表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/36

4

遅くなりました!!

幸せな気持ちになりながら銀行から出る。まだ日は高い。これからどこに行こう。

あ、そうだあの女の子達から聞いたマダム・ケリーのお店に行ってみよう。

彼女たちから聞いた行き方を思い出しながら道を進む。確か銀行の向かいの通りの3個目のお店だったはず。

数えながら進むとちょうど3個目にお洒落な看板がかかったお店があった。ここかな?


扉を開けるとチリンと鈴の音が聞こえる。奥のカウンターに1人の女性が立っていた。


「あら、いらっしゃい。」


女性が振り向く。丸い眼鏡をかけて優しそうな笑みを浮かべいた。


「可愛らしいお客様ね。何をお探しかしら?」


女性がこちらへ歩いてきた。彼女がケリーさんかな?


「街を歩けるお洋服が欲しいです。私の格好はほら…。」


ドレスの裾を持ちながらそう言うと女性はふわりと笑った。


「それならぴったりのものを探さないとですね。申し遅れましたわ。わたくしはケリーと申します。」


ケリーさんはお洋服がかかっている奥へ行き私を手招きする。


「こちらにたくさんお洋服がございますよ。きっと貴女にぴったりのものも見つかりますわ。」


彼女が手招くまま奥へと足を踏み入れる。そして息を飲んだ。


目の前には色とりどりのお洋服がずらりと並んでいる。可愛らしいのも綺麗なのもあるがどれもとても素敵だ。


気になったものをひとつ手に取ってみる。クリーム色のドレスでデザインはシンプルだがあしらわれているレースが上品だ。


「そちらがお気に召しましたか?」


「あ、えっと綺麗だなって思って。」


「ふふふ、ありがとうございますわ。ここのドレスは全てわたくしがデザインしているの。」


「そうなんですか!どのドレスもとっても素敵です!」


「ありがとうございますね、本当に。そうだわ。貴女にはこちらのドレスも似合いそうよ。」


ケリーさんが見せてくれたのは薄い青色のドレスだった。落ち着いたデザインは品の良さを感じさせるが所々にあしらわれたリボンが可愛らしさもプラスしている。


可愛い!


私は一目見てこのドレスを好きになった。ケリーさんは私の様子に気づいて笑みを浮かべている。


「これとこれお願いします!」


先程見ていたクリーム色のドレスも一緒にお願いする。


「かしこまりましたわ。どちらかこちらで着替えていかれる?」


「ぜひ!」


「かしこまりましたわ。お先にお会計させていただきますわね。」


ケリーさんと一緒に前の方へ戻り、カウンターでお会計を済ませる。ケリーさんは慣れた手つきでお洋服を畳んだ。


「どちらを着ます?」


「こっちでお願いします。」


クリーム色のドレスを選ぶ。ケリーさんは頷くと青色のドレスは袋にしまった。


「奥の扉が試着室ですわ。ごゆっくりどうぞ。」


ケリーさんからドレスを受け取り試着室へ入る。窮屈なよそ行きのドレスを脱ぎ、ゆったりとしたドレスに着替える。クリーム色のドレスは膝丈でくるりと回るとレースがふわりと舞って美しい。


動きやすいし可愛い!画期的すぎる!


さっきまであんなドレスを来ていたのが信じられない。夜会のドレスもこれでいいのでは。


試着室から出てくるとがやがやと店内が賑わっていた。

さすが人気店。


「お着替えお疲れ様です。あらとても可愛らしいですわね。」


ケリーさんが微笑みながらこちらへ来る。


「ありがとうございます。とても可愛いです。」


「ええ、良くお似合いですよ。よろしければ先程まで着ておられたお洋服も一緒にお包しますね。」


「いいんですか?ありがとうございます!」


ケリーさんに先程来ていたドレスを手渡す。彼女は慣れた手つきでドレスを小さく畳んだ。


「凄い…。」


思わず声を漏らすとケリーさんがふふふっと笑った。


「お嬢様は素直ですわね。わたくし昔王城でお針子仕事をやっていたこともあるので慣れているのですわ。」


ケリーさんは畳み終わったドレスをそれぞれ箱と袋に入れる。


「ではこちらが着ていらっしゃったお洋服と買われたお洋服ですわ。お気をつけてくださいね。」


「はい、ありがとうございました。」


ケリーさんから2つの袋を受けとると私は店を出た。


新しいお洋服で歩く街はなんだか違う気がする。自分のお金で買ったものなら尚更だ。


次はどこへ行こうかな?


自然と足取りが軽くなった。








ーーーーーーーーー





色々な店を見て回って少し疲れたので休憩することにした。しばらく歩いて良さげなカフェを見つけたのでそこに入る。


席に座りコーヒーを注文した。そしてさっき書店で買った本を開く。どうやらそれはミステリー小説のようだった。

しばらくしてコーヒーが届いたので飲みながら小説を読む。

けれど数ページ読み進めた辺りで手が止まった。隣に座る2人の会話が聞こえたからだ。


「そういえばさ〜ここにギルドの人達が来てるみたいなんだよね〜。」


ギルドという単語に思わず耳を澄ます。


「ギルド?あんたそういうの好きだったけ?」


「好きとかじゃなくて!有名らしいから!」


「有名?」


2人組の1人と一緒に私も首を傾げる。ギルドに有名とかあるの?


「そう!ギルドにパーティーってあるでしょ?それの有名なのが来てるんだって!」


「あんたそういうのよく知ってるよね…。」


もう1人が呆れながら言う。私はというとパーティーという聞きなれない単語の意味を必死に考えていた。


「それでね、そのパーティーのリーダーがめっちゃかっこいいらしいの!」


「それでか…全く…。いつも通りね。あんたは。」


「えー」


ギルドの話はそれで終わり2人はまた別の話題で盛り上がり始めた。パーティーという聞きなれない単語はあったが有名なギルドの人がこの国に来ているという有益な情報を手に入れられた。

少しの可能性にかけてその人たちにあってみるのもいいかもしれない。


ギルドについてはそこで考えるのをやめて私の意識は本に移っていった。




読んで頂きありがとうございました

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ