3話
それは、成金商人と別れ、門を出るときに起こった
豪邸は少し街から離れた奥のほうに建っているのだが
街の中心部の方から1人の男が必死の形相で走って来たのだ
「た、大変だーー」
大きな声で叫びながら必死に門の方へと走りこんでくる
「どうしたんだ?何があった?」
「た、大変だ!パレードだ!!この街もお終いだ・・・」
パレードそれは、楽しそうな雰囲気のする響きだが
実態は『魔物の行進』死の行進を意味する言葉
大群の魔物達が街を襲い破壊する魔物達の大暴走だ
冒険者ギルドがある街では、冒険者達に周辺の調査のクエストを定期的にだし
周辺の異変にいち早く察知して対策をとる事が出来るのだが、
この街の近くにはダンジョンが無く
少し離れた大きな街まで行かないとギルドが無かった
そのために判断が後手後手に回ってしまい街が大混乱となってしまう
「どこまで魔物達が来てるんですか?」
僕は、慌てて走って来た男に状況を聞く、
「門は突破されている、もうじきココも危ないかもしれない
俺達は、生き残った者をまとめて避難するつもりだ
あんたらも急ぐんだ!」
男はそう言って来た道を戻っていった
どうやら、街中にいた数少ない冒険者の1人で
避難勧告をし回りながら、救援や避難援護をしているようだ
「どうしましたか?」
豪邸から騒ぎを聞きつけて成金商人が出てきた
「大変です、デスパレードのようです。直ぐに避難しないと!」
成金商人が、門番と話している間に、僕は駆け出した。
「ライウスどこに行くんだ!危険だ戻れ」
背中に声を聞いたが振り向かずに走った。
急がなければいけない
街の門の近くには父と母がまだいてる筈なのだから・・・
町の中心部にも少数ではあるが魔物が入り込んでしまっている
街の人たちは逃げ出したり、男達が時間を稼ぐ為に手当たりしだい物を投げて
ちょっとでも逃げる時間を稼いでいた
それに目もくれずに、家へと走る。遠目から見ても
あのボロイ家が残っているとは思えない事を頭から振り払いながら走った
しかし、最悪の結果だけが目の前には存在した
父が母を庇う様に折り重なりながら、2人の遺体が無残にも転がっていのだ
近づいて、脈を診るも全て止まっていた・・・流れるのは自らの涙だけだった
その後は覚えていない、何時間立ち続けたのだろうか
街は大群の魔物に蹂躙され廃墟となっている。
いつの間にか街の外にいて、避難した街の人達の隅にたたずんでいた
どうやら親の遺体の前で呆然とたたずんでいた所を、
最初に豪邸の門まで知らせに走った冒険者が、逃げ遅れているのを発見したが
声を掛けても反応が無かった為に、
抱きかかえて避難場所まで走ってくれたのだった。
「ライウス、よかった無事だったか」
成金商人が僕を見つけ声を掛けたが何の反応も無い事で全てを察した
「2人はダメだったのか・・・そうか・・・・
落ち着いたら、配給があるから後で取りに来い」
そう言って立ち去った
ギルドのある街は、大都市とダンジョンが近くにある街
他の街や村には経費削減のために設置は見送られている