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大阪キタの超高級マンションで大手建設会社岡野開発の岡野忠社長の次男である岡野忠夫が撲殺された。
金品が奪われていなかったことから身内による犯行と断定された。
現在容疑者として浮かび上がっているのは3人である。それは父親の忠、異母兄の忠文、忠の弟の郁也である。
忠には億単位の財産があり、それをめぐって忠夫は殺されたのだと府警捜査一課の中津警部は考えた。
この3人にはいずれもアリバイが無い。忠は忠文よりも忠夫の方を可愛がっており、忠文には金以外の動機がある。
「一番動機があるのは忠文だが、だからといって忠文が犯人だと断定するのは危険だ。」
中津が部下の鴨川刑事に言った。
「そうですね。でもその可能性もゼロでは無いので監視を付けましょう。」
忠の監視には有田と佐野、忠文の監視には松原と立花、郁也の監視には戸田と柏原があたることになった。