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第45話 魔族への尋問


さて、早速捕らえた魔族に対し、尋問を始める。


「まあ期待はしてないけど、自分から魔族の情報を話す気はあるか?」


「…はあっ?話す訳ねーだろうがっ!!舐めんなっ!!」


…そうだよなー。コイツにしたら話すメリットが何も無いもんなー。

話せば助けてやるって訳にもいかないし、……奥の手を使うか。


…こういうのは3人に見せるのは早いだろうな…


「…お前達は馬車に行ってろ。すぐに終わらせるから」


「…ですが、先生。こういう事から目を背ける訳には…」

「お師様だけに、こういう事を押し付けたくないです」

「せめてこの場に居させて頂けないですか、導師様?」


「…お前たちが居ると、俺が非情になりきれないんだ。今回だけは頼む」


俺がそういうと、3人はかろうじて納得してくれた。


俺は魔族に対し【強制会話】【質疑応答】【自傷阻止】【虚偽禁止】を付与した。

一見、なんの影響も見えないが俺が魔術をかけたことに


「…テメエ、何の魔術をかけやがった?答えろっ!!」


「…お前の名前はなんだ?」


「…アンドラスだ。…!?おいっ!待てっ!マジでなにしやがった!!」


「お前が【強制会話】するようにして、【質疑応答】に答えるようにした。

さらに【自傷阻止】で自殺を禁じて、【虚偽禁止】で嘘を禁じた」


「……何もんだお前。こんな魔術どうやって身に着けた?」


これまでに見せたことが無いような、真剣な表情で問いかける。

実際こんな理不尽な魔術は、俺以外では見たことが無いだろう。


「…鬼のような師匠に、地獄のような環境で鍛えられただけだ」


今思い返しても、本当によく生き残ったと思う。

…あの頃と比べたら、大抵のものはマシに思えるのもどうかと思うけどな…


「それより質問だ。お前は何故、ここを訪れた?」


「…上からの命令だ。ここのリッチがどうなったか確認して来いと…」


「目的は何と言っていた?」


「…解らない。俺には知らされていない」


「お前の上役の名前は?」


「…ベレト様だ。魔族の中でも5本の指に入る実力者だ」


(…大王ベレトか、面倒くさい奴が出てきたな)


現在判明している中で、魔族には魔王を除き大魔族と呼ばれる4人が存在する。

君主ベリアル、大将軍ガープ、邪王アスモデウス、そして大王ベレトだ。

これらの大魔族は魔王の配下でありながら、決して魔王に忠誠を誓ってはいない。

何かあれば、その座を取って代わろうとする野心家達だ。


最大勢力が魔王である事に間違いはないが、魔王に次ぐ大魔族も強大だ。

独自の領土を有し、上位魔族以下多数の配下も抱えている。


(そんな奴がリッチに接触したのは、戦力増強か、他に目的があるのか…)


…まあ、考えても解らんな。一応筋肉ダルマ(ギルドマスター)に報告しておくか。

後の事は冒険者ギルドが、各所と連絡を取って調べるだろう。


「…それじゃ、最後の質問だ。この女性(ひと)に見覚えは無いか?」


そう言って、目の前に魔力壁を出し【映像】【記憶】を付与する。


「…知らない。会った事もない」


微かな期待ではあったので、そんなにショックは受けなかった。

今までずっと探していたのが、急に見つかるはずもない。


「それじゃ悪いが、始末させてもらうぞ。…言い残すことはあるか?」


「…無えよ。…思い出した、お前《最巧》だな?ならしかた無えな」


「……その呼び方恥ずかしいから止めろ。てか魔族にも知られてんのかよ」


「ああ、《最巧》には関わるな。あれは魔族にとっての死神だってな…」


まあ、パーティーとはいえ上位魔族を討伐すれば警戒もされるか。

別に、俺1人で討伐した訳じゃないんだけどな…


「じゃあせめて、苦しまないようにしてやるよ。それじゃあな」


「…テメエも地獄へ落ちろ。待ってるぜ」


俺は【痛覚遮断】を付与して、【切断】を付けた魔力糸で首を落とした。



討伐の証明として、魔族に存在する(コア)と呼ばれる部位を回収しておく。

残った魔族の身体を【消滅】の魔弾で跡形も無く処理しおいた。


(……魔族の動きが活発になっている。上位魔族が動き出したらマズイぞ)


俺はそこはかとない不安を感じながら、3人が待つ馬車へと移動した。



俺の姿を見つけた3人が駆け寄ってくる。


「先生っ!あの、すいませんでした。先生だけにあんな事を任せて…」

「本来なら、少なくとも私達も一緒にいて、責任を負うべきなのに…」

「おこがましいかも知れませんが、私達は同じパーティーの仲間なのですから、

導師様1人で全てを背負わないで下さいね」


「……これは俺の我儘だ。お前たちが謝らなきゃいけない事じゃ無いだろ?」


「「「それでもですっ!!!」」」


(……全く。相変わらず真面目でおひとよしだな、コイツらは…)


本当は3人の言動を甘いと叱るべきなのだろうが、大分3人に感化されたのか、

微笑ましい気持ちになっていた。


「……まあ、気が向いたらな」


そう言って3人の横をすり抜けると


「……先生っ!!」

「……お師様!!」

「……導師様!!」


後ろから3人の非難がましい声が聞こえた。

俺は3人の言葉に苦笑しながら、馬車へと向かうのだった。

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