四話 普通じゃない俺の入学式
どもども~感想・指摘等遠慮なくどうぞ
~姫路沙織~
朝の登校時の時間、ある騒動が起きた。私が原因で起きた騒動だった。
10年ほど前に世界中で異能が発現した人達が現れ始めた頃私の異能もその兆しを見せた。ある時妹達と遊んでいる時にうっかり転んだ時手がコンセントに当たった瞬間コンセントから電気が迸った。皆最初は漏電したのだろう言ったが同じような事が何度が起きた。その頃にちょうど世界中で異能が発現するという事件が起きていた、だから私のこの現象も異能によるものだとわかった。
「(あの時は最初戸惑ったけど~うれしかったわね~)」
そう私は嬉しかった、私の大好きな大好きな幼馴染の男の子の勇ちゃん。勇ちゃんは小さな頃から不思議な力があった。小さな頃はまだ私達しか遊び相手がおらず私達は勇ちゃんの力を怖がらなかった。でも勇ちゃんが小学校に入った頃勇ちゃんが自分と周りの子たちとの違いに少し悩み出したことがあった。私には勇ちゃんを慰めることはできても勇ちゃんの悩みを理解することはできなかったからだ、それが私にはとても辛かった。
「(でも)」
私にも普通の人にはない力ができた、これで勇ちゃんの気持ちが理解することができる、勇ちゃんと同じ苦しみを分かちあえると喜んだ。
結果的に私だけでなく世界中に同じ人達がたくさん現れたわけだけど、それでもよかった少しでも勇ちゃんと同じ気持ちが共有できるなら・・・
私に異能が発現して半年もしないうちに私の可愛い可愛い妹達にも異能が発現した。私はそれもとても嬉しかった、私達は母親こそちがうけど普通の姉妹以上に強い絆を持っていると思っている。私達は昔はなんでも同じ物を好きになった、食べ物も服も人形も好きな勉強もでもそれも私たちが成長するにつれて少しずつ違う物を好きになったり変わっていったりした。でも好きな男の子だけは結局変わらなかった。だから妹達にも異能が発現した時はとてもうれしかった、私達はやっぱりどんな時も一緒なんだと実感できた。
「みなさ~ん、おはようございま~す」
私が自分の教室に入ると一瞬教室が静まり返るも私の顔を確認するとすぐさま皆さん笑顔を浮かべる。
「あら、姫屋様おはようございます。本日も大変お綺麗ですね」
「ありがとうございます~」
「そういえば今日の入学式では姫屋様の妹様方がご入学されるとか、どのような妹様方なのですか?」
「と~てもかわいいんですよ~」
「もう当然じゃない姫の妹なんだから可愛いにきまってるよ」
「佐々木さん姫屋様にそのような口調は・・・」
「いえ~ぜんぜんかまいませんよ~」
実際私はこの佐々木さんのような砕けた口調で話す方は嫌いではない逆に好ましいと思っているくらいだ。
私は家の事もあり昔からいろんな人間にあってきた、利用しようした人間、媚を売ろうとする人間、腫物を扱うような人間、神聖視する人間、私の体目当て等あまりいい思い出がないだから佐々木さんのような遠慮のない方はとても新鮮でうれしい。
ちなみに勇ちゃんは別格、彼は私のことを家族としてまた普通の女の子として見てくれる。勇ちゃんの前でだけ私は普通の女の子になれる。
「所で姫様はさ好きな男子とかいないの?姫ってさ今まで結構の男袖にしてきたでしょ。たんに男に興味ないって感じでもないしいつぞやなんか誰に貰ったのか知らないけどアクセサリーをうれしそうな顔で一日中眺めていたことがあったでしょ、あれ絶対好きな男の子からプレゼント貰った恋する乙女の顔だったよ」
佐々木さんはそう言って私に再び話しかけてきた。しかもその内容は話し方はともかく内容だけは周りの人も知りたいことなのか皆興味深々と言った顔でこちらを見ている。女子は目をキラキラさせて男子は目線を向けず耳だけは全力でこちらに傾けている。
「え~と」
確かに以前勇ちゃんにプレゼントにアクセサリーを貰ったことがあった(姉妹全員)それがうれしくて家でも学校でも一日中それを眺めていた記憶がある。
「で、どうなの姫、いるの、好きな人?」
佐々木さんが純粋な瞳で聞いてくる。まあ別に隠すことでもないし。
「いますよ~♪わたしには好きな人~」
その瞬間教室中が一気にざわめく、女子からは黄色い悲鳴が、男子からはこの世の終わりのような声が。
「そそそれってこのクラスの奴?」
佐々木さんがやや興奮した面持ちで私に詰め寄ってくるそのセリフにクラスの男子の人達が若干期待のこもった顔をしている。
「ちがいます~」
が、次の私の即答で再び絶望に染まった顔になる。
「え、じゃあもしかして‘嵐帝’とか‘真眼’とかですか?やっぱり同じSランクだし」
‘嵐帝’‘真眼’この学園で私と同じ数少ないSランクの異能者と学内ランキング1位の人。
この学園には生徒間、主に異能者のみによる公式の試合が存在する。異能のランクによるランキングではなく純粋な実力のみのランキングが学内ランキングである。‘真眼’は異能のランクはAランクに近いBランクではあるのだがそれでも学内ランキングではこの一年間1位であるらしい。彼は異能だけでなく体術・戦術が超一流で、異能では上回る相手でも総合的な実力で上をいく本物の実力者・・・・らしい、実はこれ勇ちゃんに聞いたことなのだ、勇ちゃんはなぜかこういう話題は結構くわしいなんでも(やっぱ男は強さを比べてなんぼだろ)らしい、そんな子供っぽいところも可愛いんだけど。
‘嵐帝’は私と同じSランクの異能者、ほかに確か1~2人?位いたような。実は‘真眼’さんもそうだけど私こういう学園で有名な人とはあまり面識がない、ほかのSランクの人なんか一人しか会話したことがない。だから急にそんな名前を出されても
「?」
こんな感じで首をかしげるしかない。訳はなんでここでその人達が出るの?だ。
「いやだから二人とも異能者としても確か家柄的にもそこそこあったから姫とつり合いとれるかなぁと」
「ああ」
私はそこで納得した。最近研究で分かったことらしいのだがどうも高ランクの異能者同士で子供を作った場合高い確率で高ランクの異能者が生まれるらしいのだ。詳しい原理は知らない(興味ない)のだがそういう事らしい。だから現在国では高ランク異能者同士での婚姻が進められている。自国でそれだけ高ランクの異能者を保有することは他国より戦力的に有利になる。国同士のパワーバランスに影響を与える、それが私達高ランク異能者の力というものだ。
でも・・・・・
「わたしは~そんなの気にしませんよ~」
そう私はそんなの一切気にしない、よく国の偉い人等が私や妹達にそういう話を持ってくるが私は全てお断りしている。そもそも私に勇ちゃん以外の人と一緒になるつもりは絶対にない。お父さんもそういう政治的な事には興味がなく私や妹達にそういう事は強制しない。そもそもお父さんは私達にすごく甘いので私達が嫌といえば決して無理じいはしない。
「え、そうなの?」
「そういですよ~、そもそもやっぱりそういうことは~本当に好きな人としたいじゃないですか~」
「きゃーやっぱり姫様でもそういうの憧れたりするんですねー」
「あたりまえですよ~。しかも~わたしの場合は~10年近く片思いですから~」
「えーそうなんですか。姫みたいな綺麗方ならどんな殿方でも殿方のほうから言い寄ってくるものではないのですか?」
「残念ながら~」
「嘘ー姫の魅力が通用しない相手とかどんな堅物よ」
そうは言うが勇ちゃんは私や妹達に女の子としての魅力を感じていないわけではないらしい。たまにそういう類の視線を感じる時がある(男のチラ見は女のガン見)それでもそれ以上踏み込んでこない。遠慮してる・・・というよりは私達を大切にしすぎてどうすればいいのかわからないような感じだ。
「(そんなこと気にしなくてもいいのに~)」
そうため息をつきながら考える。勇ちゃんにだったらどんなことでもしてあげられるのに、あんなことやこんあこと////...
「それでどんな方なんですか?姫様の思い人は」
考え事をしていたらそう突然きかれて少々顔がゆるみかけていたのをあわてて直す。
質問については少し悩んでからまあいいかと思い直す。
「(別に隠すことでもないし~)」
その結果勇ちゃんがこうむる騒動は考えない。
「え~とですね~・・・」
私が勇ちゃんについて話そうと切り出した時教室の扉が開いた。
「は~い先輩達今日からあなたたちの可愛い後輩になる新入生達の入学式だから今すぐ体育館に集合~」
そう言って私達のクラスの担任が教室に入ってきた。
「じゃあ~話はまた今度ということで~」
「う~ん残念、姫の恋愛話なんて絶対校内新聞で受けるのに」
「そういえば佐々木さんって新聞部だっけ?」
「そうだよ~、学校中の話題、騒動、イベントあらゆる情報は我が新聞部におまかせってね☆」
「はいはい、話は入学式が終わってからね。早く皆体育館に行った行った。特に姫屋さんは在校生の代表あいさつの一人なんだから準備は早めにね」
「わかりました~」
先生に言われたので私達は話を切り上げて準備をして体育館に行くため教室をでる。入学式では先の先生がおっしゃたとおり私も在校生のあいさつがある。この学校では入学式の時、生徒の挨拶には3人の生徒が選ばれる、異能科の代表、普通科の代表、そして生徒会長の3人だ。生徒会長以外の2人の代表の選出基準は普段の学校の素行や成績、異能者は異能のランク等から選ばれる。私以外の高ランクの異能者の人は皆我が強い人が多くあまりこういう事に向いていないらしい。
「さあ、いきましょう~」
「(さあ私の可愛い妹と大好きな勇ちゃんの高校入学の大切な初日、しっかり迎えてあげなくちゃ)」
そう思いながら私は教室を出て体育館に向かった。
~秋津勇将~
現在入学式の真っ最中、俺はこういう式典系が一番苦手だ。出そうになるあくびを必死に我慢している。
「ちょっと勇将もうちょっとシャッキとして」
隣に座る香織から小声で注意が飛んでくる。
「そうはいっても俺はこういう座ったままでじっとしているのは苦手なんだよ」
「わかってるけどせっかく沙織姉さんが生徒代表で挨拶をするのですからキチンとしてよ」
「わかりました」
確かに今朝沙織姉がそんなことを言っていたきがする。一生懸命考えたとか言っていたからちゃんと聞いてあげなくいけないよなそりゃ。
「今日皆さんがこの学校に入学したこの日から皆さんの高校生活はスタートします。これから皆さんは3年間色々な経験や体験を通じて様々なことを学んでいくことだと思います・・・・・」
生徒会長の生徒代表挨拶が続く、3人の生徒代表の挨拶はそれぞれ生徒会長が生徒全体に向けて、普通科の代表が一般の生徒に向けて、異能科の代表が異能者の生徒に向けてそれぞれ挨拶をする。
そして話が続き生徒会長の話が終わり続いて普通科の生徒の代表挨拶の終わった。次はいよいよ沙織姉の挨拶の番が来た。沙織姉が代表挨拶者として司会役の先生に名前を呼ばれ檀上に上がった時そこかしこから小さく声がちらほら上がって来た。
「はあ~やっぱり綺麗だな~あんな先輩とこれから学園生活を送れるのか~、俺異能者じゃないけどこの学校入学してよかった~」
「よくゆうぜさっきまで待機中の教室で一緒だった黒髪の美少女に夢中だったくせに。しかし確かに綺麗だよな思はず見とれちまうぜ」
「だろ、確かにさっき教室にいた子もすっげー可愛かったけどこっちもやべーよ」
「すごいあれが入学前にSランク指定を受けていた‘雷鳴の戦姫’。なんて綺麗同じ女性の私まで顔が赤くなっちゃうな~」
「確かにあそこまで綺麗だと嫉妬もおきないわ~」
「あんな綺麗な女の子なのに異能者として軍隊も裸足で逃げ出すような力の持ち主とかギャップがすさまじいな」
と、新入生の中から色々な声が小声で聞こえる。さらには来賓や保護者の中からも声が聞こえる。
「あれが大企業の姫屋財閥の娘か、噂以上の美しい容姿をしている。息子にはよく言っておいたがさすがに荷が重いかもしれんな」
「我が社としては姫屋財閥とはぜひとも懇意にしておきたい。姫屋財閥の総帥は娘に随分甘い性質のようだから娘の方と懇意にしておけば親の方の心証もよくなるかもしれんな」
「他の二人も娘も異能者としての力も申し分ないものと聞く、どれか儂の息子と婚約させれればいいのだが、そしてあわよくば・・・・」
などと聞こえてくる、内容はほとんどが利益がらみの話ではあるが若干不穏当な言葉もちらほら聞こえたが。隣の香織は今から始まる沙織姉挨拶を聞くため前に集中している。普通の人は静かとはいえ小声で話す人の声が聞こえるはずがない。
そうこうしているうちに沙織姉の演説が始まる。
「皆さん、ご入学おめでとうございます異能科代表挨拶を務めさせていただきます姫屋沙織です」
沙織姉が紙に書いてある自分で考えた挨拶を読み上げる。その口調は普段のおっとりしたものではなくしっかりとした凛とした雰囲気を感じさせる喋りだ。
「沙織姉は普段はあんなだがあんな喋り方もできるんだな」
「あたりまえです。沙織姉さんは普段はぽわっとして抜けてますがやるときはやる人です」
「おまえさらっと悪口混ぜたな」
沙織姉の話が続く
「今日から皆さんは高校生となり社会への扉へまた一歩近づきました。また異能者の皆さんはこの異能科に在籍することにより自らの異能を正しく扱うための制御を身に着けるための授業をうけます。中等部までは自らの異能の性質知りそれをある程度まで扱う訓練しかしていませんでした。しかしこれからは自らの異能を実践で使用しどのような影響を及ぼすのか正しく理解しなくてはなりません。これから異能者の皆さんには力を持つ者の覚悟と責任も同時に学ばなければなりません。私達の異能は普通の人達には脅威にほかなりません、高ランクの異能者になれば人の命も簡単に奪えます、だからこそ私達は命の大切を誰よりも理解しなければいけません。力を持つということはその力にも責任を持たなくてはいけません。私はこの学校で皆さんに力に対する責任と命に対する慈しみそして自らの力に溺れない強さを身につけて欲しいと思っています。人は力に酔うものです力に惑うものです時には恐怖するものですその力に呑まれあるいはその力に酔いいたずらに人を傷つけないで下さい。もし自らの力に惑い恐れた時は私を私達や貴方達の仲間や家族、恋人を思い出してあなたの守りたい人を思い出して、それを強さに変えてください。皆さんにはそんな強さをこの学園で学んで欲しいと思います」
そう言って沙織姉は挨拶を終えた。一礼し檀上から降りるその時会場からは拍手が起こる、沙織姉がゆっくり自分の椅子のある場所に戻り席に着く。司会役が次のプログラムを読み上げその後も入学式が順調に進んで行く。
「はあ~なんとか終わりそうだぜ、腹減ったな~」
「もうあと少しだから頑張って下さい、帰ったら好きなもの作ってあげますから」
「マジで!やった」
そういわれて俺は席にしっかり座りなおす。香織は姉妹の中でも特に料理がうまい。ほか二人も学んではいるのだがこと料理に関しては香織には及ばない。
「なに作ってもらうかな~♪」
「♪(そこまで喜んでもらえるとこちらまでうれしくなってしまいます)」
そうして俺が香織に帰ってなにを作ってもらおうか悩んでいるとそれは起こった
ビィービィービィー
どこから警報の音が聞こえてくる、この音は校内というよりこの町全体に響いてるらしい。この音は確か・・・。
「や、奴らだ奴らが来たぞ」
「は、早く非難を、せ、生徒達を早く」
教師陣が慌てて生徒達を非難させようとする。
「軍に出動の要請をしたのか。非難を最優先で行うんだ向坂先生奴らの足止めを頼めますか?」
「さて相手の規模にもよりますが可能なら殲滅してみましょう」
「わたしがでます」
学園長があわただたしく他の教師に指示を出し、黒子先生に指示を出そうとしたとき沙織姉が声を上げた。
「わたしが奴らをやっつけます~」
その声はさっきの代表挨拶と違ってこの場のあわただしさとは似つかわしくないほどほわっとした声だった。
次回もぼちぼち更新します