ユキカゼ
「はむはむ…〜〜〜ッ♪」
「…まだあるから、そんなに急いで食べなくてもいいよ?」
この吹雪の中で流石に見なかったことにできなかったアオイは、猫耳の少女を結界の中に入れて肉をせっせと焼いていた。
「ふぅ…満腹…んぅ…」
「…え、もしかして寝た?」
猫耳の少女は地面に横たわり、身体を丸める。暫くすると、すぅすぅと小さく寝息が聞こえてきた。
「テントに入れたほうが…いいよね」
アオイは猫耳少女を抱えてテントに入り、その日は一夜を共にした…
「…きて…起きて」
「んん…?」
アオイは猫耳の少女に身体を揺すられて目を覚ます。
「おはよう」
「うん…えっと」
「…ユキカゼ…私の名前」
「あぁ…おはよう、ユキカゼ…僕はアオイって言うんだ」
「アオイ…んにゅ…」
猫耳少女…ユキカゼは、アオイの服を軽く掴み、胸にすりすりと自身の頭を擦りつけ、上目遣いで見つめる。アオイは、撫でて欲しいのかな?と思い、その頭を優しく撫でる…すると、ユキカゼは嬉しそうに目を細めて、尻尾がふりふりと揺れる。
「…両想い…♪」
「ん…?」
(今何か、不穏なワードが聞こえた気が…まぁ、いいか)
何故か凄く甘えだしたユキカゼの頭を撫でながら、アオイは料理の支度をするのだった…
Q:ユキカゼは何をしたの?
A:猫獣人族に代々伝わる婚約を申し入れる儀式。
服を掴んで、頭を擦り付ける=貴方を愛しています。
上目遣い=貴方は私を愛していますか?(好きですか?)
頭を撫でるか、抱きしめるかした場合、了承したことになる。
拒否する場合は、掴んでいる手を離させるか、突き飛ばす。(突き飛ばす=触んなクソ野郎という意味なので、よっぽどのとき以外は基本的にあり得ない行為)