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普通じゃない俺の普通の日常  作者: ブラウニー
5/15

五話 普通じゃない俺の幼馴染

 それは突然俺たちの世界にやってきた。

 それは突然やってきて俺達の世界の資源を奪っていった。

 その正体はいまだ不明。

 その明確な目的も不明。

 それについて今俺達人類が分かっていることは大まかに

 1つ、それは俺達とは違う世界(次元?)からやってきた。

 2つ、それは俺達の世界よりもかなり優れた科学技術を有していること。

 3つ、それは地球の現存するいかなる生物とも性質・強靭さにおいて遥かに凌駕すること。

 以上の3つである。

 奴らについていまだわかっていることは非常に少ない。数十年前奴らが初めて俺達人類の前にはっきりと姿を現した時に俺達は初めて自分達以外の知的生命の存在を確認した。

 その政府は奴らに対話を試みた。結果は・・・・・一方的な侵略だった。その時派遣された人間はその場で殺害・拉致されたらしい。その後やつらが乗っていた飛行船による破壊・略奪行為である。もちろん人類側も反撃を試みた、通常の兵器は奴らに対して効果はあまりみられなかった。しかしまったく通じなかったわけではなくミサイル等の破壊兵器はさすがに通用した。しかしそれでも相手の進んだ科学技術と人類を遥かに上回る能力を持つ奴らには分が悪かった。


「わたしが奴らをやっつけます~」


 その場の慌ただしい雰囲気とは裏腹に沙織姉の声はどこまでものんびりしたものだった。


「ひ、姫屋君。そ、そうだ彼女に出てもらおう。彼女なら大丈夫だ。そうだろ向坂先生な、な」


 教師の一人がそう言いながらかなり焦った様子でまくし立てる。


「あいつ誰だっけ?」


「確か国語教師の田代先生ですね」


 俺がさっきの入学式の教員の自己紹介の時の記憶からあの先生を思い出そうとすると隣の香織が答えてくれた。


「あんまり印象に残ってねえな~」


「私も噂に聞いた程度ですけどあまりいい噂は聞きませんね」


「田代先生いくらSランクとはいえ生徒に戦わせるのはどうかと」


 そう黒子先生が眉間に皺をよせながら言った。


「わたしならだいじょうぶですよ~黒子先生~」


「しかし姫屋いくらお前が強くともお前は生徒だ。ならばお前を守るのは教師である私の役目だ」


 黒子先生がそう言って沙織姉を止めようとする。黒子先生は普段はかなりいい加減な態度の教師ではあるがあの人はあの人である種の信念を持って教師をしているのだ。


「(まあ、だからなんだかんだで俺も沙織姉や香織もあの人頼りにしてんだけどな、でも多分・・・・)」


「ご心配ありがとうございます~黒子先生~でも・・・」


 そのとたん周りの温度が一気に低下したような気さえした。


「(あ、やっぱり)×2」


 俺と香織の心のこえが重なる。


「すこし~おこってまして~」


 普段の沙織姉からは考えられないほど低い声音が出た。


「・・・・・はあ、わかった正し無理は絶対にするなよ。危険だと判断した場合必ず退避しろいいなこれは教師命令だぞ」


「わかりました~」


 黒子先生はしばらく考えた後沙織姉の説得は無理だと判断し仕方なく行かせることにしたようだ。それでも最後まで心配をするのはあの人がそれだけ沙織姉を本気で心配しているからだろう。


「沙織姉さん気を付けてくださいね。姉さんは意外とうっかりが多いですから怪我でもしたら私も詩織ももちろん勇将も悲しみますから、何でしたら私も手伝いましょうか?」


「わかってるは~香織ちゃん、無理はしないは~それと手伝いはいらないは~香織ちゃんはあまり実戦経験はないでしょ~見たところ相手の数もそんなに多くないし~わたし一人でだいじょうぶよ~」


「ならいいのですが」


「じゃあいってくるわね~勇ちゃん、香織ちゃん」


「行ってらっしゃい」


「行ってらっしゃい沙織姉」


 沙織姉とそんな会話をした後香織は先生の指示に従い非難していった。俺は・・・・。


「沙織姉」


 俺は静かに沙織姉を呼び止める。


「なに~勇ちゃん」


 沙織姉が振り向く。

.......

「俺が戦ろうか?」


 俺が静かにそう沙織姉に問いかける。しかし沙織姉は静かににっこりと笑い。


「ありがとう、でも大丈夫だよ勇ちゃん」


 そう答えた。


「・・・・分かった。正し万が一の時は・・・」


「うん」


 そう言って俺も香織達の列に入っていった。

 そうして全校生徒の非難が学校専用のシェルターに完了したころ。シェルター内にある巨大モニターから

外の様子が映し出された。そこに映っていたのは黒い・・・奥に何があるかもわからないほど黒くそして巨大な空中に空いた穴から奴らの船が出てくるところだった。


 「相変わらず趣味の悪いデザインだな」


 「そうだね」


 そう俺と香織が言うように、奴らの船はおよそ船とは思えぬ形をしている。それは巨大な天使(?)をかたどったようなフォルムをした船だった。その巨大な翼を広げ腕を胸の前でクロスさせるように十字に組み顔の部分のたぶんセンサーだけがギョロギョロとあたりを見回している。それが大小あわせて十二隻隊列を組むようにゆっくりとこの学園に向かってくる。


「報告によりますと敵ディセンターの戦力は主天使級ドミニオン一隻、能天使級パワー二隻、権天使級プリンシパティウス四隻、残りは天使級エンジェル五隻とみられています」


 映像からの軍の放送で敵の戦力が報告される。ディセンターとは奴らの呼び名である。敵のまるで天使を模したような船の見た目と奴ら自身の見た目を含めて皮肉を込めてディセンター(降臨者)と呼んでいる。敵の船もその大きさや形状から天使の等級で分けられている。主力艦と思しき主天使級ドミニオンは全長で百メートル近くある。


「しかし主天使級ドミニオンが敵の主力艦か・・・この学園を狙うにしてはあの戦力・・・」


 そう黒子先生が敵の戦力を見ながらそう訝しむ。そうしていると画面端の体育館の屋根の上に沙織姉の姿が映る。敵艦隊も沙織姉の姿を確認したのか沙織姉の方にその進行方向を向ける。そして敵の船から小さな人型が複数出てくるその姿はまさに全身に西洋の鎧を着こんだ騎士であるしかし普通の騎士と違うのは背中から純白の羽を生やしていることである。それは二枚であったり四枚であったり様々、しかしわかっていることはやつらディセンターは羽の数が多いほど力も格も高いようだということ。

 一人のディセンターが沙織姉に近づいていくその背中に生える翼は六枚おそらく指揮官クラスであろう。そいつは沙織姉をただ黙って見つめるだけでなにもしようとはしない、そんな相手に沙織姉は静かに語りかけた。


「あの~すいません今日はわたしの大事な家族の大事な日なんです~できればこのままおとなしく帰っていただけないでしょうか~」


 沙織姉のそんなあんまりにその場に合っていない間延びした声と内容に映像を見ていた生徒たちの大半は唖然としている。黒子先生と香織は額に手を当てて天を仰いでいる。どこからか詩織の「もうしょうがないな~沙織お姉ちゃんは~」という言葉が聞こえた気がした。


「・・・・・・・」


 一方のディセンターのほうは沙織姉の言葉が聞こえているのかいないのか(或いは理解できているのか)分からないがただじっと沙織姉を見続けている。


「あの~聞こえてます~?」


 沙織姉がそう嘆いた瞬間。


「#$&%%%」


 奴らが意味不明な言語を口にしたその途端周りの天使が一斉に沙織姉に攻撃体制を取り出した。


「あららら~やっぱりむりだったみたい~」


 沙織姉は頬に手を当て困ったような顔を作る。

 そう言いながらもディセンターの一体が沙織姉を捕えようとその手を沙織姉に伸ばしあと数センチで触れるという瞬間。


 バシ!


 突然その手は鋭い稲妻に弾かれた。


「帰っていただけないのなら~少々イタイ思いをしてもらいます~」


 そういった瞬間沙織姉の体から凄まじいほどの電気が放出された。それは目の前にいたディセンターを黒焦げにするだけではおさまらず敵の小型の船を四隻とその周辺にいたディセンター共も撃墜された。


「あら?」


 沙織姉が敵の船を撃墜したと同時に別方向から軍のミサイルや銃撃が飛んでくる。しかしその攻撃のほとんどが敵の発する特殊なフィールドに遮られる。


「バカめ敵のフィールドを破るには高ランクの異能者のように敵のフィールドを上回る破壊のエネルギーをぶつけねばならんと知らんわけではなかろうに」


 映像を見ながら黒子先生がそう吐き捨てる。


「しかしそれでも己の町は己で守りたいのだろうなバカ共め・・・」


 しかしそれでもそんな軍の行動に苦笑いを浮かべる。

 すると映像では攻撃をされた敵の船が軍の方へ攻撃目標を変更する。船の腕の部分が指先を軍の方へ向けその指先にエネルギーが溜り始める。


「させない~♪」


 そういい軍と敵船の間に割り込む、次の瞬間沙織姉に向けて指先から光の粒子が放たれる。それに沙織姉は掌を向けてこちらも超高密度の雷撃の槍を生み出す。光の粒子と雷撃の槍が空中でぶつかり合いその余波ですさまじい衝撃波が周囲にまき散らされる。


「え~い」


 そう沙織姉の可愛い掛け声とともに雷撃の槍が倍近い太さにかわり光の粒子を飲み込みそのまま敵の船を貫いた。貫かれた船は地面に激突する前に粒子になって消えていった。ディセンターはやられると船もディセンター自身も粒子となって消える。だからこそ今の今まで奴らについてあまり解明されていないのである。


「あまり長引かせるのも~あれだし~一気にやっちゃいましょ~軍の人たち~退避おねがいします~」


「え?あ、あありょ了解。総員退避~下がれ~」


 沙織姉が軍を下がらせる。そうして沙織姉は静かに目を閉じて力を溜める。


「沙織姉さん終わらせる気ですね」


 香織がそう言いながら画面に目を戻せば沙織姉の周りで渦巻いていた雷がそのエネルギーを増すごとに雷の色が黄色から蒼色に変化していく。


「ひさしぶりに見るな、沙織姉の蒼雷を見るのは」


「そうですね最近姉さんはあまり異能を使っていませんでしたし」


 画面の中では沙織姉の周りで蒼い稲妻が周囲に渦巻いているしかしそれは無差別に渦巻くのではなく完全に沙織姉の制御化に置かれている。そのエネルギーが次第に沙織姉の左手の掌に集まっていく。それは次第にバレーボール位の大きさのた玉に変わる。


「&&%$$##$」


 そのあまりのエネルギー量に敵の指揮官の六枚羽が焦ったように周りの天使と船に指示をだして沙織姉に一斉に攻撃をしかける。しかし・・・


「バーカ。もうおせーよ」


 俺がそう言ったと同時に沙織姉がうっすらと目を開けた。そして静かに告げる。審判を。


「【天罰の稲妻ネメシスライトニング】」


 それを告げたと同時に沙織姉の手から蒼い雷の玉が発射されそれはディセンター達の艦隊の手前約50m位の所で制止する。一瞬何も起こらないと思われたが次の瞬間俺たちの見ていたシェルターの画面いっぱいに眩い光が入ってくる。


「きゃあ、何!眩しい」


「何が起こったんだ!」


「姫様は無事なの!」


 そこかしこで皆が驚愕や恐怖の声が上がる。そして画面の光が少し収まり皆に見えるくらいの画面になった時目に飛び込んできた光景は俺と香織以外のほぼ全ての人間にとって信じられない光景だった。


「いっ、一体何が!」


 一人がそう漏らす。それも無理ない話だろうなんせ光が収まった画面に映し出されていたのは全ての敵艦とディセンター共が撃ち落され消えようとしている光景だったのだから。


「す、すごい!」


「さすが《雷鳴の戦姫》沙織様だ」


「しかし一体何が起きたんだ?」


「お前達の中にも聞いたことがあるものがいるだろうあれが‘雷鳴の戦姫’の蒼雷だ」


 黒子先生がそう言ってやればあたりからざわめきが起こる。


「おおあれが噂に聞いた」


「《雷鳴の戦姫》のある種代名詞とも言える物だからなあれは、しかしあれの一番驚愕すべき所は威力じゃない姫屋自身の制御能力だ」


「制御能力?」


「そうだいくら威力があるといってもさすがにあのサイズの船を一撃で落とすのは普通は不可能だ、しかし姫屋沙織はその制御能力で蒼雷が敵に着弾した瞬間そのエネルギーを全て敵の船の機関部に叩き込んだのだ、しかも全ての船に着弾した瞬間にな」


「ま、まさかそんなことが・・・・」


「普通はできない、あれほどの膨大なエネルギーを生成・形成・制御しつつしかもそれが手元を離れてなおかつ敵に着弾した後まで完璧に制御化に置くことがどれほどすさまじいことか同じ異能使いならわかるだろう?」


「・・・・・」


 黒子先生に言われて皆信じられないという顔をしている。


「確かに沙織姉さん前より力の制御が上がっていますね」


「そうなのか?」


 俺が香織に聞き返す。


「ええ前以上により制御できる力の幅が上がっています。前はネメシスライトニングももう少し小さかったですしね」


「香織にも無理なのか?」


「無理ですね、あれと同じ威力のものならできなくもないと思いますけど・・・・」


「けど・・?」


「自衛隊の方や周りの建物が一緒に消えることになりますね」


「うわー」


「そもそも私は出力はともかく制御能力が一歩及ばないからAクラスなんですから」


「そうだっけか」


「まあ私もいつまでもAに甘んじているつもりもありませんからね・・・・でないと沙織姉さんに負けっぱなしですからね」


「まあお前なら大丈夫だって、すぐに沙織姉に追いつくさ俺が保障してやるよ」


「ありがとう勇将、さあ非難命令も解除されるでしょうから沙織姉さんを迎えに行きましょうか」


「そうだな、てことで黒子先生」


「わかった行ってこい」


「・・・・・先生そこはさあもうちょっとなんてゆうか」


「なんだなにか言いたいことがあるのか秋津」


「いやいくら敵がいなくなったからってまだもしかしたら他にもディセンターが居るかもしれないじゃないですか、それをまったく躊躇も制止もなく行けって・・・・」


「ふん貴様がその程度で身に危険が及ぶなら私ももう少しお前に可愛げを感じている」


「うわひでえ」


「たく行くならさっさと行け早くせんと周りの者に怪しまれるぞ、今は場が混乱しているから今出て行っても問題あるまい一応そこの姫屋香織はAの異能者だからななんとでも言い訳もできる」


「わかりました。それではほら勇将行くよ」


「おう」


 そんな黒子先生とやりとりをした後俺達は沙織姉を迎いに行くべくシェルターを気づかれないようにでた。

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