1話
4才になった、あれから本を借りに豪邸へ1人で出かけたり
外で遊べるようになったが、一定の勉強はしておかないと叱られた
そういえば、豪邸の我が奴隷一家のご主人様はそこそこの商人だったのだ
いわゆる成金なのである。
最初は貴族か何かなのかと思っていたのだが
平民出身で、一攫千金を狙い砂漠を往復し交易品を運び大金を手にしたのだ
この事は古参の奴隷の男に、自慢話として聞かされた
どうやら、その時代からご主人様に護衛奴隷として買われ
共に砂漠横断という無茶をしたのだ
1往復でそんな簡単に儲かるのかと軽く思っていたら、実際は生還者だけで1割という
かなり過酷な事のようだ。生きて帰ることだけで1割しか残らず
そこからどれだけが成功者になれるのか・・・
この世界は1つの大きな大陸がある、中央には広大な砂漠に覆われており
東と西の端々に街や村があり国が点在する
北には魔境と言われる魔族たちが住む場所がある
そこには強力な魔族や他の場所よりも魔物たちのレベルも高い
そのため魔境に入ろうとする者は例外を除き居ない
その例外は、逃亡する犯罪者であり賞金首、そしてその賞金を狙うハンター
名を上げたい無謀な冒険者達ぐらいである
海もあるのだが、船は発達していない
その理由は、海にも凶悪な魔物達が群れをなし
船を浮かべると襲われてしまい海の上では逃げ場もなく
沈む船と一緒に死を待つだけと悲惨な状況になってしまう・・・
結果、一番無難なのが死亡率九割の超難関砂漠横断コースの
一択と現在ではそうなっている
今日も成金商人の豪邸にて、承諾の下、本棚をあさる作業に移る
なかなか面白い本が色々とある
為になるのはこの辺りだろう、
『世界一人旅。砂漠、死歩く道編』
死歩く道と書いてシルクロードと読む
砂漠を横断する商人達が一番使うコースであり
砂漠のくびれた腰と言われている、最短コースの事を指す
最短と言っても、砂漠のデべソと言われる大きな全長1kmの大岩を目印に、
真西もしくわ真東に、2ヶ月以上歩く難関コースの事である
『世界の植物図鑑』
これは読んで文字の通り、植物図鑑である
珍しい植物から、薬や毒薬になる薬草など
色々な植物がイラスト付きで載っている
商人ならばそういった知識も必要なのだろう
他には『魔物図鑑』
これは特に重要だろう、街や村から出れば強弱はあるが魔物達がウロウロしている
一般的に外へ出る場合は冒険者を雇ったり、力のある村の男達が
10人ほどで武装し出かけるところを見かける
『未知のダンジョンを探る・著ジョン・ウッド』
これはこの世界の無茶無謀冒険者の金字塔と言われるジョン・ウッドさんによる
実体験に基づいたノンフィクション冒険譚だ
ナイフ一本で、ダンジョンに挑んだり、
ダンジョンのタイムアタックに挑戦したり
魔物に見つからずに奥の階層まで辿り着く、
前世の記憶で言うとリアル蛇をしたりと
自分の命を天秤に賭けた超一流のバカ者なのだ
そういった本を読み漁っていると、遂に見つけてしまった
『初心者魔法書』
この世には魔法が使える者が存在するが、初級の魔法でさえも使える者は
ほんの一握りであり、世界で100人居るかいないか
中級魔法になるとその10分の1以下、そして上級魔法になると
そのまた10分の1以下である
とりあえず1ページ目を開けてみる
そこには、《鑑定》の魔法が載っていた
これは自分の能力や状態を表示することができるのだ
レベルが上がると物に対しても使用出来る
「鑑定」
早速使ってみる、
名前・姓 <ライウス>
種族 <人族>
Lv <1>
HP <10/10>
MP <4/5>
スキル 《鑑定Lv1》
称号 《異世界からの招待》
異世界より※※から招待された者
目の前にこのような文字が表示された
スキルにはレベルは1だが鑑定があった、MPが1減っており
ステイタスを開く魔法を覚え、使った事により減ったのであろうか
称号と言うものもあった、なにやら説明文も見えるが少し文字化けしていて
なに者かの意思も感じられた
次のページには初級の攻撃魔法が載ってあったが
試してみても発動する事は無かった
鑑定以外の魔法の才能は無いのかと落胆しながら本を閉じた