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第54話 他国との協調


クローディアにネックレスを贈って1ヶ月が過ぎた。

今日も俺達はマンティコアの討伐の依頼をこなしていた。



「ルミラっ!そっちに2体行った!任せるねっ!」

「ああっ!フィリアは反対を警戒してくれっ!」

「解りましたっ!2人も気をつけて下さいね」


そう言いながら3人がマンティコアを追いかけていく。


今回の依頼はマンティコアの討伐だ。

複数のマンティコアが確認されていたが、現地で確認したら10体いた。

好んで人間を襲い食べる事が知られており、早急な討伐が求められている。

既に5体を倒しているが、残りの5体が散開して逃げ始めた。



カレンが2体、ルミラが2体、フィリアが1体を追いかける。


「はあぁぁぁぁ!!」


カレンは【縮地】で間合いを詰め1体を切り捨てる。

もう1体が毒針の付いた尻尾で攻撃するが、逆にその尻尾を切り落とした。

そして残りの1体を【錬気法】を使い真っ二つに切り、討伐し終えた。



「逃がすかっ!!【グレートウォール】!!」


ルミラが巨大な防御壁を、逃げるマンティコアの前に展開した。

本来は敵の攻撃から集団を守る魔術なのだが、ルミラは逃げ道を塞ぐ為に使った。

マンティコアの方がルミラより足が速いが、更に【シールド】で道を限定する。

これで逃げる為には、ルミラを倒す以外に無くなった。


2体が同時に仕掛けてくるが、1体を【ファランクス】で押し返し、もう1体を【錬気法】の槍で貫いた。

【ファランクス】を受けたもう1体は、すかさず出した追撃の【フレイムランス】を喰らい息絶えた。



「…私相手に距離を取るのは、悪手ですよ」


フィリアは逃げるマンティコアに、魔術の雨あられを降らせていた。

1発の威力は押さえ、とにかく手数を出していた。

攻撃力のあるものや妨害の為のもの、更に逃げ道を限定するものまで様々だ。

遂に放った魔術の1発が、マンティコアの腿を大きく傷つける。

逃げ足を失ったマンティコアはそのまま、魔術の餌食となった。


3人はまだ純魔力を得ていない。

しかし実力的にはもう、他国の英雄と比べても遜色なくなってきていた。


(…そろそろ1度、他国との連携を確認した方がいい時期だな。)


あれから魔族の動きが見られないのも気に掛かる。

この目で実際に、他国の様子を確認する必要もあるだろう。




依頼達成をギルドに報告し終え、俺は王城へと向かった。

クローディアに他国へ行く許可を求める為だ。


「…他国にか。…確かに勇者としての知名度も高まってきたし、頃合か」


「まあ、顔合わせの意味合いが強いが、これからの連携の事を考えると各国の英雄と会っておいた方がいいだろう」


「ふむ、そうなると西の帝国か、東の皇国のどちらからにするかだな…」


現在、この大陸には4つの国がある。


1つは俺達のいる、大陸の中央に存在する王国。

最大の面積を誇り、各国との中継地点の役割もあり物も人も交流が盛んだ。

この大陸で最も栄えているといっても、過言ではないだろう。

《勇者》が生まれる国としても有名だ。


西に存在するのが帝国で、多くの英雄を抱え大陸最大の戦力を有する軍事国家だ。

皇帝を頂点とした独裁国家だが、徹底した実力主義で有名だ。

現皇帝も魔剣を持つ英雄の1人で、実力で成り上がった事で知られている

上位魔族を最も討伐している国で、《クラウ・ソラス》が所属するのもこの国だ。


東に存在するのが、帝と呼ばれる人物を頂点とした皇国だ。

この国は独自の文化を持ち、武士と呼ばれる強力な戦士と、陰陽師と呼ばれる独特な魔術師が主戦力となるのが特徴だ。

この国で最も有名な英雄が《剣聖》だろう。

魔術を使わず、刀という独特な剣だけで上位魔族を討伐した異色の英雄だ。


最後が南に存在する共和国だ。

民衆から国の代表者を選ぶのがこの国の特徴で、貴族が唯一存在しない。

魔王領と唯一接していない事から、戦力は他国には大きく劣る。

しかし、気候が温暖な事もあり、食料など物資の面で他国を支えている。

この国には《森の王》と呼ばれるエルフと、《鉄の王》と呼ばれるドワーフ、2人の英雄がいる。

ただ、この2人はとんでもなく仲が悪い事でも有名だ。

種族的な問題なので、正直解決は難しいだろう。


地理的な関係で、行くなら西か東なのだが…


「…まずは東の皇国に向かいたいな」


「何か理由はあるのか、カイン殿?」


「…いや、単純に帝国の連中より、《剣聖》の方が話しやすいだけだよ」


俺としては、帝国にはなるべく近づきたくないのだがそうもいくまい。

しかし、いきなりあの連中に会うのは、流石に気が進まない。

俺にとっても、まだ《剣聖》のおっさんの方が気が楽なのだ。


「…だったら、皇国に行く手筈を整えよう。準備が出来たら連絡する」


「ああ、頼むよ。3人には俺から話しておくから…」


こうして俺達は、皇国を訪れる事が決まったのだった。

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