side 2 少しだけ変化を
ふー・・・勢いで二作も始めて良かったのだろうか…?(ヲイ
「クッ!?スケルトンが出たぞ!」
「ど、どうしよう…?」
あ~ぁ、雑魚モンスターを自負するオレ如きに此処までビクつくなんて…やっぱり潜り慣れてないパーティーなのかなぁ。。。
「と、とにかく行くぞっ!」
「「おおっ!!」」
あ~、作戦もへったくれもなく突撃ですか…オレ位なら通じるけど2階層に行ったら即全滅っスよ?
カタタタタッ!ガキンッ!
「ッ!?」…カララーン…
おや?もしかしてレベル激低!?
何か適当に振り下ろした骨剣に負けて剣落としちゃったよ…
「アビー!大丈夫かっ!?」
「た、助けてっ!」
「ま、待ってろよっ!!」
…どうしよう?
激弱なオレに負けちゃうとかトラウマにならないかなぁ…
でもこれも仕事だしな、仕方ないか
ヒュッッ、ザクッ!
「グッ!?」
「「アビィーッ!」」
「い、痛ぇ…よ、、」ドサッ
ゴメンな、アビー。
君に恨みはないけどコッチも仕事だからさ、
もし死んだら「お仲間」として復活してから仲良くしような
「アビーッ!?」
「よ…よくもアビーを!!」
あー…そんなに睨まないでくれよ
そっちも敵意剥き出しで飛び掛かって来てたんだからさ
お互い命のやり取りしてるんだから倒される確率は五分五分の筈だろ?
って言うかオレ達はどんなに憤っても迷宮飛び出して迄追っていかないのにキミ達はお宝目当てでわざわざ潜って来てるじゃん?
死というリスクを冒してまで迷宮に潜って来て殺されたらモンスターを恨むとか…逆恨みだよね?それ。
オレ達は潜って来ない一般人には襲いかからないけどキミ達は迷宮の中にいる人畜無害に近い雑魚モンスターでも嬉々として殺していくじゃん?
理不尽過ぎるよね?ソレって
「くっそ!死ねーーーっ!!」
ビュッ、ガキッ!
(っっ!?)
あ、斬られた!余計な事考えてたら背中からバッサリやられちゃったよ…
でも慣れてないのか、コアを壊されていないから死んでないや
オレ達モンスターは人間で言う所の心臓、つまりコアを壊さないと死ねないんだよな
レベルの低い冒険者や事前にちゃんと下調べして来なかった冒険者達は滅多斬りとかするから辛いんだよねぇ。。。
動けなくなる迄は戦って冒険者達を屠るのが仕事だからさ、ゴメンな?
カタカタッ!ヒュッッ、ザシュッ
「ギッッ!?」
「ド、ドルンーーーーーッ!!」
あれぇ?今回調子良いな?
2人目も倒せちゃったよ
後ろから斬りつけられた勢いで前に骨剣を振ったら目の前にいた冒険者の肩口に偶然斬り込んじゃった
てかやっぱりこんな低層に出る雑魚に殺られてる様じゃダメじゃね?
この間なんて迷宮内に生えてる薬キノコ採りに来た子供に瞬殺されたからね?オレ。
最弱レベルのオレに負けてたら子供以下って事になっちゃうよ?
「…よくも…よくもアビーとドルンをっっ!!!」
ブゥゥーーーーーンッッ!
あっ!物凄い大振り!
当たったら痛そうだなぁ…でも早く倒されてラッキー、かな?
。。。スカッッ!!!
「っ!!??」
(っ!!??)
カ、カタカタカタカタッ!?
ドシュッ!「グッ!?」…ドサッ
。。。はいぃぃ???
ぶ、武装した冒険者をさ、3人もやっつけちゃったぞ!!??
「…ヒュー…ヒュー…」
「「。。。」」
どどど、どうしよう???
カタカタカタカタッ!
(お隣さん!早くトドメを!)
へ?あ、あぁ。。。ザクッ
「ぐあっ!?」
オレは倒れて変な息が漏れていた冒険者の胸に骨剣を突き刺しトドメを刺した
━━━━━━━
カタカタ~、カタカタッ
(いやぁ、お隣さん凄いねぇ!)
カタ…カタカタ
(それほどでも。運が良かっただけだよ)
お隣さんは3人の冒険者達を屠った後始末を手伝ってくれた上にオレを褒め千切ってくれた
てかパーティーを全滅させたのって何気に初めてなんだよな
オレ達は冒険者の亡骸から装備や衣服を剥ぐと皮を剥ぎ肉をこそげ落とす
冒険者達の遺品は迷宮の主の下に送られドロップアイテムに還元され皮は偽装が得意なモンスターに、血肉はこれまた別のモンスターに転換されるらしい
骨は勿論オレ達の仲間になる
オレが生まれた時に迷宮主様から受けた訓辞━━━━
『この迷宮はキミの頑張りにかかっているから宜しく!』
━━━━完全には理解出来なかったけど迷宮ってのは100%自給自足ではなくて冒険者達の血肉や魂を取り込んで初めて成立するらしい
冒険者達は迷宮内に眠るお宝を、迷宮は潜って来た冒険者達の命を糧に
『ギブ&テイクってヤツだね』
迷宮主様の言ってる意味は分からなかったけどオレを含むモンスター達は自分達の存在を懸けて冒険者達を屠る事に尽力するってのは理解出来た
まぁオレみたいな雑魚は迷宮内でもお荷物的な存在なんだけどこんな存在でも冒険者達に
「お?この迷宮はチョロいぞ?」
と油断させる為に役立っているそうだ(迷宮主様談)
そんなオレが今日初めて死なずに迷宮の役に立てた
ちょっと誇らしくちょっと気恥ずかしかったけど…今後もモンスターとして迷宮の役に立てる様に全力で頑張っていこう!と心に誓った