第八話:試合
この小説は作者のノリと勢いでできています。
誤字脱字やここの展開おかしいだろ、と思うところがあれば遠慮なく言ってください。
更新は不定期ですがなにとぞ勢いで書いていますのでご理解ください。
試験という名の決闘が始まってから十分以上が経とうとしていた。俺はさっきから何度も木刀を打ち込んでいるが、ジークには傷を負わせることができずにいる。
さすがに木刀といえども強く打ち込めば痣一つはできるものだが未だ痣ひとつない。鋼鉄をたたいている気分だ。今はまだ速さで圧倒しているとはいえ相手の得物は大剣だ。一度でも当たれば負けてしまう。このままだといずれつかまる。
(チッ、これは俺にはだいぶ不利な試合じゃねえか。あの学園長、こうなることが分かってたからあんな顔してやがったな。)
俺はそう思いながらジークの振った剣を避けるついでに脇腹へ打ち込むが、それも弾かれる。
「そんな攻撃じゃ俺には傷はつかねーよ。俺のこの魔法《硬化》は真剣でも傷がつかない。鉄壁の二つ名は伊達じゃねーよ」
やはり魔法か。こんな世界だから本人の特性だの、もって生まれ持った才能とかで本人の意思とはまったく関係ない力であれば勝ち目はなかったが・・・。だが、これが本人の意思で起こっている現象ならまだやりようはある!
「かなりの力で打ち込んでいるんですが、すごいですね」
剣をおろして話しかける。
「おいおい、ギブアップか?」
「まさか。このまま打ち込んでも無駄でしょうから少し戦法を変えるんですよ」
そう言って、剣を逆手に持ちかえるとそのまま<疾風>を使ってジークの右側へと移動する。そして右手をその横腹へと押し当てた。
剣が当たるのだから、おそらく魔法で皮膚の表面に何か膜でも張っているのだろうと俺は予想し対策を練る。
これならどうだ!!
<衝破>
ジークの体が一瞬浮く。ギルド内でも使ったが、今度は本気で撃った。手ごたえはあるが・・・
と、悪寒がして後ろへと飛ぶ。
さっきまでいた場所を見るとそこには大剣が振り下ろされていた。一瞬でも遅れていたならば、くらっていただろう。
おいおい、ダメージ無しかよ!!
「いい技をもっているようだが、惜しいな。この魔法は対打撃、衝撃、魔法と便利にできてるんだよ。今度はこちらから行くぜ!」
すると、あの巨体でさらに大剣を持っているのにもかかわらず、かなりの速さで迫ってきた。
あの防御力で、それだけの速さで動けるってどんだけだよ!
悪態つきながらジークの剣をさばいていくが、徐々にハヤトの木刀に入っていたヒビが大きくなってく。
このままだと木刀を折られる。
“また”負けるのか俺は・・・
そう考えたとき自分の中から何か女の声が話しかけてきた。
――――――シュウチュウ、スルンダ
なんだ、この声は?
――――――キミニハ、モウ、チカラガ、ソナワッテイルノダカラ
どこかで聞いたことがあるような・・・
――――――ソノ、チカラヲ、ココニ、シメスンダ
[ジークside]
まさか加速の魔法まで使って戦うことになるとは思っていなかったな。硬化の魔法を使っていなければ、最初の一撃でおそらく気を失って負けていただろう。
これはあのばばぁに感謝しないといけねぇな。
俺は久々に本気で戦うことができて満足していた。打撃が効かないのが分かるとすぐに次の一手を打ってくる。身体能力の向上の魔法は放出系の魔法より高度なのに撃ってこないのが気になるが、何か理由があるのかもしれん。それにあの衝撃の技はなかなか強力だった。おそらくここの生徒ではほとんどの者が相手にならないほどの腕だろう。それをこの若さで手に入れるためにはそれなりの努力が必要であることも分かった。
だからこそ、負けるわけにはいかねぇな!
俺はヒビの入っている木刀を叩き割るために大剣を思いっきり振りかぶる。
「これで、終わりだぁ!!」
[ハヤトside]
ジークが木刀を叩き割ろうとゆっくりと迫ってくるのが分かる。そんな時にも関わらず、俺は自分の中に漠然と何か大きな力が存在するのに気付いた。さっきまでは何も感じることすらできなかったのに・・・。それなのに使い方がはっきりと手に取るようにわかる。俺はその力を使うためにその源の名を呼んだ。
「闇よ、此処に具現せよ」
大剣が振り下ろされると同時に木刀に黒い霧のようなものが纏わりついたと思うと、そのまま真っ向から受け止めた。
「な、うそだ・・・一撃を・・・態の木・・・受け止め・・・ずがねぇ!なん・・・!」
ジークが何か言っているがよく聞こえない
勝たないと・・・カタないと・・・カタナイト・・・
オレハ、モウ、マケラレナイノダカラ・・・
そこで俺の意識は途絶えた・・・・
評価してもらえると作者のやる気が上がります