お義父さんとの絆
「むぅ…」
僕の目の前で、ユキカゼがテーブルに顎を乗せながら頬を膨らませている…
「おい、猫獣人族の儀式を知らなかったんだから、しょうがねぇだろ?」
「でも…好き、だから…」
「ん〜…なら、お試しで付き合うのはどうかしら?」
「えっと…はい…」
それで良いですよね?とユキカゼの母親に圧をかけられ、アオイは観念して了承する。
「二人で住む場所は…“あそこ”でどうかしら?」
「ん?あぁ…あそこならそれ程遠くねぇしな…ついて来い、住む場所に案内してやる」
そう言われ、アオイとユキカゼがついて行くと…そこには、ユキカゼの両親が住む屋敷程広くはないが、立派な2階建ての屋敷があった。
「アオイ、こっち来て…」
「う、うん」
アオイの手を引いて屋敷を案内しようとするユキカゼを、二人は温かい眼差しで見守る。
「…もう、婚約者が出来ちゃいましたね…時が経つのは早いです」
「あぁ、少し前までは俺達の後ろをついて歩いてたのになぁ…」
「今は…ふふ、昼間から寝室に誘っちゃって…」
「何ッ!?まだ早いぞッ!!」
ユキカゼを止めようと全力で走る背中を見て、ユキカゼの母親はくすりと笑った。
た、助かった…寝室に案内されてベッドに押し倒された時は危なかった。とりあえず、ユキカゼの暴走を止めてくれたお義父さんには感謝しかないです…
「うぅ〜…」
「まだ早い、まだ早いぞ…」
そう言って、ユキカゼを拘束しているお義父さん…流石です。また襲われそうになったら、そちらに避難させて貰えますかね?
「お、おう…いいぞ」
「ありがとうございます…」
本当に、本当にありがとうございます…まだそういうのは早いと僕も思うので…そう言うと、お義父さんは片手を出してきて、握手を求められました。
「お前もそう思うよな…」
「はい…」
僕はお義父さんの手を固く握ります。何だか謎の絆が…あ、ユキカゼの振り上げた足のつま先がお義父さんの顔にめり込んで…
「…これで、邪魔者は消えた…」
「お、お義父さーーーんッ!?」
「はいはい、まだ早いわよ?」
と、ユキカゼのお母さんが興奮してふーふー言っているユキカゼを宥めてくれました。きゅ、救世主様…
「いいわね、ユキカゼ…する時は相手が眠って油断している夜明け前よ」
「夜明け前…」
…きゅ、救世主様…?なんでユキカゼに夜の営みのレクチャーをなさっているんデスカ?
そんなこんなあって、その日の夜はユキカゼの両親と食事をした後、自分の屋敷の一室に機材を設置して研究室を作りました。
「とりあえず、これの研究を進めたいなぁ…」
アオイが片手に持ったその研究資料には、【星霊兵装】の文字が書かれていた…
やっと、次回でタイトル回収ができる