高校デビューの日は雨でした。2
私は今年の春休みから、この家に引っ越してきた。中学では普通に親も海外行ってたし、お兄ちゃんも大学行ってたから私立中の寮生活だったけどお兄ちゃんが大学卒業したから、お兄ちゃんと一緒に暮らすことになった。
「あ。私の事はお嬢様じゃなくて冬李でいいんだけど。」
「分かりましたよ。冬李お嬢様。」
ニヤニヤしながら兄が言う。
お嬢様じゃなくていいのに。。。なんか恥ずかしい。
そんなことを思いながら、朝食を完食する。美味しかった。
「ごちそうさま。」
「じゃあそろそろ学校行くから、準備してくださいな。」
うぅー学校。やだなぁ。家では好きなだけゴロゴロできるし、春休み楽しかったのに残念。
初日からこんなことじゃ駄目だよね。
「お嬢様。お髪を整えさせていただきます。」
「あ。よろしくです」
「どのような髪型にされますか?」
んー。やっぱおさげかな。おさげっていっても三つ編みじゃない。そんな優等生キャラじゃないからね。
私にはかなりおさげが似合う。自分でいうのも変だけどね。
「おさげでお願い。」
「三つ編みはされますか?」
「しなくていいよ。」
お嬢様って髪も整えて貰えるのか。将来が心配。
でも、もう他人事じゃない。お兄ちゃんが、夏海家を継ぐとして、きっと私はお嫁さんに行くのだろう。それもちゃんとした家に。という事は、私は一生お嬢様生活をすることになるだろう。なんか悲しい。
「出来ました。お嬢様。」
「ん。ありがと。」
うまい。うまいぞ! プロか!? プロフェッショナルなのか!?
「お車にお乗りくださいませ。」
さっきのエプロンの人に案内されて玄関に行く。靴を履いて外に出ると、見事な土砂降り。
普通こういう日は、快晴で、桜の花びらとかがパァーってなるもんでしょ!
外で傘を用意してくれていた人にしっかりお礼を言ってから車に乗る。ん!? 長い。車が長いぞ!こんな車、家にはないはず。
「あのー。お兄ちゃん。車って。」
「これ? レンタル。入学式くらい見栄張りたいじゃないすか。流石に車は買いませんってwお手伝いさんは入学祝いだと思ってください。」
wって。なんか馬鹿にされた気がするぞ。