第五話:箒星
この小説は作者のノリと勢いでできています。
誤字脱字やここの展開おかしいだろ、と思うところがあれば遠慮なく言ってください。
更新は不定期ですがなにとぞ勢いで書いていますのでご理解ください。
ハヤトとレンはともにギルドの建物から出て再び路地へと足を向けた。外を見るともう日が暮れかかっている。
「今日はもう宿に向かいましょう。私が使っているところだけどいいわよね?」
「雨と風がしのげればどこでもいいさ」
初めての森での旅で体力的には大丈夫だが精神的に疲れた。
「フフッ、さすがのあなたでも大分疲れているようね。やっとまともな人の仕草を見た気がするわ」
そういってレンは笑みを浮かべた。
・・・そんなに俺は常識はずれなことをしでかしていたんだろうか?さすがに落ち込むぞ・・・
「もう、そんな顔しないでよ。ちょっと不安だったのよ。初めて見たときには常人離れした動きでワイバーンを倒しちゃうし、叔父様の部屋でも・・・。そんなの見せられたら信じちゃうしかないじゃない?」
俺は黙ってレンの話に耳を傾ける。
「でも・・・、少し一緒に過ごしてみて分かったわ。あなたは私たちと何も変わらないってね」
そういって俺の手を握る。顔が赤くなるのがわかる
・・・不意打ちはずるいと思うんだ・・・
「さ、行きましょう」
レンは俺と手をつないだまま歩き出す。
そういえば、とそこで俺は一つの疑問を問いかけた。
「そういえば、レンはここの国の出身なんだよな」
「ええ、そうだけど?」
「だったらなんで宿を使ってるんだ?実家があるんじゃ?」
「・・・いろいろとあったのよ」
俺は首を傾げながらレンの後へ続いた。
さっきまで笑顔だった顔がどこか悲しげに見えたのが妙に気になった・・・
「ありゃ、レンちゃんじゃないか。久しぶりだねぇ、部屋はきれいにしてあるよ。」
宿屋に入ると店を掃除していた女性が声をかけてきた。店の看板を見ると“箒星”と書いてある。
「アンナさん、お久しぶりです。私の部屋以外にもう一部屋開けられる?」
「レンちゃんの頼みならお安い御用だよ。後ろの子の部屋かい?少し待っといてちょうだい。エル、レンちゃんが帰ってきたよ。」
「ほんとー!?」
店の中にアンナが声をかけると弾丸のように女の子が駆け出してくる。
そしてその勢いのままレンに飛びついた。
「レンおねーちゃん!!おえりなさい!!」
「エルちゃん、ただいま」
「あらあら、よっぽどさみしかったんだね」
その様子を部屋の準備が終わったのか裏から出てきたアンナさんがつぶやく。
「さて、自己紹介しないとね、私はアンナ・ウェールズ。ここの店主だよ。それでこっちが娘のエルね」
「える・うぇーるずです」
元気に二人そろって俺にあいさつをしてくれた。
「どうも、俺はハヤト・クロカワといいます。これからお世話になります」
「そんな堅苦しくなくていいよ。とりあえずレンちゃんと知り合いみたいだし、部屋は近くにしておくよ」
そういうと俺に顔を近づけてきた
やけにニヤニヤしているが、なんだ?
「忍び込むならうまくやりなよ」
「やりませんよ!!そんなこと!!」
「なんだい、つまらないね」
まったくなんてこと言ってくるんだ。
「ま、部屋の準備は終わったよ。支払いはどうするかい?」
そういわれて俺はこの国の金銭の知識がないことに気付いた
というか住んでいく上での常識というものがまったくないのだが。
「そういやレン、俺お金とかまったく持ってないんだけど」
俺が倒したワイバーンの爪の換金は全部レンに任せてしまったので、当然そのお金もレンに預けたままだ。ということで俺は一文もお金を持っていないのである。
「そんなのはわかってるわよ。あなたが倒して手に入れたお金は私が持っているし、叔父様からお金も少しはもらっているわ。それに私が調査の任務で稼いだ分もあるしね」
そういってレンはアンナさんに銀色のコインを3枚ほど渡す。後で金銭の価値とか教えてもらおう。
部屋に入ると一人で住むには十分な広さがあった。内装はとてもシンプルで家具はベットしかないが森での野宿と比べれば天国だ
「はぁ~、久々のベットはやっぱ気分がいい」
夜になりアンナさん特性の夕飯を食べた俺はそのまま部屋に戻った。これまでの旅の疲れが一気に押し寄せてきたのか眠くてしょうがない。
しかしベットに横になり、いい感じに睡魔がやってきたところにコンコンとドアをノックする音が聞こえた。俺はおぼろげながらに声をかける。
誰だろうと薄く目を開けたその目に映ったのは顔を近づけていたレンだった。
「うわ!!」
俺は飛び起きる。心臓に悪いからやめてくれ・・・
「もう少し寝るのは我慢してね。とりあえず明日の予定を立てましょう」
この後、明日の予定を立てたり日常生活においての話をした俺が眠りについたのは日をまたいだ後だった。