side 1 変わらぬ日常
こんなのは勢いだっ!
と二作目を投稿してみました
良かったら応援してくださいませ
《グギェェェーーッ!》
あ~ぁ、今日の冒険者達は中途半端に強かったなぁ…
こっちは雑魚キャラなのに結構手こずってたからこの先苦労するんじゃね?
などと思いながら消滅していくオレは迷宮の一階層在住のモンスターだ
生まれては倒され生まれては倒されしている内にいつの間にか考える事(思考)が出来る様になっていた
オレは冒険者達の言葉で言う所の「スケルトン」と呼ばれるモンスターらしい
まぁそんな事は生まれ変わった後で良いか。
今は目の前で軽く肩で息をしている冒険者達の為にドロップアイテムを落としておかなきゃな
…ポトッ、
「チッ、またポーション(弱)かよ…」
「こんな階層でレアアイテムなんか出て来ないわよ?」
「まぁこんなんでも売れば小銭になるしな」
ちぇっ、折角アイテム置いてやったのに文句ばかり言って…
こっちだって好きでこんなサービスしてる訳じゃないんだぞ?
あ、もうそろそろ体が消えそうだ
次は…小一時間後かな?
今度は少し「お仲間達」と話せる時間が取れると良い…な…
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【ポンッ】
おっと、おはようございます
もう小一時間経ったのか、早いなぁ
えーっと…うん、今回は近くに冒険者達の気配はないみたいだ
折角だからお隣さんに挨拶して来ようっと。
トテトテトテトテ…
《カタカタカタカタ‼》
(お隣さんこんちはっ!)
《カタカタカタカタ》
(おぉ、お隣さん。お久しぶり)
※以降言語略※
(最近姿見せないから魂消滅しちゃったのかと思ってたよ)
カタカタと明るく笑ってくれるこのお隣さんもオレと同族、スケルトンさんだ
オレも他の魔物もそうだけど出現ポイントと行動エリアが制限されていて倒されると消滅、一定時間を経てリポップ(再生)されるという呪い?システム?か何かに縛られている
お隣さんのリポップ場所はどうも冒険者の行動エリアからズレていて結構スルーされる「好立地(?)」でオレ達魔物仲間の間では羨ましがられてる場所だったりする
(そうなんだよねぇ…最近冒険者達が多くて出現して直ぐに倒されちゃうからさ、こうして談話も出来ないんだよ)
(カタタッ、そりゃ御愁傷様。オイラは結構お目こぼしされてるから今日で3日位誰からも攻撃されてないわ)
(いいなぁ…羨ましいよ)
(そうでもないんだぜ?何か相手にされないまま突っ立ってるってのも結構腰にクるもんさ)
(そんなモンかな?)
カタカタと腰を擦るお隣さんにもお隣さんなりの苦労があるみたいだ
(そう言えば最近の冒険者達はドロップアイテムにケチつける輩か多くて嫌になっちゃうよ)
(あー、それな?確かにこんな浅い階層で何贅沢言ってるんだ?って話だよなぁ)
そう、ここは迷宮の第1階層
ちょっと頑張れは冒険者じゃない素人さんでも何とか歩き回れる程度の雑魚モンスターしか出現しないエリアなのだ
そんな所で「竜王の剣」とか「賢者の石」とかドロップされたらそれだけで大ニュースになるってのにポーション(弱)でも落として貰えるだけラッキーだと思わなくちゃ
(あ、そう言えば向こうのゴブリンさん達は最近見ないけどどうしたんだろう?)
(あれ?知らなかったの?結構前にブリーストがいる冒険者パーティーと戦ってさ、何か浄化されちゃったみたいだぜ?)
あらら、それは御愁傷様
基本復活(再生)するオレ達も聖職者が唱える浄化魔法で時々「成仏」させられちゃったりすると
復活もリポップも叶わず永久にこの迷宮からサヨナラになっちゃうんだよね…
まぁ延々と復活して殺される日々から解放されるという意味ではある意味幸せな事だよって言う仲間もいるんだけど…
結局成仏しちゃったらそれまでだもんな
存在が消滅しちゃうってのは嫌だな、オレは。
(あ、誰か来たみたいだから…またね、お隣さん)
(おう、気をつけろよ!って無理か、カタタッ)
お互い手を振って別れてオレは自分の「持ち場」に戻る
「っ!?出たぞ!スケルトンだ!」
「前衛は前に、いくぞ!」
あー、何か初々しさが抜けてない冒険者達だな…こりゃ結構手こずられる上にボコボコにされてヤられるパターンかな?
…なるべく手加減するから早く倒して欲しいよ