緩急
「ふんっ!」
俺は縦に剣を振る。しかしそれは、避けられる。そして、カツッという音がなり、闘いが終わった。
また、俺の負けだ。
山に登る。
「さぁ。今回はどこがいけなかったんだ?」
「回避ですかね・・・」
それを聞くとデリスさんは軽く頷いた。
「回避の修行は1日で、充分・・・かな?」
デリスさんは首を傾げながら言った。
俺はデリスさんの弟子となった。修行方法は、ひたすら副リーダーと闘い、負けた原因をデリスさんと共に、潰すという方法である。片手剣の技なんかの修行では無い。
今回は回避が甘く負けた。
「はいっ!」
俺は元気良く返事をして、修行に入り込む。
ヤバイ!
そう思った瞬間、体は反応した。見事に前周りをし、副リーダーの斬撃を避けたのだ。
「修行の成果・・でてんじゃん♪」
俺はすぐ起き上がり、斬りにかかる。しかし、それは弾かれた。
「ちくしょう」
でも、俺はすぐ体制を立て直す。そしてバックステップを踏み、距離をとった。俺と副リーダーが、睨み合う。
その時、副リーダーの刀が、少し下がった。俺はそれを見逃さず、飛び込む。
でも、それは副リーダーの策略であった。
俺の攻撃はほぼ捨て身である。そこに攻撃が飛んで来た。俺は間一髪回避をいれ、バックに居る副リーダーの方へ、振り返ろうとした刹那、後頭部に衝撃が走った。
また、負け・・・か
☆★☆★☆★☆★☆★
「今回、お前が失敗した原因は、急ぎすぎだ。」
俺は黙って続きを聞く。
「お前の攻撃はハイペースで、単調だ。
スピードがある相手の餌食に合うのは可笑しく無い。」
俺は唇を尖らせつつも、頷く。デリスさんはフッと微笑む。
「ゆっくり攻めたりするのもいれたり、守りに転じて緩急もつけてやったら?」
デリスさんは笑いながら言った。俺はまだ納得できていない。
「なら早く修行しましょう。」
俺は急かす。デリスさんはわかったと言わんばかりに、立ち上がり、外にでた。俺は後ろを追いかける。
「なぁ?」
デリスさんは振り返らずに聞いて来た。
「あと、何回で、副リーダーとやらに勝てると思う?」
俺は首を傾げる事しかできない。
「俺は、お前次第によっては、次・・」
デリスさんはそう言ったきり、口を開かなかった。
この修行が終われば勝てる・・・?
期待するしかない。
俺は全力で打ち込んだ!