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未来を見つめる瞳は



家に戻ると、今度は母が出迎えてくれた。

「またお兄ちゃんにパシリにされたのね」

「うん」

「でもよかったね。

明日、台風が夕方に上陸するらしいから午前授業にするって学校からメールが来たよ」

普段なら手を叩いて喜ぶところだけど、それはできない。

明日は絶対に台風なんて来てはいけないのだ。

しかも夕方からなんて、酷すぎる。

……きっと、明日で奏汰さんに会える最後のチャンスだから。


靴を脱ぎ捨てると、リビングに駆け込み、バラエティー番組を見ている兄の手からリモコンを奪って天気予報を探した。

しかし、こういう時にかぎってなかなか見つからない。

十数局回してみて、ようやくCNNニュースで天気予報をしているのを見つけた。

水色のワンピースをきたアメリカ人の気象予報士が英語でなにやら説明しているけれど、うまく聞き取れないから詳しい事はわからない。

それでも、奏汰さんと会う時間に台風が上陸する確率がかなり高いということだけは理解出来た。


どんなに天気が悪くても、私はあの人に会いにいきたい。

でも、高波の心配がされると、高台への道は封鎖されてしまう。

もしかしたら、昭和十九年の明日の夕方も台風が上陸しているかもしれない。


私に会いに来るために、奏汰さんに危険が生じるのなら、会えなくったっていい。

でも、別れ際に彼はこう言ったのだ。

「また明日」

と。

奏汰さんは絶対に来る。

約束を破ったりするような人ではないから。

まだ二回しかあってないのに、やっぱりわかる。

真っ直ぐ前を、未来を見つめる瞳は裏切らない。





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