表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第二部開始】初心者マスターとポンコツコアの迷宮運営記 〜なんでもありの外道ダンジョンでも独立国家になれますか?〜  作者: 綴木春遥
第一部 ミストフォークと聖女の剣<上> 始マリノ歌 編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/80

022.脅威は最初から


「あら、シノミヤ。おかえりなさい。残機が残っていてよかったわねー」


 コアルームに帰還して早々、そんな言葉で出迎えられたとき、どう反応するのが正解なのだろうか?


「……とんでもない目に遭ったよ。なんなんだあの鹿。ていうか残機って何、俺本当に死んだの?」

「死んだのは未来のシノミヤだね。いくつもある未来のうちのひとつが壊されたの。だから今のシノミヤは死んでないよ?」

「つまりどういうこと?」

「あなた混乱しているわ」


 そりゃそうだよ。

 いきなりあんな訳のわからない生命体に出会って生々しい死の光景を見せられて、コアちゃんも怖いこと言うし。


「そういうことじゃなくて……そうね、シノミヤに伝わりやすく言うと"混乱"デバフ状態かな? 精神汚染、脳破壊。超越過負荷(オーバーロード)

「混乱に、脳破壊……寝取られたってコト!?」

「ある意味そうね、未来がひとつ」

「マジかよ」


 訳わからなすぎてネタで発言しただけなのに本当に寝取られたらしい。許せない。俺は寝取りは許せても寝取られるのは許せないんだ。


「ん? 今俺の思考がおかしいのも混乱のデバフのせい?」

「それは元からね」

「マジかよ」

「どこに疑う根拠があったのー?」


 このボール煽りよる。それにしても、コアちゃんはコアルームにいたのによく状況を把握してるな。


「ダンジョンの入口から外を覗く程度の視界はあるのよ」

「なるほど」

「そんなことより、あの鹿のことだけど……あれ多分、固有種だからもう相手にしちゃダメよー」

「固有種ってなんですかー先生ー」

「固有種っていうのはねー、この世界……惑星固有の特別な存在。シノミヤは危機感がないみたいだからもっと特別な言葉に言い換えるなら、星の獣。星獣ってところかな? どんな世界にも存在する頂点生物のうちのひとつ。この辺りだとあの鹿がそうみたいね」

 

 あんな存在がどんな世界にでもいる? 地球には居なかったよな? うーん、でも恐竜とかそうなのかな? そういえばフロリダの鮫は空を飛ぶらしいしあれも固有種……星獣か? UMAとか実在したのかな?


「ヤバい、頭がハテナでいっぱいだ。俺まだ混乱してるかも」

「それは元からだってば」

「それじゃあ俺がただの馬鹿みたいじゃないですか」

「相手が鹿だけに?」

「やめてよ」


 うまいこと言うな、馬だけに。

 お後が宜しいようで。


「まあ……なんだ、とりあえず今の俺たちにはあの鹿は手に負えないのはわかったよ。でも、オーバーロードって? 対策はあるの?」


 こちらから手を出すつもりがなくとも、既にあちらから接触されているのだから、次がないとは言い切れない。こちらが攻撃しないからと言って聞いてくれるのか。


「現状なし。アレを倒すなら全ての未来で死ぬこと……つまり、完全に自分が消滅する覚悟で戦うか、死んでも困らない駒を山のように集めて物量で押し切るか、かな? あとは、シノミヤが強くなればワンチャン?」


 未来が壊されるとか死ぬって比喩じゃなくてガチなのか……つまり、あと何回かあの幻覚を視たら死ぬ。幻覚のトリガーはあの音か? あれは詠唱(スペル)と考えればいいのか?


「ん、待って。俺が強くなるって何?」

「DPを使ってシノミヤを強化したらワンチャン、デバフをレジストできるかも?」

「いや待って、俺そんな仕様あったの?」

「言わなかったっけ?」

「言われてないと思うなー?」

「シノミヤの体はDPで創ったって言った気がするけどなぁ」

「言ってたわ」


 そうだ、確か初日の一番はじめにそんなこと言われてたわ。

 なんだったらあの日あの時、俺が耳にした鹿の群れの足音ってまさか四つ目鹿?

 え、星獣いたの? 初日から近くに? バカじゃないの?


「コアちゃん……」

「なーに?」

「なんでこんなところにダンジョン作ったんだよ!!」


 思わず叫んだ。

 ずっと思ってた。ニワトリがデカかった時から思ってた。けど、言わないように我慢してた。今更限界が来た。


「……私の意思じゃないもの。流れ着いたのがここだったのよ」


 どことなく、コアちゃんの光が薄くなり、しょげているようにも見える。コアちゃんが選んだ訳じゃない、その可能性だってわかってた。わかってたのに、飲み込んだつもりだったものを今更吐き出した俺が悪い。


「ごめんねコアちゃん。俺が間違ってた」


 あの日、一緒に楽園を作ろうと決めた。もう傷つけないと決めた。とっくに決めたはずの覚悟を取り下げるだなんてダサすぎる。


「俺、強くなるよ。頑張ってあの鹿たちを倒せるくらいに。だから……」

「——力が欲しいか」

「欲しい! 誰にも負けない力がっ! もう、俺は負けたくないっ!」

「——よろしい、ならばDPを集めよ」

「ですよねー」


 はい、コント終わり。

 もう、コアちゃんったらノリが良いんだから。


「やっぱ、ノリでシノミヤ選んだ良かったわ〜」

「あっはは、このヤロウ、おかげで大変な毎日だぜっ!」


 どのくらい大変かというと、ちょいちょい死にかけてる。

 しかも今回の敵はこの周辺の頂点存在と来た。

 まだ冒険者との戦いもこれからだっていうのに、これからは森の化け物たちとも生存圏を奪い合っていかなければならない……いや、それも含めて元からそういうものだったんだ、この人生は、きっと。


「まずは、何が奴らを呼び寄せる原因だったのかを突き止める。森の開拓か、狩りか。何が許されて何が許されないのかを探る。そしてその中で戦力を強化する」


 結局いつも通り。

 けれど、今回は明確な死の脅威が存在する。

 強くなる。

 全てのペースを上げなければならない。


「やるか、遠征」


 覚悟を決めた。

 そろそろあいつらも帰って来る頃だしな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ