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異世界奮闘記  作者: 黒
11/16

第九話:暗躍

この小説は作者のノリと勢いでできています。

誤字脱字やここの展開おかしいだろ、と思うところがあれば遠慮なく言ってください。

更新は不定期ですがなにとぞ勢いで書いていますのでご理解ください。


「いやぁ!!やめて!!」


「暴れるなって言ってんだろ!!」


見えるのは一人の少女と、一人の男。男は無理やり少女の腕をとって連れ去ろうとしている。少女は倒れている俺に必死になって声をかけているのだろうが声が届いていないのか、それとも俺の耳がおかしくなっているのか、まったく聞くことはできない。


俺は地面に這いつくばるように倒れながらも少女のほうに手を伸ばす。


――――あぁ、またこれか。


男は少女の行動を脅すことで止めさせようとしたのだろうか、ナイフを取り出して少女の顔の近づける。しかし、それを見て少女はさらに怯え暴れてしまった。男はそれに動揺したのか、無理やりその動きを止めようとナイフの持っている方の手で少女へと手を伸ばした。


そこで初めて少女の声が俺の耳へと届く。




「助けて!!“お兄ちゃん”!!」




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


俺はそこで目を覚ます。布団がかかっていたので、それをどけると体は汗でびっしょりと濡れてしまっていた。


(あぁ、またあの夢か・・・。俺はいつまでもこれに振り回されていくんだろうな)


とりあえず、状況を確認しようと周りを見ると俺はベットに横になって寝ていたらしい。どうやら病院・・・いや、もっと簡易な保健室とでもいえるような場所だった。とりあえず、起きようとしたところにレン、ヴァネッサ、ジークの三人が部屋へと入ってきた。


「おっ、やっと起きやがったか。気分はどうだ?」


「はぁ、別に悪くはありませんよ」


あの夢を見た後は決まって調子が悪くなるが、精神的なものであって、体は問題なく動くのでそう答える。


「そういえば、なんで俺はこんなところで寝てるんですか?というか試験は?」


その質問に3人が何やら複雑な顔をする。ジークが怪訝そうな顔で話かけてくる。


「何も覚えていないのか?」


「はぁ・・・試合の最中に頭の中から何か声が聞こえて・・・。あれ、そこからどうしたっけ?」


「声?」


レンが疑問の声を上げる。


「何か若い女の人の声が聞こえたことまでは覚えているんだけど・・・。ダメだ。そこから何も覚えてない」


何か頭に黒いもやがかかっているかのように思い出すことができない。とても綺麗で若い声だったのは覚えているのだが、それ以上のことが不思議とわからなかった。


「なにがあったのか教えてもらえますか?」


「別にかまわないが・・・あまりショックを受けるなよ?」





[二時間前]


剣を折ろうとしたジークの攻撃はひび割れていた木刀によって受け止められていた。


「な、うそだろ!!今の一撃をそんな状態の木刀で受け止められるずがねぇ!」


木刀は見る限りボロボロの状態にもかかわらず、ハヤトは大剣の振り下ろしの衝撃を見事に相殺させていた。さすがにジークもこれには驚いたが、よく見ると木刀の周りに黒い霧が薄く膜が張られている。


「ハヤト、その黒い霧は何かお前の魔法なのか?」


しかし、ハヤトは何も答えない。それどころか何やらさっきまで感じなかった殺気も少しずつ混じってきていた。表情を見ようとしたその瞬間、さっきまでの動きは手を抜いていたかのような動きで俺の手首目掛けて手刀を放ってきた。俺は何とかその動きを避け、反撃をするが軽くあしらうように避けられる。


「なんだ今の動き!まるで別人じゃねぇか!?」


さきほどまでの動きもかなりレベルが高かったが、今の動きは達人でもなかなかできない動作だった。しかも速度は段違い。本人が作りだしたのか、先ほどまでは木刀にしか纏わり付いていなかった黒い霧は木刀のみならず体全体に纏い付いている。表情を見ても何かに憑りつかれているような状態で、何か意図していないことが起きているのは一目瞭然だ。


「おい、ばばぁ!ちょっと止めるのに手を貸せ!!」


「その呼び方はやめなさいと言っているでしょう!後で、学園長室に来てもらいますよ!」


言葉は丁寧のままだが、ヴァネッサもすぐに異常に気づき束縛の魔法を唱え始める。


ジークは動きを止めるために加速の魔法を最大まで高め“本気”でハヤトの動きを止めるために背後に回る。その動きはハヤトの疾風と同じくレンの目には瞬間移動したかのように見えるぐらいの動きだった。


≪土よ 彼の者を捉えよ 土のアースバインド


ジークが後ろをとるよりも早くヴァネッサの魔法がハヤトの周りに展開する。どこからともなく現れた土が太い縄のように地面とハヤトの足、手、胴に纏わり付き体の自由を奪う。そのスピードはさすが学園長とでもいうべき速さだ。


(さすが、いい仕事しやがる!)


ジークは心の中で(滅多に思わないが)ヴァネッサに感謝し、ハヤトの首筋に手刀を入れ気絶させようとした。


この連携は騎士団でも使われる常套手段であり、シンプルかつ成功確率も高い戦術だ。大抵の人は無力化できるはずなのだ。さらにこの二人は世界でも上位に入る魔術師たちなのだから。




―――――しかし、ハヤトはその大抵の人の枠に入っていなかったらしい。




ハヤトの体に巻き付いていた土の鎖は黒い霧に触れた瞬間、その痕跡をまったく残さぬまま霧散していった。


「えっ!?」


ヴァネッサが驚きの声を上げる。それもそのはず、拘束系の魔法で土の鎖は初級魔法でありながらも構造は複雑で、熟練した魔術師でも解くのにはどんなに早くても数秒は必要なのだ。しかし今の解除は一秒もたってない。まさに一瞬の出来事である。まるで解除したのではなく、その現象そのものを消滅させたような消え方だったのだから。


「ジーク! 離れなさい!!」


それを見たヴァネッサがすぐに声を上げる。ジークは手刀を打ち込む寸前だった。




ジークは打ち込む寸前に目の前でハヤトに展開した魔法が一瞬で消えたのを見て動きを止めようとしたが、間に合わないと判断し逆に力を強めた。


(この霧に何の効果があるのか分からないが、効果が表れる前に意識を刈り取る!)


そして、ジークが霧に触れた瞬間、体から力が抜ける。いや“本来の動き”に戻った。


(これは、魔法の効果が切れた!?)


そう思った瞬間、ハヤトの蹴りが首めがけて襲ってくる。慌ててガードするが、最初に攻撃を貰った時のようにその蹴りはガードをすり抜けてきた。壁まで吹き飛ばされ意識を失う寸前にハヤトの「絶影蹴」という声が聞こえた・・・




レンはジークが吹き飛ばされるのをヴァネッサの横で見ていた。初めて出会ってからそんなに日は経っていないが、それでもハヤトという人物がどんな人なのか少しは知ったつもりだ。目の前で困っている人がいたら助けてしまい、冗談もたまにいうけど、根はまじめで優しい人だ。しかし、今、目の前にいるのはただ相手を倒すことしか考えていないハヤトの姿だ。その姿は本来の彼からかけ離れている。彼女はそんな彼の姿を見ていることができなかった。


「もうやめて!!」


彼女はジークとの彼の間に立ちふさがる。ヴァネッサの声が聞こえるが無視した。今は彼を止める方が大事だ。


「ハヤト! 正気に戻って!あなたはそんなことする人じゃないでしょう!?」


ハヤトは言葉が聞こえていないのかそのままこっちに向かって歩いてくる。その間ヴァネッサの魔法が何度か発動していたがすべて霧に阻まれる。


「あの時みたいに颯爽と助けてくれるのがあなたの本質でしょう!?元のあなたにも戻ってよ!」


ついに目の前までハヤトは歩いてきた。そして大きく腕を振りかぶる。レンは目をつぶった。


「・・・か・・・・輝夜・・・・・・」


「えっ?」


聞こえてきた声に目を開けるとハヤトは急に力尽きたようにその場に崩れ落ちた。体から出ていた黒い霧も同時に消え去る。


「いったいなんなのよ。・・・もう」


レンは倒れたハヤトを見てそうつぶやいた。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「ということがあったらしい。俺も途中から気絶しちまったから、所々はレン達に聞いたんだがな」


「それで聞きたいのですが、あの黒い霧はあなたが出したものなのですか?」


ヴァネッサが質問してくる。しかし、俺も記憶があやふやであまり覚えていないのだ。そういえばワイバーンのときも同じような状態だったな、俺。


「ちょっと、わからないですね。一度同じような感覚になったことがありますが、そこまでひどくはなかったですから」


「そうですか・・・」


その答えに彼女は何か考えるように手を頬に当てた。なんか困ったときにお婆ちゃんがやっていそうなポーズだな。


「何か?」


「イエ、ナンデモアリマセン」


今、目が笑っていなかったぞ、おい。


考えがまとまったのか、彼女は手を叩き音を立てた。


「とりあえず、試験内容のジークに傷を負わせることは、どういう経緯があったにせよ達成されていますので、ハヤト君の入学は許可しましょう」


「ほんとですか!?」


「えぇ、うそは言いませんよ。それと、調べものがしたいとも言っていましたね。そちらも便宜を図りましょう。生徒にはそれなりに協力しないといけませんしね」


よし、これでまずは、オーラについての問題と魔法について調べることができそうだ。


「とりあえず手続きはこちらで済ませますので、もう少し休みなさい。もうすぐ日が暮れます。ここに泊まれるようにしておきますので詳しいことはまた明日ということに」


外を見ると確かにオレンジ色だ。この世界にも夕暮れがあるのだと思うと、なんだかほっとした気分になるのはなぜだろうな。


「わかりました。ありがとうございます」


「いえ、こちらこそ。それでは」


そういうとジークを連れてヴァネッサは外へと出ていく。その言葉に俺は首をかしげる。


「ねぇ、こちらこそって言ってたけど何かしたの?」


「いや、俺も今それを考えたんだけど何も思いつかないんだよな。何のことだろ・・・」


残された二人はそろって首をかしげていた。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「ば、・・・学園長」


「何か?」


「ハヤトを入学させてもいいのか?確かに実力は折り紙つきだし、生徒にはいい刺激になるかも知れないが不確定要素が多すぎると思うぞ。あの黒い霧についてもよくわかっていないしな」


その問いにヴァネッサ少し間を置いたあと話始めた。


「ジーク、あなたは“創始記”を知っていますか?」


「そりゃ、この国の人間なら一度は聞いたことがある伝説だが」


「そうですよね・・・・まぁ、まだ私も確証が持てないのではっきりしたときに教えますよ」


「おい!そこまで言って止めるのかよ!」


「・・・もし彼が・・なら・・必要に・・・・かも・・・・」


「しかも聞いてねぇのかよ!!」


こんなやり取りをしながら二人は学園の廊下を歩いていく






――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


[同時刻]

ラマの森 最深部


「やっと見つけたぜ。最近姿が見えなくなったと思ったら、こんなところで殺られていやがった」


「けど、報告は随時送られているし、この先の拠点は見つかってはいないみたいね」


「まったく、何のためにこいつらを置いてると思ってんだか」


そうやってワイバーンの死体に男は蹴りを入れる。背は高い方だがそれよりも目がいくのはそれよりも長い背中に背負っている大剣だ。2mは確実にあるのではないかと思わせるその長さと大きさはどう見ても持ち主が振り回すことなどできないと思われる。


「それにしても何者かしら。切断面を見る限り只者ではないけれど・・・そんな人ならこの先の拠点を見逃すはずもないと思うのよ」


そんな男と共に行動している女は腰に短剣を2本挿している。しかし異様な輝きをしていてあまり近寄りがたそうな品なのは間違いない。


「どんな奴なのかは関係ねぇ。ただ俺と張り合うことができれば文句はいわねぇよ」


「まったく、あなたのその性格どうにかならないの?まだあれには時間がかかるらしいのだから、それまで公にならないように行動しないといけないことわかってる?」


「わーってるって。だから今のところは一緒に行動してやってるじゃねぇか」


「まったく。とりあえずこのことは彼に報告しに行きましょう。私たちの妨げになるかもしれない。失敗の可能性はできるだけ下げなければいけないわ。行くわよ」


「あいあい。了解ですよっと」


そうして二人はその場から離れた。




遅くなりました。なかなか投稿できなくでスミマセン<(_ _)>


さて、ようやく敵らしきものの存在を出せました。いろいろ布石は打っていくつもりですが、はたしてすべて回収できるかどうか・・・



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