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第190話 俺のいない間に

魔王軍編その4です。




帝国軍から王国軍に帰還したのは4日後の朝だった。

ベレトを倒したその日にカレン達に翌日帰る事を告げて、現在地を確認したら多少距離が離れていた。

次のベリアルの領地には3国の軍による同時攻撃が予定されているので、それぞれ足並みを揃えるように調整が働くだろう。


こうして王国軍に帰ってきた俺とルミラは、まず総大将に帰還の報告と帝国軍での事の顛末を話しておいた。

結構話し込んでしまい、途中間食を挟みながらで開放されたのは昼前頃だった。

テントから出ると何時からいたのか、カレンとフィリアが待っていた。

2人はこちらの姿を確認すると、嬉しそうに駆け寄ってきた。


「先生、お疲れ様でした。随分と長くお話されていたんですね」


「ああ、この後話すけど向こうの大魔族がちょっと変わっててな。その辺りの説明に時間がかかっちまった」


「それは大変でしたね。でもルミラも何故導師様と一緒にいたのですか?報告だけなら導師様1人でよかったでしょうに……」


「いや、この先お師様の代わりに報告する事があるかも知れないしな。勉強の為に同席させて貰った」


「……疲れてるだろうから休んでろっつったんだけどな。そういうとこ本当真面目だよな、お前……」


とりあえず食事を取りながら向こうでの事を話す事にした。

軍の食事は通常、時間を決めて何組かに分け順番に食べるのが一般的だ。

一応、お偉いさんや俺達はかなり融通が利くのだが、特別扱いは望んでいないので一般兵と同じ様に食事はしていた。

ただ今回はベレトの事を話したりするので、遠くの端の方で食事をしていた。


「……という訳だ。影武者の方は、どちらかと言えば強いっていうよりは厄介って感じだったし、本人の方は同情する余地はあったのかも知れないが、俺は許す事は出来なかったな」


「……あの先生?そのベレト本人の方は、その力を別の事に使う事は出来なかったのでしょうか?」


「……どうだろうな。あの力じゃ魔族の世界では認められなかっただろうし、仮に認められたとしてもそれは本人が望んだ形じゃなかっただろうからな」


「お師様の仰る事が本当ならベレト本人も魔族の世界の被害者で、どこかがほんの少し違っていれば、ああならなかったのかも知れませんね」


「……強さへの渇望が強すぎて、道を間違えたのでしょうね。だからと言って故郷の村を滅ぼしたのは、導師様と同じで許せませんけど」


「まあ、もう考えても仕方がないだろ。それよりもお前達の方は何か変わった事は無かったのか?」


俺がそう問いかけると、カレンとフィリアは顔を見合わせ


「……変わった、というか少々困った事なんですが……」

「食事の時や休憩の際に『一緒にどうか?』と誘われる事は多かったですね」


と、少し困った顔で言ってきた。


「……要するに、ナンパされて困ったって事か?」


「ナンパと言うほど下心丸出しでは無いんですが……」


「ああ、私とカレンの時も確かに多かったですね、そういえば」


「正確には、導師様がいない間に声をかけていたんです。だから、ほら……」


フィリアが目を向けた方向に顔を向けると、結構な数の王国兵が顔を背けた。

……あー、気持ちは解るぞ、お前達。

ただでさえ戦場で娯楽も少ないし、見目麗しい女性なんて皆無だもんな。

俺がいたら声をかけ辛かっただろうし、チャンスだと思ったんだろうな。


「……それでお前達は、その誘いをどうしてたんだ?」


「私は最初は、食事ぐらいならって思ってたんですが……」


「その時は私が止めました。お師様がいない時を計って声をかけてくるその根性も気に入りませんでしたし、他にも同じ様な雰囲気の人が何人もいたので、一度でも応じたら収拾がつかなくなりそうだと判断しました」


「私もカレンから話を聞いて、同じ判断をしました。全て断っていたのですが結局導師様が帰って来られるまで、ほぼ毎日食事や遊びの誘いがありましたね」


……うん、それで正解だろうな。

仮に受けでもしたら、受けて貰った奴と断られた奴の間に溝が出来るし、万が一にでも手を出そうとしたら軍法会議ものだからな。

てか王国兵(おまえ)達、今の時期に《勇者》達に手を出して良い訳ないだろ……


「……は~、何つーかしょーもないようで地味に深刻な問題だな」


「あっ、でも先生が帰ってきたなら、もう声をかけられる事も無いと思いますよ」


「まあ、元々お師様がいた時には行動しなかった人達ですからね」


「……もう声をかけてこないように、私達が導師様のものなのだともっとアピールすべきでしょうか?」


「……それ本気で俺の首が飛ぶから止めろよ。マジで止めろよ、なあ!!」


至って本気の俺の言葉に、3人は


「……でも、私ずっと先生に放っておかれてましたし……」


「シャルロット様の件もありますし、お師様の態度次第ですかね?」


「……そのシャルロット様の件は後で聞くとしまして、導師様にはもう少し私達の扱いを考えて頂きたいですね」


と、3者3様の表情でそんな事を言ってくるのであった。

おまたせしました。

さあラストスパートなんですが、現時点で6月突入がほぼ確定です。

本人は魔王軍編その4と魔王編が10話づつくらい、後日談、エピローグで4話くらいを予定していたのですが魔王軍編その4が15話くらいになりそうです。

魔王編はまだ不明ですが、自分の事なので長くなる可能性はあります。

計画性の欠片もなく本当に申し訳ありません。

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