第48話 サイクロプスとの戦闘
とりあえず、俺が教えられそうな技を試させてみる。
一通り試してみた結果…
「…まあカレンは【錬気法】【重錬法】が出来るのは当然として、【縮地】も良い感じだな。【魔闘術】【透かし】は普通で、【連鎖法】【分割思考】は苦手か…」
「【錬気法】や【重錬法】は元々やってましたし、【縮地】も私に合ってます。【魔闘術】と【透かし】も練習すればものに出来そうです。…ただ、【連鎖法】と【分割思考】は…」
「そうだな…【連鎖法】と【分割思考】は、まずは2つまでにしておこう。残りの技の方に重点を置いて習得するように」
「……はいっ!!先生っ!!」
元気よく返事をして練習に励むカレン。
続いては…
「ルミラは【錬気法】【透かし】【分割思考】が得意で、【重錬法】【魔闘術】が普通、そしてと【縮地】【連鎖法】が苦手か…」
「すいません。…本来なら【縮地】の習得が最優先と思いますが、どうにも感覚が掴みにくいんです。【連鎖法】も微妙な調整が上手くいかなくて…」
「得手不得手があるの仕方がない。それよりも【分割思考】が得意なのは大きい。もう3つ使えるならお前の強みになる。まずは長所を伸ばせ」
「……はいっ!!頑張ります、お師様!!」
気持ちを切り替えて、ルミラは練習に戻った。
最後は…
「フィリアは【魔闘術】【連鎖法】【分割思考】が得意。それ以外全てが苦手か。…綺麗に得意と苦手に分かれたな…」
「……見事に魔術系に偏りましたね。ある意味諦めもつきますが…」
「…まあ、お前に合った偏り方なのが救いだな。ただ、苦手の中でも【縮地】と【透かし】は最低限の練習は続けるように。魔術が効かない相手もいるからな」
「解りました。導師様」
(…まずは得意を伸ばして、実戦で検証だな)
こうして攻撃力を上げる修行を本格的に開始したのだった。
5日後、俺達は冒険者ギルドへ行き、サイクロプスの討伐を受けた。
今日までそれぞれが長所を伸ばし、今回初めて成果を試す時がきた。
「という訳で、今までの修行を試す時だ。まずは今まで通りに攻撃する様に。その後訓練で身に付けた事を試して、その差を実感するんだ」
「「「…はいっ!!」」」
「……ただし、今回試すのはあくまで得意なものだけだ。普通、苦手に分類されたものは俺の許可無く試さない事。…解ったな?」
こうしてサイクロプスの討伐へと向かった。
サイクロプスは1つ目の巨人で、攻撃力、防御力ともに高く棍棒から繰り出される一撃は、どれも致命傷になり得る威力を持つ。
そしてその巨体に見合うだけの生命力を持ち、簡単には倒せない厄介な相手だ。
一方で魔術は使えず、動き自体は単純なので、単体なら討伐の危険性は低くなる。
ただし、今回は5体のサイクロプスが確認されている。
それ故に依頼のランクがAランクなのだ。
複数のサイクロプスを、個別で討伐することは極めて難しい。
そして同時に複数のサイクロプスを迎え撃つのは、自殺行為に等しい。
だから複数のパーティーが、それぞれ1体づつと戦うのが正解なのだが…
「まず俺が4体の動きを止める。残った1体を3人で倒したら、それぞれと1対1の状況を作るから倒すんだ。最後の1体はまた3人で倒して、最初の1体との違いを確かめろ」
巨体のサイクロプスを見つけるのに時間は掛からなかった。
遠くに見えるサイクロプスの群れに、【認識阻害】【麻痺】【継続】の魔弾を打ち込み、4体のサイクロプスの動きを止める。
残った1体はいきなり動きを止めた仲間を見て、不思議そうにしていたが
「はあぁぁぁ!!【ダブルバイト】!!」
カレンが足の間を駆け抜け、両足の脛を深く斬り裂く。
「グオオオオオッ!!」
突然両足を切られ、両膝をつき呻き声を上げる。
「今だっ!!喰らえ!!」
「そこですっ!!」
その隙にルミラが【フレイムランス】を、フィリアが【ホーリーランス】を弱点の目に叩き込む。
「ウガアアアアァァァァ!!」
目に攻撃を受けのた打ち回るサイクロプスに、カレンが止めの一撃を打ち込む。
「いっけえぇぇぇぇ!!【メテオスラッシュ】!!」
カレンの一撃が、サイクロプスの首を正確に捉えその巨体が倒れてゆく。
まずは最初の1体は問題なく倒せた。
一息つかせてから、本番に取り掛かろう。
「……さあ、それじゃ言っていた通りに、次は1対1でサイクロプスを倒すんだ。
焦らず、冷静に戦えば無理な相手じゃない。訓練の成果を出せ」
「「「はいっ!!!」」」
俺は3体のサイクロプスに、【麻痺解除】を打ち込み動けるようにする。
3人に指示をして3方向に分かれて移動させた後、
「「「グルアアアァァァ!!」」」
怒りの表情でこちらにむかってくるサイクロプスを
(…【結界】【強固】【物理攻撃吸収】【壁】【巨大化】で分断する)
サイクロプスを巨大な半透明な壁で3方向に分断した。
…さあ、サイクロプスとの1対1だ。
実戦で身に付けた技を試して、使い勝手を確かめろ。




