始発駅 中編
時の停車場 東京駅
新幹線ホームへ向かうことにした、少年。改札機に入場券を通すと、「東京駅入場」と書かれ反対側から出てきた、そのまま階段を駆け上がりホームを目指す。ホームにつくとすでに新幹線が止まっていた。止まっているのは、0系こだま東京発新大阪行きであった。ここで少年は自分の身に起きている現象について理解し始める。今は2020年。もちろん0系新幹線が東京駅の東海道新幹線ホームにいるはずないのだ。しかし案内板を見ても次はこだま号新大阪行きとなっている。乗る人も、時代を感じるスーツや古いカメラを持った子供など今より少し昔、1970年代風の格好をした人ばかりである。この現状に気づき始めた少年だったがまだすべてを理解できてはいなかった。少年はこの0系がイベント列車かもしれないと思い、窓口へ向かった。階段を下りていると、いきなり前に何かが現れた。その直後少年は態勢を崩し、階段から落ちそうになる。すると誰かに後ろから支えられた。態勢を整え、振り向くとそこにいたのは一人の女性であった。女性は深々と頭を下げると同時に謝ってきた。少年も頭を下げ、謝罪する。すると女性は何かに気づいたように、少年の手を取り、人影のない場所に連れて行った。すると女性はおかしなことを言うのだ、「君は2020年から来たの?」と。少年は黙ったままうなずいた。しかしどうして2020年から来たのかなどと聞くのだろうか、と少年は不思議に思った。少年が不思議そうにしてるのを見て女性はゆっくりと話し始めた。