現在2
四月の空。
僕たちは新しい出会いを迎える。
と、ともに
未来の選択をしなければならない。
目の前に置かれた進路指導の薄っぺらい紙。
先生の「来週の火曜までには出せよー」と
ダルそうな声が聞こえた。
僕には、なりたいものがない。
いや、ないと言っているだけで
諦めてるのかもしれない。その未来を。その夢を。
音楽を作りたい、小説を書きたい、ゲームをしたい。
やりたいことはあるのに、それには「なれない」。
音楽を作るならバンド仲間が必要だし、
作詞作曲の才能がなければならない。
小説を書くなら文章力がなければならない。
ゲームをしたいのなら、職業的には実況者だが
面白いことを話す才能も、環境的に無理だ。
「はぁ....」
何を考えても後ろ向きになってしまうのは
僕の悪い癖だ。
「(とりあえず、この紙をどう埋めるか)」
親には大学に行けと散々言われてきた。
地元の大学限定だが。
本当は、夢を追いかけたい。
都内の専門学校に行きたい。
けれど、都内の大学を目指してる友達に
シェアハウスしようぜ★ なんて僕は言えず。
そっと、目の前に紙をおく。
机に顔を伏せると、ひんやりとしていて気持ちいい。
僕は、そうしてまた現実から逃げた。