始発駅 前編
ここは現実とは少し違う世界。鉄道、飛行機、船、バス、全ての乗り物が時を越え、どんな時代にも旅行できる世界。
そこに一人の少年が迷い込んだ。これは少年がもといた時代に戻るために様々な時間を駆け巡るお話。
現在 2020年東京
この少年は、東京に住む乗り物好きの小学生である。今日は電車に乗り、東京駅に行き様々の電車を見る予定だ。東京までは、最寄り駅から30分。この電車に揺られる時間も少年にとっては至極の時間である。東京駅につきまずは新幹線を見に行くことにした。コンコースを歩き、新幹線乗り場に向かっていると、身に覚えのない通路を見つけた。東京駅はとても大きく少年も行ったことのない場所が多かったため、好奇心から通路に入ってみることにした。少年以外人は歩いておらず、上からは電車の走る音が聞こえるのみである。そのまま通路を進むと、もう一本のコンコースに出た。少年はふと後ろへ振り返った。すると今まで歩いてきたはずの通路がなくなっていた。夢でも見ているのかと、あたりを見回す少年。そこで、少年は驚くべき光景を目にした。
時の停車場 東京駅
少年が目にしたのは、様々な時代、場所の服を着た人たちであった。近未来風の服から明治時代の服、さらには中世ヨーロッパ風の服を着てる人までいた。まさか別の世界に来たとは思わず、少年は今日は仮装大会でもやっているのかと思い、目的地の新幹線乗り場へ急いだ。新幹線乗り場は普段と変わらず、多くの人でにぎわい、スーツケースや大きな荷物を持った人ばかりであった。ここでも、珍しい服装の人ばかりであったが、少年はあまり気にしていなかった。入場券を購入すべく、券売機へと向かった。しかし、券売機を見ると行先だけではなく、1964や1997など年号も書いてあった。少年はやはり少しおかしいとは思ったものの、現在の状況の答えを導き出すことはできなかった。少年はそのまま入場券を購入し新幹線ホームへ向かうことにした。