ぷろろ~ぐ。~この物語の大まかな流れや、結末とかが分かっちゃう系な伝承~
突然じゃがお前さん達に、とある【伝説の勇者】の話でもしようかのぉ。
むかぁ~し、むかし。
この世界には【魔王】と呼ばれる存在と【勇者】と呼ばれる存在が居ったそうじゃ。
魔王は死んでも何百年に一度復活し、各地にいる配下の魔物・魔獣を引き連れ、この世界を滅ぼうそうとしたそうじゃ。
しかし、魔王復活の前兆に合わせて必ず神の【神託】を受けた【勇者】という“能力”を持った《五人の選ばれし者》が現れ、神より授かりし【神器】と呼ばれる武具を手に、各々仲間を集いながら魔王城を目指し、魔王やその配下の魔物・魔獣を打ち倒して世界を平和にしていったそうじゃ。
魔王死ぬ → 平和な世界 → 魔王復活の前兆 → 神託を受けた勇者たち出現 → 勇者たち、神器を使って世界を周りながら、四天王やら七○海やら十○刀やらなんやらを倒す → 魔王完全復活 → 魔王城で魔王と勇者たち戦う → 激戦が繰り広げられる → 犠牲を出しながらも魔王をなんとか倒す → 再び平和な世界 → 暫く平和な世界が続く → 魔王再臨 → またまた勇者出現&魔王討伐 → 平和な世界再び。
みたいな、これの繰り返しじゃった。
永遠に続く、無限ループとも呼べる《システム》的な繰り返し…。
けれどそれで良かったのじゃ。
その方が何の問題も起きず、この世界はずっと続く筈じゃった…。
じゃが、とある時代の勇者たちに問題が発生する。
問題も問題。
大問題がのう。
なんと!
その時代で選ばれた五人の勇者たちは、どいつもこいつもどうしようない愚か者たちで、勇者の器じゃなかったのじゃ。
・我が儘で横暴で自分勝手。
強欲で傲慢で暴力的なド短気。
──《斧の勇者》
・戯れ言を繰り返し、言い訳やご託を並べて結局何もしない。
端から戦う気がなく、傍観者気取りのナルシスト。
──《槍の勇者》
・高慢で高飛車で見栄はりで、他人を見下す事でしか自分を見出だせない。
だけどもイケメンとのS○Xは大好きな、哀れな淫乱痴女。
──《杖の勇者》
・本当は強いのに自分を卑下しまくって、他者との関わりを恐れて誰にも心を開かない、若干引きこもり気味のネクラ。
──《弓の勇者》
そして最後。
最後の五人目が一番最悪じゃった…。
・表向きは万人受けする笑顔を見せながら、ほんのちょっと勇者らしい事をしては民衆を味方につける、正に『勇者の鏡』とでも言うヤツじゃった。
けれどもそれはあくまでも表向きの顔で、本性は己の為にしか動かない、私利私欲の塊。
『富ッ! 名声ッ! 権力ッ! そして女♡』と常日頃からそんな事しか考えてない、快楽の為ならあらゆるモノを犠牲にする絵に描いたような【悪】…。
──《剣の勇者》。
そんな輩ばっかり選ばれたもんじゃったから当然、魔王を倒せる訳もなく。
それどころか四天王の手下すら倒せずに、尻尾を巻いて逃げ出すとゆう始末……。
更に問題な事に、今回復活した魔王は今までの比にならないくらい強力で強大な力を身に付けていて、まさに【大魔王】と呼べる存在になっていたんじゃな。
世界中の誰もが思った。
「この世界は…もう終わりだ…」じゃとな。
───けれども、ここで奇跡が起こったのじゃ!
なんとなんと!
勇者ですら敵わなかった【魔王軍】に戦いを挑み、討ち倒していく【英雄】たちが現れたのじゃ!
英雄たちは信じられないほど、強く・勇ましく・賢く・優しく・そして何よりも「美しかった」そうじゃ。
魔王軍の魔物や魔獣は次々に倒され、四天王の手下に四天王。
遂には激戦の末、見事【最強の大魔王】をも討ち滅ぼしたのじゃ!
その英雄たちの主要メンバーだった者たちは後に【十三英雄】と呼ばれ、未来永劫その凄さを語り継がれていったそうじゃ。
それだけではなくてのお。
この英雄たちは魔王を倒した後も世界中の為に尽力を尽くし、その偉業や功績や偉大さから【女神】と讃える人々や、崇める人々が出てきてのお。
その信仰が【天界の神】に届いたのか、
なんと! なんと! なんとッ!!
【十三英雄】たちは神格化され、本当に【女神】になったのじゃ!
【十三英雄】たちはそのまま 【十三女神】 と呼ばれ、その各々が持つ“権能”や“加護”を使って、世界をずっと管理・守護していったそうじゃ。
更にそのおかげで二度と魔王は復活する事はなく、人々は永遠に穏やかで平和な世界を手に入れたのじゃった。
(国同士の小競り合いはあったらしいがのう。)
ここまでの話の流れで分かってると思うのじゃが【英雄】と呼ばれた者たちは、その大半が“女性”であったらしくてのう。
特に【十三女神】になった【十三英雄】たちは、万人が万人 目を見張る程のそれはそれは大変美しい、
《美女! 美少女! 美幼女!》 だったそうじゃ。
(これは本当にどうでも良いのじゃが、英雄のほとんどが『とても素晴らしい豊満な胸』をしていたそうじゃ。)
──さて。ここまで話しておいて何じゃが、ワシは一体何について話をするつもりじゃったかのう?
魔王や英雄や女神についても話すつもりじゃったが、何かもっと大事な話を…。
そうじゃった! そうじゃった!
【伝説の勇者】について話すつもりじゃったな!
えぇ~と…この話には続きがあってのう。
魔王を討ち倒した英雄たち…後の女神たちも凄いのじゃが、どうやらその女神たちを引き連れていた、とある“男”の存在があったらしくてのう。
この男のおかげで世界は救われたと言っても過言じゃないぐらい、凄いヤツがおったそうじゃ。
その者は【神器】を持ってないどころか【神託】すら受けてなく、だけど確かに【勇者の証】を持った《存在するはずのない、幻の六人目》じゃったそうじゃ。
人々はその者をとても敬愛し褒め称え、親しみを込めてこう呼んだそうじゃ。
【 幻の勇者 】 とな。
しかし、その者をよく知る親しい人たちは同時にこうも呼んだ
【“碌でなし勇者”】 とな。
これはそんな【幻の六人目の勇者】の話である。
これは余談なのじゃが、女神になった英雄たちは女神になった時皆こう呟いたそうじゃ。
「「「どうしてこうなった……」」」
とな。
それを見ていた【幻の勇者】は
「ワロスww ワロスwww♪」
と満面の笑みで言っていたそうじゃ。