表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

ひとコマ目

 ならやっておけば良かった。

 後悔先に立たず。疲れ果ててチンポも勃たず。おれはあの日に見た中で良いやつは居なかったと思い込む事で、自分の後悔を押し殺す事にした。


 指定された教室はすでにほぼ満席だった。

 おれは入り口で指定された一番後ろの席に座り、配布された教材を眺めた。

『わかる!身につく!人間教本』

『日常生活のしおり』

 あとは◯×形式のチェック表と存在提供意思カードのチラシ。

 これから2時間の違反者講習があるのかと思うとウンザリするが、ウンザリしたくなけりゃゴールド免許を保持するしか無い。

 おれの前にならんだウンザリしている背中を眺めながら、誰も彼もが何らかの違反者なのだと思うとさらにウンザリした気持ちになった。


 間も無く教官と思しき男が足を引きずりながら入ってきた。小声で「やぁ、どうもどうも」などと言いながら着席しているおれたちを窺っている。

「あの、すみません」

 声がした方を見ると、受講生の女が不安そうに手を上げていた。教官はやはり足を引きずりながら「はい、どうしましたか」と聞いた。

「あの、ここのフリーWi-Fiに繋いだら画面に失格と出たんですけど……」

「はい、画面に従ってご退出願います」

 教官は事も無げに言った。

「え、でも酷いじゃないですか」と女が抗議すると、教官は分厚いファイルを開いて「えぇとあなたは……135番さんね」と確認してメガネを上げた。


「まぁ酷いですね。でも決まりですから。これから2時間の違反者講習があるのにWi-Fi繋いでおくような人は、まぁダメですね」

 教官はそれ以上なにも言わなかった。女は尚も抗議しようとしたが、教室全体の雰囲気に気圧されてすごすごと退室した。

 女の気持ちが分からないでも無い。

 電波状況の悪い部屋だったので、頻繁に連絡を取ったりするタイプには不安だったろう。

 しかしたった2時間くらいだ。耐えられないなら然るべき機関に行くしか無い。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ