悪魔の笑い
デコボコした道でとても走りにくい。
前には人間の姿をした悪魔と思えるような者がいる。無論、これは人間だ。しかし悪魔にしか見えない。いや思えない。
「きひ、きひひひひ、くひひひひひひぃぃぃぃ」
さっきから、このような奇声ばかりをあげている。
こいつがかの鬼神銃のリーダー、道営殺鬼というのには、何故か頷ける。
「ねぇ?地獄に行かない?楽しいよぉ。
ね?きひひひひひ。くひひひひひひひひひひひ」
ホラー映画の怪人みたいな笑顔。いや笑顔とは言えない。
悪戯をする子供の表情
こんな感じだ。
「さあ、ね?いひひひひひひ」
「うげっ」
流石の俺でもこれには耐えかねる。
模造された剣で大丈夫なのか?
ふとそんな疑問が浮かんだ。俺自身、戦闘する前からこのような負の感情が浮かんだのはそう無い。しかしそう考えてしまうほどの、迫力。威圧感。俺はそれに押されていた。
「なんて、まあ。」
口では余裕を見せるも、それとは対極の立場にある。これについては、道営は気づいているはずだ。
「きひひひひひひひひひひひひひひひひひ。いいねぇ。その表情。僕好きよ。きひひひひひひひひひひひ」
精神力。
これで俺は道営に負けている事は明らかであった。しかし俺はそれを認めるわけにはいかなかった。
「俺も好きだぜ。その余裕を見せながらも、恐怖で歪んだ表情が…」
俺は適当に言った。もちろん嘘である。
「きひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ。いいねぇ。その威勢。そして嘘。僕は嘘とか好きよ。きひひひひひ」
「ちっ、効かないか…」
俺は小さく呟いた。
「だってさ、僕には無いもの。恐怖の感情というものが。きひひ」
道営はまた不適に笑う。俺はそれに圧倒される。
「恐怖を感じない…?」
「言葉のままさ。きひひひひひひひひひひひ」
道営は目をカッと見開いた。
「さあ、終わろうよ。人生を…
きひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ」
今までで一番の笑いが収まると、道営は銃を構えた。
「終わりはいつも唐突さ。きひひひひひ」
「ちくしょう」
☆★☆★☆★☆
道営の放つ弾丸は既製品なんかとはまったく違うかった。
「改造するのは当たり前さ。きひひひひひひひひひひひひひひひひひ」
と丁寧に理由を説明してくれた。そしてその改造のせいで、威力が凄まじい事もわかった。
道営の放つ弾丸が樹に当たる。太さも相当ある、スギの樹を簡単に倒してしまった。
「なっ!?」
「きひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ。この僕の前では何もかもが無駄ぁさ。きひひひひひひひひひひひ」
道営は自信たっぷりに言い放った。
「無駄?」
俺はその言葉に強く反応する。そして道営を睨む。今まで感じていた恐怖はその時は不思議と感じなかった。
「無駄なんかねぇよ!今、俺たちのやってる事に必ずしも意味があるんだ。だから無駄なんてねぇ!」
「その雄弁も無駄さ。きひひひひひひひひひひひ」
「うるせえな!そのニヤニヤしている顔面をぶっ潰してやるよ」
道営はこっちを見る。
「きひひひひひひひひひひひ。無駄だねぇ」
「お前に恐怖を教えてやる。」
俺はゆっくりと道営に近づく。その刹那
<覇>
俺は構えも無しに放った。
しかしそれは簡単に避けられる。
「だからいったでしょ?無駄ってね。きひひひひひ」
「誰が、攻撃は1発って言ったよ?」
俺はそのまま回って、剣先で捉えようとする。
「無駄な事をする事が無駄すぎる。きひひひひひひひひひひひ」
道営はいとも簡単に避けてしまった。
「こっちも行かせてもらうよ。きひひひひひ。
それじゃあ、<幻の弾丸>」
俺に弾丸が飛んで来る。
「遅いね」
俺は前転で避ける。
「ツメが甘いねぇ。きひひひひひひひひひひひ。幻の弾丸はなにも襲わない。」
俺は避けれた。だからと言って、避けれた気がしない。
「まさか?」
はじめから弾は飛んでこなかった?
「あたりさ。きひひひひひひひひひひひひひひひひひ」
「ぐぁっ!」




