決心へと
「また、やるのか?
懲りないな・・・
そろそろ命を落とすぞ」
「構わん!」
俺はキリッとした表情で答えた。
前、こいつに負けたのが16日前。16日間俺は血と汗の滲む修行していた。2日かかった山も、今は4時間で登る。(後から聞いた話、道に迷っていたそうじゃ)
「もう、知りません」
俺は小さくガッツポーズをした。
「今回こそ勝つ!!」
「期待・・・・・・しておきましょう。」
俺はぴょんぴょん跳ぶ。
「場所は、久しぶりに決闘上使いましょうか・・・」
俺は頷く。
そして、全力のダッシュで山に帰る。
決戦は明日になるのはわかっているからだ。
「ただいま戻りました。デリスさん。明日、決闘上です。」
デリスさんは俺の方を見る。
「おー。」
と言って、さっきまで読んでいたであろう新聞に、目を戻した。俺はその様子を、微笑みながら見ていた。
「最後の・・・」
「わーってる、わーってる。」
デリスさんは立ちあがる。
「調整・・だろ?」
デリスさんは今60歳位だ。
そんなデリスさんは、山の斜面を走り回っている。
俺はそのデリスさんに、攻撃を当てる。しかしデリスさんは、副リーダー並・・・いや、それ以上のスピードで走っている。
「クソッ!当たらん!」
「おいおいおい!もっと本気で来いよ!」
調整つったじゃないか!何、普通の修行させてくれとんじゃ!
「うおぉぉぉぉ!!!」
俺は雄叫びをあげながら、デリスさんに突っ込む。
「なっ!」
デリスさんは、口をポカンと開けながら、こっちを見ていた。
俺はそんなもの御構い無しに攻撃する。
ビュウルッ!!
いつもより一際大きな風切り音が鳴る。
「ちっ!捉えられなかったか」
俺は急ブレーキをかける。パッと振り向くと、息を弾ませているデリスさんがいた。
「おま・・・」
デリスさんは、いつになく真剣な表情だった。
「お前なら・・・
勝てるっ!」
デリスさんは、さっき言おうとした事を訂正したかったように、力強く言った。俺も力強く答える。
「おうっ!」
☆★☆★☆★☆★
決闘、当日。
その日は少し寒かった。
俺は控室で、暖かいココアを2杯程飲んだ。
勝つしかない!
俺は真っ黒なコートを着て、舞台に向かった。
「来たか」
「ども」
俺は副リーダーを睨む。副リーダーはニヤッと笑みを浮かべていた。轟々と風がなる。
俺は肩に掛けてある剣を抜いた。そして、構えをとる。同時に副リーダーの方も構えをとっていた。
「手加減はしないぞ」
「したら、負けますもんね」
俺はやや交戦的に言った。
副リーダーは俺を、いつもより強く睨んだ。
こえー!
「まっ、しても負けると思いますが」
俺は最後に煽りをいれた。それは、無意味に終わってしまったが・・・
「今まで負けてる癖に」
緊張が高まった。
アナウンスの人の声が聞こえる。
ファイッ!
俺は飛び込む。上から下に剣を振り落とした。副リーダーはそれを垂直になる形で、受け止めた。
その後俺はバックステップとダッシュで、距離をとった。
「怖気ずいたのかい?」
「まさか」
俺は副リーダーの目を見る。
その時だ。副リーダーが尋常じゃないスピードで、飛び込んで来た。
俺は、慌てつつも、的確に受け止める。ビリッと、腕が痺れる。
しかし今の攻撃で仕留める筈だった副リーダーは、体制を崩した。
俺はその隙を見逃す事はない。斜め方向に剣を振る。その攻撃は体制を崩した副リーダーの肩に命中した。
「つっ!」
副リーダーは片目を瞑る。その為、できた視界の死角を狙う。
普通なら命中する。しかし今回は当たらなかった。
「なん・・・・で?」
あの状態で剣が見えただと?
そう思っている俺に剣が飛んでくる。
あぁ。負けたな。
と、今までは思ってたけど、今回だけは違うんだ!違わなきゃならない!
<神の斬撃>
俺は捨て身の攻撃。副リーダーの剣を巻き込み、そのまま副リーダーの身体に入れる。しかし副リーダーはバックステップを踏み、威力を受け流した。
でも、それ相応のダメージは与えてる筈。だが、今回は負けだ。俺はもう動けない。
俺は這いつくばる。
「くっ」
副リーダーはツカツカとこっちに歩み寄った。
「惜しかったな」
そう言っている副リーダーの顔には、余裕の笑みがあった。
「ざっけんな!」
俺は頭が真っ白になった。
俺は水平斬りを放つ。それを副リーダーが受け止める。
「まだ動くのかよっ!?」
「はぁぁぁ!」
俺は雄叫びと共に剣を振り続ける。
「よくやった。
しかし惨い!」
副リーダーの斬撃が、腹を襲う。
「グエッ!」
俺は後ろに吹っ飛ばされた。
「かはっ!ゲェ」
俺は、ちょっとした呼吸困難に陥る。
「今回も、こっちの勝ち。」
畜生!
掠れ行く意識の中で、その言葉が何度もリピートしていた。
「立って!」
うるせぇよ。俺は負けたんだ。
「まだ勝てる」
もう無理さ
「こんな所で終わるなよ」
終わり・・・
「ギャングを潰すのだろ」
潰す。あぁ、そうさ
「「頑張れよ!カミヤ!」」
頑張れか・・・
そうだな。どうせ負けるなら、もっと足掻いてから負けよう。むさ苦しくな!
「うおおおおおお!!!!!!!」
「なんだとぉ?」
オラッ!
俺は思い切り前に跳ぶ。
「うぉりゃ!」
「くっ」
俺が押し始める。
まだまだぁ!
「ふんはっ!ふっ!」
もっと、もっと速く!俺はもっと速くなれる!
その時、俺は自分を神々しいオーラが包んでいるように感じた。
「勝てる!」
俺は、そう思い込み、突進する。もちろんオーラなどないがな。
「なにっ!?速い」
喰らえっ!
<覇!>
今まで感じたことないスピードで放たれる。
その攻撃は上手く命中した。
☆★☆★☆★☆★
「よくやった!」
「ありがとうございます。デリスさん。」
俺は深々とお辞儀する。
「おい!俺たちにもお礼しろよ」
横にいたシンが口を挟む。
花、栞さん、須藤が笑っている。
「わかったよ。
ありがとうございした」
「感情がこもってなーい。
やり直し」
シンが言う。あんたは鬼か!
「ありがとうございました!」
シンが、花と目を合わせた後、
「合格」
と言う。ウゼエ!
「ま、その話は後にして、今は獄門首について話そう。」
デリスさんは微笑みながら言う。今思ったけど、いつもニコニコしてるな。この人。
「獄門首・・・
そういや、俺まだ・・・」
「それについてだ!」
みんなデリスさんの方を見る。
「獄門首のリーダーはもう、いない・・・」
「どうしてっすか?」
俺は、即座に聞いた。
「2ヶ月前に、軍隊に入ったそうだ。」
軍隊っ?軍隊ってあの戦争に行っている奴らの事か?
デリスさんは俺の考えてる事が、わかっているように、言う。
「一概にそうは言えないがな。」
軍隊にいんのか・・・
「よし、決めた!
俺はクリオネア国軍に入る。そして、戦争で活躍して、英雄になる。それと、獄門首のリーダーとも闘う!」
俺は空を見ながら言った。
「ふんっ。お前の実力じゃ、入れないよ」
デリスさんは片目を瞑りながら言う。
「デリスさん。だから俺の師匠になってくださいよ。」
俺は澄んだ目で言っていただろう。
「ついてこれんのか?」
「はいっ!もちろん」
俺は元気よく答える。
目指せ!英雄!
どうも。
VSギャング編はここで終了致します。
また、新しい章がまた始まります。
ここで告知です。
新しい小説を書き始めます。3作も書くので、それぞれのアップが遅れるのですが、許してください。