表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
182/224

第181話 敵戦力排除


純魔力の【フレイムランス】が込められた《緋槍プロミネンス》はその全身を白く染めあげていた。

そしてそこから放たれた白く巨大な熱線が、敵陣の中央を貫いてゆく。

本来は純魔力での【ファイア】までしか使わない約束なのだが、今回は特別だ。

ルミラの身長ほどの熱線が消えた後には、欠片も残らず消滅した小型の魔物や身体の一部が無くなった大型の魔物の姿があった。


直線上にあったもの全てを消し去って、魔物達に多大な被害を与える。

しかし、まだ攻撃の手を緩めるつもりは無い。

再びルミラが【フレイムランス】を《緋槍プロミネンス》に充填してゆく。

そして再び巨大な熱線が、魔物達を貫いた。


魔物達は1度目は何が起こったのか解らず思考停止状態だったが、2度目になるとあれが放たれるとヤバイ事という事を理解して大混乱となっている。

戦場から逃亡を図るものからこちらを攻撃しようと向かってくるもの、ただその場で騒いでいるだけのものまで様々だ。

その中でも大型の魔物は進むにしろ退くにしろ、周囲の魔物を巻き込んでより一層混乱を加速してゆく。


ルミラはその間も【フレイムランス】を充填しては、熱線を放ち続けた。

最前線で行っている為、魔物達がこちらを潰そうと集中して襲い掛かってくる。

しかしそれらは俺達3人が完全に防ぎ、ルミラに手出しはさせない。

熱線を放つ回数が5回を越える頃、目の前には散り散りになって逃げてゆく魔物達の姿と、多くの魔物の死骸が残されていた。


さて、せっかく背中を見せてくれているので遠慮なく追撃しよう。

逃げる際に飛んで逃げようとした連中もいたが、俺が配置しておいた魔弾に次々と撃ち落とされていった。

更に相手が壊滅して逃走するのは読めていたので、逃走経路になるであろう場所に昨晩魔力を流す事で発動する罠を仕込んでおいた。


作りは単純で【切断】【強靭】が付与された魔力糸が地面から飛び出し回転するといったものだ。

巻き込まれればただじゃすまないし、罠と罠の間にはわざと隙間も空けてある。

こういった場合、完全に逃げ道を塞ぐと死に物狂いで反撃したりするが、不思議と逃げ道を残すと厳しそうでもそこを目指す奴が必ず出てくる。

その際に慎重に進めば良いものの、大抵は我先にとなって被害が出るものなのだ。


そうやって逃げそこなった連中は帝国兵に任せて、俺は【遠見】で残った魔物の中から強力そうな魔物を見つけては【隠蔽】した魔弾で狙撃した。

特に、魔族を中心とした小型で強力な奴を出来るだけ排除しておきたかった。

大型の魔物はルミラの熱線のいい的だし、小型の奴が紛れ込む方が厄介だ。

幸いそういう奴ほど逃げずに向かってくるか、その場に留まるので判別しやすい。


ルミラの熱線も最初に中央、次に左右の端、最後にその中間を狙って多大な成果を上げた。

5発しか撃たなかったように見えただろうが、あれ以上は武器が持たない可能性が高かったのだ。

《緋槍プロミネンス》本体は熱に強く壊れる可能性は低いが、中に仕込まれている魔石は別だ。

俺が1発撃つたびに【修繕】していたのだが、純魔力の【フレイムランス】は熱量が桁違いで【修繕】が追いつかなかった。


1発目を撃った時に5発が限界だと判断して、ルミラにああいう撃ち方をさせたがその判断は間違いじゃなかった。

この後念の為、ドウェルグに1度整備して貰った方が良いだろう。

敵も戦意喪失していて、今日の所はこちらの勝利は揺るがない。

こうして今日の戦いはこちら側の大勝利で終わり、帝国軍の士気も大いに上がったのだった。



思っていた以上にあっさりと戦闘が終わり、あの様子なら奇襲を仕掛けてくる事はまずないだろうと判断され、帝国軍は久し振りの大勝利に沸いた。

普段よりちょっとだけ豪勢な食事に酒もついて、あちこちから騒ぐ声が聞こえる。

こうしてみると、やはり今までかなりの鬱憤がたまっていたのだろう。

それらを吹き飛ばすように、皆が今日の勝利を喜んでいた。


俺は帰ってきてから、まず最初にセシリアさんの所に向かった。

セシリアさんは俺がここに来てから僅かな休憩以外ずっと、傷ついた兵士達の治療に当たっていた。

いくらセシリアさんでも流石に無茶だと思ったので、昨晩治療所となっている場所の一角に【治癒】を付与した結界を設置して、多少の傷ならそこにいるだけで自然に治癒されるようにしておいた。


その様子を見に行ったのだが、結界は上手く機能しているようで治療班の人達から大いに感謝された。

この結界のおかげで治療班は重傷者に専念する事が出来て、他は結界に任せる事で負担が大きく減少した為だ。

セシリアさんは相変わらず忙しそうだったが、俺と目が合えば微笑み返してくれる程度には余裕が出来たようだった。


ちなみにルミラは《緋槍プロミネンス》の整備の為、ドウェルグを訪ねたのだが


『何て使い方してやがるんだっ、お前等はああぁぁぁぁぁぁ!!!!』


と、かなり怒られたそうだ。

当然、俺は予想出来てたから行かなかったけどな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ