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雑魚モンスターの溜め息  作者: とれさん
10/11

side9 興味本位は怪我の元

ペースが疎ら過ぎてすんません

エビルデュラハン様直々のご指導と自己研鑽により半年程で己に身に付いた能力を十全に発揮出来る様になった


別の個体か?と錯覚する程爆上げされた身体能力

ドラゴン以上に硬い装甲に自己修復機能を備えた超絶装備

超肥大化したコアを媒介にした多種多様な魔法攻撃


もう何が何だか分からないレベルで強くなったオレは己の能力を自覚していく内に「驕り」が出てしまったのかも知れない


。。。


昔、邪竜の住まうと恐れられた空間でいつもの様に研鑽を積んでいるとある事をふと思い出した


━━━━━

『更に歴史を遡ると黒いマントを纏った金色の骸骨が世の人々を救って回った、という伝承もあるよ。確か・・・黄金バッ・・・』

━━━━━


迷宮主様が進化後に仰っておられたあの言葉…聞き間違えでなければアレはオレの起源を言い表そうとして放った言葉だった

残念ながら禁忌に抵触するとの事でエビルデュラハン様が未然に防いでしまわれて中途半端になってしまったが己の種の源流をつい知りたくなるのは仕方ない事だと思う。


だが事は禁忌に触れる大罪、調べようもないしあったとしても教えて貰える分けてもない

迷宮主様やデュラハン様の怒りに触れるのは流石に怖いのでオレなりにこっそり調べて見る事にしてのだった


━━━━━


ギュグルルア?

(メア様本日は何をお調べに?)


修練と指導を終え向かったのは最下層、迷宮主様のいらっしゃる執務室近くに設けられた「書庫」だった

この書庫には迷宮内で刻まれた様々な知識が自動的に書き留められ書物として保管されている

所謂迷宮版アカシックレコードとも言うべき重要施設であるが進化して昇進したオレは待遇が「エビルデュラハン様付き幹部候補生」扱いとなり殆どの施設は顔パスで利用可能になっていた


『えっと、少し調べ物をしたいので利用許可を』


ギュギュア

(承りました)


それにしても…いつの間にかオレの呼称が「メア」になったのには未だに違和感があるな…

ナイトメアスケルトンナイトという長ったらしい固有種に進化したのだから捩って「メア」と呼ばれるのは仕方ないけどどうもくすぐったい


書庫の管理人であるワイトの許可を得て改めて書庫内に入る

ソコには天井まで続く本棚とギッシリ並べられた書物、そして手前には調べ物をする際に有用な机と椅子が置かれるだけのシンプルな部屋が広がっていた


ズラッと並んだ背表紙から古代伝記の様なタイトルを選んで読んで行くと━━━━━あった!


『えーっと…「黄金バッ、、」』


見出しで見つけた目当ての文字を読もうとした直後、オレは意識を刈り取られた


━━━━━


うっ、う~ん。。。


『…こ、此処は…?』


『起きた?此処は執務室だよーん』


。。。え?何で???


『キミ、禁忌調べようとしたでしょ?アレ本当にアウトだからね』


『も、申し訳ありませんでした!』


いつも書類の山で埋もれている机の縁に腰掛けた迷宮主様が困った様にオレを見つめているので速攻で土下座した


『あはは…ボクもキミの目の前で失敗してたでしょ?書庫で禁忌を調べようとするとアイツに知らせる結界魔法が付与されてるんだよ』


『・・・アイツ?』


〈うおっっほんっ!〉


『ひっ!?』


てっきり2人だけだと思っていたがオレの背後にはデュラハン様が仁王立ちしていた


〈禁忌は触れてはならぬから禁忌足り得るのだ。知って尚踏み入るのはただの蛮勇だぞ?〉


『…申し訳ありません…』


オレがかなり凹んだのを見て迷宮主様が中に入ってくれた


『まぁまぁ、きっと自分の種のルーツを知りたかったんだよね?分かる分かる』


流石迷宮主様、言わずとも全てお察しだ


その後迷宮主様は禁忌ボリスのエビルデュラハン様の監視を掻い潜りながら金色の骸骨を抽象的に説明してくれた


『・・・という訳で本当に実在したかまでは確認が取れないんだけどね、伝承では危機に陥った人間達をソイツは助けていたみたいだよ』


『…はぁ、そうなんですか?』


話を聞いて更に訳が分からなくなってしまったが要は大昔過ぎて伝説は残されてはいるが種に対する陳述等は一切残されていないという事だけは分かった


『…分かりました!進化先がコレで気にはなりますが困る事でもありませんし迷宮主様の為に誠心誠意働かさせて頂きます!』


『うん、それが良いね』


迷宮主様と2人、納得していると


〈お前、禁忌に触れた罰を忘れてないか?〉


『…はい?』


その後オレはデュラハン様に引き摺られて例の中層大空間に放られ魔法特訓と称して滅茶苦茶しごかれたのであった。。。


━━━━━━


カタカタカタ?

(おい、お隣さん。随分とやつれたなぁ…何かあったのか?)


軋む体を何とか動かして持ち場の巡回をしているとお隣さんが心配そうに話しかけて来た


『あぁ、自分の欲求に負けてミスをしてな…デュラハン様に罰として連日しごかれたんだ…』


カタカタ…

(それは御愁傷様…)


活気を取り戻した低層は今日も大賑わいを見せている

そんな中巡回していても騒がれないのはオレの姿が隠形魔法によって隠匿されているからだ


冒険者達は直感を生かしてモンスター達と闘い時にレアアイテムを獲得しては大喜びしている

モンスター達もここ最近では他者との差別化を図る為にドロップアイテムに色々と工夫をする様になったそうだ


その努力が実ったのか、迷宮内部のエネルギーは満たされ余剰分がドロップアイテムに還元されるという好転を呈している


そろそろこの持ち場はオレなしでも回って行きそうだな…


後は中間管理者達に現状維持をして貰い問題があれば報告して貰うシステムを作り出そう


迷宮主様に頼まれた中層以上の活性化を死ぬ気でやり遂げる為に。

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