第二話:レン
この小説は作者のノリと勢いでできています。
誤字脱字やここの展開おかしいだろ、と思うところがあれば遠慮なく言ってください。
更新は不定期ですがなにとぞ勢いで書いていますのでご理解ください。
「さっきは助けてくれてありがとう。」
「いや、成り行きだったし。かってに体が反応しちゃっただけだから、あんまり気にしなくてもいいよ。」
「でもさっきの動きとか、あなたは何者なの?ワイバーンを一撃で倒せるって普通の人間じゃないでしょ。」
「何者って言われてもなー。あれは俺自身なにが起こったか分からないんだが。」
俺たちはとりあえず死体から爪やら鱗やら持てるだけ取って(高値で売れるそうで)山道へ出た。
剥ぎ取るのは気持ち悪かったので全部女の子がやった。よく平気な顔してあんなえげつないことできるな。
「何言ってんの?あんなの冒険者ならみんなやっていることじゃない。」
みんなやっているのか・・・ 慣れれば平気なのか?
「まったく、気がついたら森の中だし、人に聞こうと思ってうろつけばいきなり竜には会うし、というか竜なんて存在してるってのがおかしいだろ。」
「竜ってドラゴンのこと?数は少ないけど存在するわよ。って話をきいていると道に迷ってここにきたの?あなた、重度の方向音痴ね。」
方向音痴って言うな。学校の屋上から落ちたと思って、目を開けたらいきなりここに居たんだ。まったく、早く戻らねーと。授業サボったってことがばれたら親父に殺される。とりあえず現在地だけでも把握しとかないと。
「まぁいいや。とりあえずここはどこなんだ?」
「ここ?ラマの森だけど。ほんとに知らないの?あなた風の国の出身じゃないの?」
「ラマの森?風の国ってここは日本じゃないのか?」
竜なんかが出てくる時点で何かやばい雰囲気してたけど、なにここ、日本でもないの?
「でも、あんた日本語使ってるじゃないか。」
「それは、あなたが翻訳の魔法使ってるからじゃないの?私”ニホンゴ”なんて言葉知らないし。翻訳の魔法も複雑だから使えないし。」
確かに口の動きと音が微妙にちぐはぐだ。って今”魔法”って言ったか?俺は女の子の方に近づいて額に手をあてる。
「へっ!? な、なに?」
「えっと、熱はないよな。」
「初対面の人に失礼よ!!大体、あなたさっき魔法思いっきり使ってたじゃない!!」
あぁ、やっぱさっきの惨劇は魔法だったんだなー。話聞いてるかぎり、この人が嘘とついてない限りは魔法が普通に存在してる。ってことはここは日本というか、そもそも地球ですらないのか。俺は知らない間に異世界に迷い込んでしまったらしい。あぁ、なんてこった・・・。
「なに、頭抱え込んで縮こまってるのよ?さっきの戦闘中に頭でもぶつけた?」
「いや、確かに何か起こってほしいって思ってたけど、実際に起こったことが突拍子もなさ過ぎて途方にくれてる。」
「??? ほんとに大丈夫?」
とりあえず、これからの予定を組み立てよう。俺は異世界へどうやってか迷い込んでしまった。迷い込んだ先は魔法や竜などのファンタジーな生き物が当たり前のように存在しているとんでもない異世界。
「おーい、人の話を聞いてる?」
ならばやるべきことはただひとつ!早急に元の世界へと戻る方法を見つけて元の世界へと帰る。
そのためにはまずこの世界の情報を集めないと。
《氷よ この者に 戒めの鉄槌を》
さてそのためにも、って
《氷の鉄槌》
「危なっ!何すんの!?」
上に冷気が集まった感じがした瞬間俺は後ろに飛び避けた。
「こっちが心配してるのに何の返事もしてくれないから・・・ つい・・・・・」
「つい・・・ですませるな!!まったく、まあいいやあんた・・・じゃ呼びにくいな。名前教えてくれないか?」
「私?そういえば名乗ってなかったわね。 私はレヴェリー・クレイグス。ランクはDよ。呼ぶ時はレンでいいわ。」
「俺は黒川隼人だ。あぁ、こっちの言い方を真似れば隼人・黒川だ。レンは魔法が使えるんだな。」
「一応ね、簡単な奴しか使えないけど。でもあなたの方が技量は上でしょう?」
「えっ、何で?あれは俺自身なにをしたのかわからないぞ。」
俺は首をかしげる。大体自分で魔法使ったって意識はないし、俺からすればレンの方が「超能力者ですか!!」って感覚なんだけど。
「高速移動の魔法も使ってたじゃない。あれも自分で分かってないの?」
そういわれて俺はさっきの戦闘で自分がしたことを思い出す。
「あぁ、<疾風>のことか。あれは魔法じゃなくてどちらかといえば技術かな。俺の国の技なんだよ。」
<疾風>は相手の隙をついて一瞬で距離をつめるためのものだったから、実はあまり長い距離を移動することができない。あの時は成功して本当によかった。
「そうなの・・・・。そういえばまだ出身を聞いていなかったわね。私は風の国の出身なんだけど。ハヤトはどこから来たの?」
「・・・・・・」
ついにこの質問が来たか。いずれは協力者を得なければならなかったから誰かに話すべきなのだが相手を見極めたうえで話すつもりだった。しかしロクな情報をもっていない以上嘘つけばすぐにばれるだろう。しょうがない、話すか。まぁ、レンはいい人そうだし、美人だし。
「まぁ、信じてもらえるかどうかわからんが、俺は異世界、つまりこことは別の世界から来たんだ。」
「・・・・・・」
今度はレンが黙ってしまった。そして俺に近づき頭に手をあてる。
「いい医者を知っているから今すぐに向かいましょう。」
や、確かにこうなるのは予測できたけど、ここまであらかさまにやられると腹立つなー。しかし頼れる人が他にいないしここは抑えよう。
「まぁ、信じてもらえないとは思ってる。証拠といっても証明できそうなものがないしな。だが、こっちのことは何も知らないんだ。とりあえずいろいろと教えてもらえないか?」
「ふーん。ま、確かに今いる場所を知らなかったり、ドラゴンのことを知らなかったりと納得できるといえばできるけど・・・そうね、じゃあとりあえず私も任務の報告もあるしダーウィンに戻りましょうか。」
「ダーウィンって街の名前か?」
「そうよ。この風の国で一番大きい街ね。冒険者になりたい人はここでギルドの承認を受ける必要があるし、商人も多く出回ってるから人はかなりいるわ。」
首都ってところかな。人が多くいるならそれなりの情報も手に入るだろう。元の世界へと戻る手がかりがあるかもしれん
「そういえば任務とかいってたな。それでここにきたのか?」
「そうよ。最近この森から地鳴りや雄叫びが聞こえるって報告があったからギルドのほうに調査の依頼がこの辺の村の人からはいったの。最近は魔物の数が増えてきたからその類かなと思って軽い気持ちで受けたんだけど・・・・」
「原因がさっきの奴だったってわけね。」
「そうよ。ワイバーンなんてランクBの人達が4,5人がかりで倒せるかどうかってレベルなのよ。なんであんなとこにいたのかしら。」
「ランクってのは自分のレベルってとこか。」
「わかってるじゃない。ランクGから始まってEを超えたらようやく一人前ってとこかしら。Bなんていったら達人ばかりよ。国内にも50人もいないわ。」
じゃあ、一人で倒しちゃったらしい今の俺のランクはどのあたりになるんだろうなー。
「ダーウィンには大賢者って呼ばれてるひとがいるから、その人にあなたのことを聞いてみましょう。そうしたらあなたの素性もはっきりとするしね。そこまでは同行したあげるわ。」
「そっか、ありがとなレン。」
「別にいいわよ。ついでだし、話聞いて途中でほっとくのも何か悪い気がするし。じゃあ行きましょうか。」
「どうやって、いくんだ?」
「??? 徒歩に決まってるじゃないの。三日も歩けば着くわ。」
「・・・・・・・・・マジですか?」
「大マジよ。さ、早く行きましょう。」
あぁ・・・いつも電車とかバスとか使ってたけどあれは便利なものだったんだなー。こんなところでありがたみを知ることになるとは・・・・・・
「??? ちょっと、おいてくわよ。」
「はいはい、了解です。」
俺はレンの後を追ってダーウィンへと足を進める。
前回のあとがきにも書きましたがタイトル変更しました。
といってもあんまり変わっていませんが、これからもよろしくお願いします。