊園地行くから、お前も一緒に行けるように頼んでみるよ……」

「……ほんと?」

「ああ、あいつがいいと言ったら、だけどな」

 そして優しいあいつは断らない。そういうところも好きなんだ。

 僕はスマホを取り出すと、いつもの番号に電話した。

 お読み頂きありがとうございました。

 楽しんで頂けましたでしょうか。

『下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ』でも「タイトルは面白そう!」のコーナーで毎回投稿してますので、そちらもよろしくしていただけますと幸いです。

 ラジオは文化放送にて毎週金曜日23:00から放送中。スマホアプリradikoなら無料で1週間聞き逃し配信してます。YouTubeには過去アーカイブも揃ってます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ