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第96話 代表との面会


代表との面会までの時間は、観光を行う事になった。

文化的には皇国ほどの違いは無いが、それでも王国には無いものも多かった。


例えば共和国は王国に比べ、様々な種族が生活している。

王国ではほとんどが人族で、僅かに獣人が居る程度だ。

しかし共和国ではそれ以外に、エルフやドワーフといった亜人族、場所によっては精霊族といった極少数しかいない種族も確認されていた。

争いから縁遠い地理的要因や、自由を重んじる土地柄のおかげだろう。


それ以外にも南の地の独特な生物や、気候などもここの特徴だろう。

先ほどまでは晴れていたのに、いきなり土砂降りの雨になったりするし、その雨が上がった後遠くでキラキラと無数の小さな光の玉が生まれている。

周囲の人がざわめいている中、3人は


「……わあぁぁ、凄い。綺麗だけど何だろう、あれ……」

「……雨上がりの風景と相まって、とても幻想的な光景です」

「……周りの様子から察するに、縁起の良いものみたいですね」


と、その光景に見とれていた。

俺も詳しくは知らないのだが、確かアレは雨蛍という生き物のはずだ。

強い雨が降りそれが止んだ後、あのように雄が光り雌に求婚しているらしい。

条件が揃わないと見られない、ここでも珍しい光景だそうだ。

愛し合う男女が見ると幸せになれる、という言い伝えもあったはずだ。


俺が昔、人から聞いた話を教えると何故か3人から視線を感じた。

3人の方を見ると、カレンは顔を真っ赤にし、ルミラは照れながら視線を逸らし、フィリアはニコニコと微笑んでいた。

……いや、幸せになれるのは愛し合う男女だからな、お前ら……



こうして観光しながら面会の日を待ち、遂にその時が訪れた。

代表が働く館へと向かい、面会に来た事を伝える。

すると受付嬢が予約を確認して、代表の下へと案内された。

そのまましばらく受付嬢の後を歩くと、ドアの前で立ち止まり


「……失礼します。お客様を案内致しました」

「ああ、入って貰ってくれ」


ノックして声をかけると、中から返事が返ってきた。

受付嬢に促され、部屋の中に入るとそこには


「……お待ちしていました。勇者様とその仲間の方々ですね?私はこの国の代表を務めるヒュージという者です。以後お見知りおきを」


そう言って、椅子から立ち上がるとにこやかに俺達を出迎えた。

40歳ぐらいの中年男性で、容姿はなかなか整っていて見るからにやり手そうだ。

威厳がありつつも相手に対して、決して威圧的な雰囲気ではない。


そしてその傍らには、護衛と思われる獣人の女性が立っていた。

ショートカットの結構な美人で、細身ながらも強者の雰囲気があった。

女性は落ち着いた様子で、こちらを眺めている。


こちら側も代表してカレンが挨拶を返す。


「はじめまして、王国の勇者カレン・フォウ・ベテルギウスと申します。この度はお会い頂き感謝致します、ヒュージ殿」


それから順番に挨拶して俺の番になった。


「……カインと申します。勇者指南役代理人を勤めさせて頂いている者です。本日はお会いする事が出来て光栄です、よろしくお願い致します」


そう言って頭を下げていたら、いきなり護衛の女性が


「……ぷっ、くくっ。……ぷはっ、もう駄目っ、我慢できないっ!!」


と、いきなり腹を抱えて笑い始めた。


「……ルウ、いきなり笑い出すとは失礼だろう。控えなさい」


そうヒュージが言うが、アンタも笑いを堪えてるのはバレてるからな。

俺がヒュージに対して


「……いいよ、似合ってないのは自覚してるからアンタも笑えよ」


そう言うと、ヒュージは我慢も限界だったのか


「……すまんっ、くっ、あはははははっ、カ、カインが敬語使って頭下げるとか、ありえないだろっ!!あははははっ~~~!!」


と、こちらも腹を抱えて笑い始めた。

……この野郎、本気で遠慮無しに笑いやがったな。

つーか、ルウさん。あんたも何時までも笑ってないで仕事しようぜ……


俺が呆れた様子で2人を見ていると、カレン達が話しかけきた。


「……あの、先生?もしかしてお知り合いだったりします?」


「……ああ、真に不本意ながら顔見知りなんだよな……」


「で、ですがっ、あまりに礼を欠いては外交問題になるかも知れませんよ」


「……こっちが敬語使って頭下げてたら笑われたって言えば、向こうの方が真っ青になりそうだけどな」


「随分と親しいようですが、どういった間柄なのですか?」


「ああ、昔この国に来た時に騒動に巻き込まれてな。その原因がこの2人なんだ」


俺はあまり思い出したくない事でも無いので、詳しくは話さなかった。

多分話し始めると、2時間あっても語り尽くせないくらい長い話だ。

貴重な面会時間をそんな事に使う訳にはいかない。

……まあ、その半分以上はこの2人に対する愚痴なんだけどな……


ようやく2人の笑いも一段落した様なので、


「……そろそろ話を進めたいんだけど、構わないか?」


と、強めに言うと2人は凄い勢いで首を縦に振った。

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