女の努力、舐めないでくださいね
初投稿です!
お気に召していただけるかはわかりませんが、感想などお待ちしております。
「私とおつきあいしてください」
ある日の放課後、私は彼を屋上に呼び出してそう言った。きっと彼は了承してくれる。そんな確信があった。何せ今まで自分はこの、ほかの人よりも一回りも二回りも整った顔立ちのおかげで、周りからちやほやされて育ってきたのだから。この私に告白されてOKしない人なんていないのだと、高を括っていた。
だからこそ、彼の返答に最初は戸惑いを隠せなかった。
「ごめんなさい」
「………………え?」
「聞こえなかったかな。付き合うことはできないって言ったんだ」
いったい何が起きたのだろう。何が何だかさっぱりわからない。
思わぬ返答に頭が追い付かず呆然としていると、
「そういうことだから、もう帰ってもいいかな」
そう言って彼はこの場から立ち去ろうとする。
「ちょ、ちょっと待ってください!!」
何とか意識をこの場に引き戻し、彼に一番聞きたかった質問を投げかける。
「私の何がダメなんでしょうか」
それを聞いて彼は一瞬目を丸くした。まさか私がそんなことを聞いてくるだなんて思いもしなかったんだろう。
「この質問には何の忖度もなく答えた方がいいのだろうか」
私はとある大手企業の社長令嬢だ。そのせいで周りは私に嫌われないように耳当たりの良い言葉ばかりを言い続けていた。だからこその質問だろう。けれど今の私にとって必要なのはそういった忖度による当たり障りのないものではなく、私個人に向けた客観的な情報なのである。だから私はこの問いに二つ返事で答える。
「ええ。もちろん」
ならば、と、彼は少し考えたそぶりを見せた後でこう言った。
「大きく言うと、全て、だ」
「…………は?」
「具体的に言っていこうか。まず最初に姿勢が悪い。女の子、特に社長令嬢として、ほかの人よりも周りからみられているんだという自覚が足りていないように思える。そして服装もだめだ。これも理由は先ほどと同じだが、そもそもどうしてそのような格好をするのか、僕にはよくわからない」
彼はものすごく正しいことを言っている。思い返してみれば、小さい頃からさんざん言われてきたことだった。私は社長令嬢なのだ。お父様たちがいないこの学校の中では、私がこの会社の顔として見られているなのだ。入学してからちやほやされてきたことに味を占め、自身のしなければならないことをしてこなかったことを、今さらながら彼によって気づかされた。
「た、確かに、入学してからというもの、姿勢や服装の乱れがあったことは認めますが、それだけでは全部という言葉にはなりませんよね。続けてください」
これはまだまだありそうだ。私は一言も聞き逃すまいと、彼の言葉に耳を傾けるのだった。
結局のところ、彼から言われた私の悪い点は、あれから約二時間もかけて話された。二時間も延々と自分の悪いところだけを挙げられたら普通の人だったら耐えられないだろうに、なぜかその時の私は全くそんな感情を抱かなかった。むしろその悪いところをどう直していこうか、そんなことばかりを考えていた。
「確認なのですが、もしこの欠点をすべて直すことができたなら、貴方とおつきあいすることはできますか?」
「どうだろう。それに関しては今の段階では何とも言えないな」
確かにそうだろう。ここでタラレバの話をしても何も変わらない。
ただ―と彼は続けた。
「もしも君の言う通り今あげた欠点がすべて直ったのであれば、この学校、もしくは君にかかわったことのあるすべての人が君のことを見直すだろう」
もちろん僕もね。と彼はとてもいい笑顔でそう言って帰っていった。
さてと。ここまでおぜん立てしてもらったんだもの、頑張りますわ!それに最後の彼のあの笑顔。本当に格好いいわね。あんなに言われたのに、むしろ惚れ直してしまった自分にびっくり。
彼は付き合ってくれるとは明言しなかった。しかしそうじゃないと言われた訳でもない。今まで怠ってきた分、相当に大変であることは覚悟の上ですが、もし折れてしまいそうになっても、この可能性が私を助けてくれるでしょう。
「大好きな彼に振り向いてもらうため」、たったそれだけの理由で、なんて馬鹿にする人もいるかもしれない。けれどそれで頑張れるのが女というものよ。
いつまでかかるかわからない。なんせ二時間以上も話されるほど多いのだ。一朝一夕で直せるほど簡単な話ではない。けれどきっと達成してみせる。
「女の努力、舐めないでくださいね」
もう姿の見えなくなった彼にむかって、私はそうつぶやくのだった。
作者、だいぶ自己満で書いておりますので、「この辺意味わからん」、「面白かった」、「つまらなかった」など、諸々感想受け付けておりますので、是非よろしくお願いいたします。次回作の励みになります。




