第七話:力の証明
この小説は作者のノリと勢いでできています。
誤字脱字やここの展開おかしいだろ、と思うところがあれば遠慮なく言ってください。
更新は不定期ですがなにとぞ勢いで書いていますのでご理解ください。
PV10,000超えました!
「私にあなたが入学にあたって何か納得できるモノを見せてください」
正面にいるこの学校の一番偉い人は口調はすごく丁寧なのだが、顔はものすごくうれしそうで、子供が新しいおもちゃを貰ったような感じだ。
こんな人が学園長でいいのだろうか・・・
俺は理事長室から学園の体育館なのか広い建物の中に移動していた。
建物に入るときに何か通りぬけた感覚があったのでただの建築物ではないのだろうが、どんな部分が違っているのか今の俺には分かるはずもないが。
そして中央まで連れてこられると学園長はいきなり言い出したのだった。
「え~っと、納得できるものって何をすればいいんですか?」
別に入学できなくても俺のこの体質と異世界への情報を調べられればいいので図書館があるならそこに入らせてもらえればいいのだが・・・
まぁ、魔法も覚えたいし、とりあえずは入れれば御の字か。
とりあえずチャンスはもらえてるんだから、それは生かすべきだと判断し俺は気合を入れなおす。
「別に魔法を使ってもいいですし、魔法理論をここで述べてもらっても構いません。身体を使った特別な技術を披露してもらってもいいです。どんなことをしてもらっていいので、私にこの学園に特別に入学させる理由をみせてほしいのですよ」
そんなこと言われてもこっちの世界に来たのは最近だ。魔法関係はまだ知ってから数日しか経ってないから問題外だし、見せられることと言ったら剣道とか柔道とかの格闘技くらいなんだけど・・・
「何かほしいものがあるなら大抵の物はこちらで用意しますよ」
俺が悩んでるようなのでヴァネッサさんが手助けしてくれるみたいだ。
それなら・・・
「あの、だれか戦う相手を呼んでもらってもいいですか?あと木刀があればそれを・・・対戦を行えばおそらく納得のいくものを見せられると思います」
別に勝てなくても技の型とか見てもらえれば見る人が見れば分かってくれるだろう。こっちの世界じゃおそらく見たことのない技だろうし。これでも子供のころから剣は振っているし自分で言うのもなんだが実力はそこそこあるはず。一番問題なのは力加減だな。この世界に来てからどうもうまく加減が効かない
俺はギルドでの一件を思い出す。まぁ、そのうち慣れるだろうと考えるのをやめた。
「対戦形式ですか・・・。わかりました、すぐに呼びましょう。後、木刀でしたね。」
そういうとヴァネッサさんは建物の外にあった結構太い木の枝を魔法で切り落としたかと思うと、そのまま両手を枝にあて何やら呪文を唱える。すると木の枝が光に包まれ、手には一本の両刃の木刀があった。
いや、魔法ってやつはほんとに何でもありらしい
呆けた顔している俺を見るとヴァネッサさんは驚いた顔をする。
「錬金の魔法を見たことがないのですか?これは土の中級魔法ですので習得している人は結構いるのですが・・・」
そう言われましても、俺は大抵の魔法は初見ですよ。何せ異世界から来ましたしね。
言ってもまず信じちゃくれないだろうから言わないが。
そういえば・・・
「その魔法は思った通りの形にできるんですか?」
「まぁ、使用者の腕によりますが」
「なら・・・」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ヴァネッサさんは「とりあえず対戦相手を呼んできますね」と言って部屋を出て行った。
「調子はどうなの?」
レンが声をかけてくる。何か声が楽しそうに聞こえる。
「調子は悪くないけど、正直自信はないかな。魔法学校に入学するのにまだ魔法使えないしね。とりあえずやれることはやるさ」
と、木刀を振る。久しぶりに振る刀が手になじむ。
さっきお願いしたことは両刃剣ではなく刀を作ってほしいということだった。
この世界には刀というのがあまり普及していないらしくなかなか現物の形を伝えるのに手間取った。(一応土の国に存在はしているらしい)
もし真剣を使うときはどうにかして入手したいとことだ。
そう考えていると一人の若い大男を連れてヴァネッサさんが戻ってきた、がなんか口論している。
「ったく、こっちの都合も考えろ!いつも説明もなしにいきなり魔法ぶっ放してくんじゃねぇ!!」
「一応声はかけましたよ。一回で答えないあなたが悪いんです」
「なんだと!このくそばばぁ!!」
「そのへんにしないと私が知っている“あれ”や“これ”がうっかり口からこぼれますよ」
「ちっ!この悪魔め!!」
「何とでもどうぞ」
・・・・・・・・・・・
なんかものすごくめんどくさい展開になりそうだった。
「あら、ジーク先生を呼んできたのね。これはかなり気合を入れないとまずいかもしれないわよ」
レンが俺にニヤニヤと声をかけてくる。
「あの人そんなに強いのか?」
「えぇ、たぶんこの学園で一番腕の立つ人よ。戦闘訓練の教官もやっているわ。ランクはB。私が在学している時には盗賊百人の囲まれて無傷で帰ってきたとか、いろいろ逸話があったわね」
百人っておい・・・
「でも大丈夫よ、あなたなら。私が応援しているもの。」
そういって俺に笑顔を見せる。
そんなことされたら男として何が何でも勝つしかないじゃないか。
「よし!じゃあ、やるか!!」
これでやる気が上がるんだから俺も単純だな。
中央へと歩いていくと連れられてきた男が声をかけてきた。
「説明を受けずに『とりあえず、そこのと黒髪の少年と戦えばいい』と言われたんだが・・・ほんとにそれでいいのか?」
せっかく上がったやる気が下げられる・・・
この人、学園長にだいぶ苦労させられてるな・・・
「まぁ、間違ってはいませんよ。説明すると長くなりますしね・・・。それに本気でやってくれてかまいません」
その言葉を聞くと目の前の男は一瞬目を点にしたかと思うとすぐに口元を緩める。
「おいおい、ほんとにいいのか?俺は結構強いぞ」
「はい。それでなければ意味がありませんしね」
「フッ、面白いガキだ。俺の名前はジーク・アガターっていうんだが、お前の名前は?」
「ハヤト、ハヤト・クロカワといいます」
「覚えておこう。失望させるなよ、ハヤト」
そういうと、いつの間にかヴァネッサさんが作っておいたのか、2mはある木の大剣を担ぐ。
それを見て俺も木刀を握りなおした。
「二人とも準備はよさそうですね。では先に相手にダメージと呼べる傷を与えた方を勝者とします。・・・では始め!」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
[ジークside]
「では始め!」
その声を聴き俺はとりあえず後ろに跳び相手の様子を見ることにする。あれだけ大口叩いたんだ、何かしら“この”俺にダメージを与えられる策があるんだろう。すでに魔法は跳んだ瞬間に発動させてある。
そう思って着地した瞬間、<疾風>とハヤトはつぶやいたと思うとすでに俺の懐に入っていた。
「なっ!」
おい!速すぎるだろう!動きがほとんど見えなかったぞ。
しかし俺が一番驚いたのは初動作が一切なかったことだ。大抵動くときは力を入れ動き出す準備をするものだが、それがまったく感じられなかった。
もろに剣(刀)の間合いに入っている。俺はすぐに剣を縦に構え次の攻撃に備える。
しかし、次の攻撃は剣をすり抜けるように俺の首元へと伸びてきた。
「黒川流刀術:壱ノ型 絶影刃」
そのまま俺は弾き飛ばされた・・・
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
[ハヤト side]
自分の家が道場だったこともあり、ずっと剣ばかり極めてきたハヤトはいわゆる天才だった。
大会に出れば優勝し、道場で稽古をすれば一番に名前を呼ばれ手本となる。同世代ではもう敵なしといわれるほどの実力で、小学6年になるころには相手は父親と師範代である祖父だけだった。
しかし、中学に上がったばかりのころ“ある事件”を経験し自分の弱さを知った彼はそれ以降大会には出ず、ひたすら技を極めた。
今度こそ何も傷つけさせないために・・・
今度こそ守り抜くために・・・
剣道ではなく刀術を・・・
人を“殺す”ための技を・・・
ドンッ!!と大きな音を立てて壁に激突したのを見て俺は木刀を下した。
はたから見れば勝ちを確信して余裕な感じに見えているだろうが、実際は・・・
(やばっ、レンの話を聞いて本気出しても大丈夫だと思ったんだけどやりすぎた!ジークって言ってたっけ?死んでないよな?)
と、内心ドキドキだったのだが、木刀に違和感を感じ見てみると相手に当てた所に小さいがヒビが入っていた。
すぐにジークが飛ばされたところを見ると彼は首をさすりながら立っていた。
首元を見てもかすり傷一つない。
「すげぇ、すげぇ、あそこまで吹き飛ばされたのは久しぶりだぞ」
おいおい、俺は結構マジでやったつもりだったんだが。あいつは化け物か?
「確かダメージと呼べる“傷”を与えたら勝敗がつくんだったな。さて、続きといこうか」
笑いながらジークは大剣を構えた。
感想お待ちしています。