一話
のんびり書いていきます
感想・誤字脱字等お待ちしております
(ここは冒険者ギルド)
(冒険者ギルドというがその実態は冒険者崩れが仕事を探しに来るところだ。)
(僕もここに来ているということは……まあそういうことだ。ちなみに三日連続来ている)
(今の僕がこうなったのには理由がある)
(順を追って話そう。)
(今から大体40年前ぐらいに[ 護衛 ]の仕事の依頼が一気に増加したんだ。)
(なんでかって?)
(それは攻撃性魔力生命体、一般的には魔獣と呼ばれているヤツらがそこら中に現れ始めたからだ。
今も出現した理由はわかってないらしい)
(それと僕が仕事を探しに来ていることと何の関係があるんだって?)
(まあ話は最後まで聞けって。)
(それでさ、魔獣が現れ始めるまでは護衛の仕事なんて一部の貴族や王族が
遠くに遠征するときぐらいにしか使われていなかったわけだ。)
(当然、そんな不定期な仕事 本職にできるわけないから大体は傭兵だったり軍人だったりしてたんだ)
(けど魔獣が現れてからは貴族や王族の遠征はもちろん
商人とかも魔獣から輸送中の商品を守るために護衛を雇い始めたんだ。)
(するとどうなるかわかるだろ?)
(魔獣と戦える護衛の需要が急上昇。高給取りに早変わりだ)
(そもそも魔獣はそこらの魔物なんか比べ物にならないくらい強い。)
(奴らと戦える人材はとても貴重だし、重宝された。)
(魔獣が出現し始めて何年か経過したころに
国が対魔獣戦闘を教える学校を作ってさ、俺そこに入学したんだよ。)
(今から2年前に。)
(魔獣との戦闘は当然できるようになっていざ実践だ!ってなってたら、
ここ数年で魔獣の数が明らかに減ったんだ。)
(護衛の仕事は激減だよ)
(護衛に夢見て学校に入って毎日練習したんだけど
全然仕事にありつけなくて 今に至るってわけ。)
今日は何の仕事が見つかるかな そう思って掲示板を眺めてたらこんなものを見つけた。
[ < 急募 > : 戦闘員募集! ]
こう書かれた張り紙だった
掲示板の隅に貼られていたこの募集の紙をまじまじと見つめた
「 給料も悪くないし、なんならこれ雇ってくれるのか? これ結構いいかもな。朝早くに来たかいがあった」
他の人に先を越されないよう急いで張り紙の下にあった用紙を持っていき、ギルド受付に差し出した。
「この仕事受けます。受理お願いします」
そう言うと受付人の女性が驚いた顔をしてこう言った。
「えっ…この仕事ですか? あー…うーん…えーっと…もう少し考えたほうがよろしいと思いますけど…」
思わぬ反応に思わず「えっ」という声が出てしまう。
それを聞いた隣の受付人が僕の担当をしていた彼女の前に割り込んだ。
「いえ なんでもございません。 何もこの仕事に関して問題はありません。」
「えっ でもさっき…」
さっきの彼女の発言に疑問を覚え、いろいろ質問しようとしたが
「 この仕事を受理する場合はこちらの用紙にサインをお願いします。確認次第あちらに連絡いたしますのでしばらくお待ちください。」
「あぁ…そうですか。わかりました。」
早口と話の勢いで押し切られてしまった。
「まあ 仕事をゲット出来たんだし、良しとするか!」
少し不安な要素も残るものの仕事をやっと手に入れられたことの喜びでほっとしていた。
ギルドの隣にある公園で少し休憩し、今日早速仕事があるそうなので集合場所へ向かった。
歩くこと20分ほど、集合場所を目の前に驚きを隠せなかった
「ここが集合場所…?」
(ギルドからもらった地図を見ながら集合場所らしきところへと向かったのだが…)
「ここはどう見ても 図書館だろ…?」
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イグルベール国立図書館。
王都 イグルベールにある唯一の図書館であると同時に国内最大の図書館でもある
書籍の貸し出しはもちろん、貴重文書や古代の書物等の保管も行っている。
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「なーんで国最大の図書館が戦闘員なんか募集してんだ? あまりにもおかしすぎるだろ」
ギルド受付の彼女の言葉が思い出される
疑問と疑問がうまい具合に重なり合い、不安を煽る。
「 考えすぎかもな、なにか書物の回収とかだろ! とりあえす行くか!」
図書館に入館し、受付に話を通して、事務室に案内してもらう
「すいません ギルドから連絡を受けていると思うのですが…」
「あっ、もしかして新人の方ですか? 話は聞いております。どうぞこちらへ」
「ありがとうございます」
書庫を通り、奥の部屋へと入室すると司書らしき人と…なぜかとても風格のある老人…?が僕を待っていたようだった。
「 こんにちはー! あなたが新人の…えーっと…そう!アトラス君!遅かったね~」
眼鏡をかけた司書らしき人が元気良く話しかけてくる。
「 こんにちは。えっと戦闘員の募集って聞いたんですけど…ここって図書館ですよね? なにか関係があるのかなぁって思って…入り口前で迷ってました はは…」
「あーそういうことね よくあることだし大丈夫!仕事についてはこっちのおじじに聞いてね!
私は仕事あるからあとはよろしく!おじじ!」
そういうと彼女は部屋を出ていき、部屋には妙に風格のある老人と僕の二人きりとなった。
「 君…!」
「 はいっ!」
いきなり声を掛けられ変に声が裏返ってしまった
「 アトラス君といったな…私はアルベルト=ダス・ロタリオスだ。これからよろしく…だな。」
仕事について説明するからこちらについてきなさい。」
「 わっ わかりました!」
「はは… そんなに緊張する必要はないさ、仕事をするだけだ。」
そういうと机の左側にあるドアを開き、一緒に部屋をでた。
二人で歩く通路は他に人の気配が一切なく足音だけが響いていた。
しばらく歩いていると唐突にアルベルトが話し始めた。
「君はここがどのような施設か知っているかい?」
「え…国内最大の図書館で…」
「ああ、それは表の姿だな。」
「………ということは裏の姿があると?」
そう聞き返すとアルベルトが歩みを止めこちらに振り向いてこう言った。
「ここからは << ここに従事する >> ということを約束してもらえなければ話すことはできない。ここからの話は機密事項でな」
……どうする?
ここで断ったら…ということを考えると返答は一つしかない
そもそも仕事を求めてここに来たんだ。
そのくらいの覚悟はできている。
「約束します。」
そういうとアルベルトは手を差し出しこう言った
「そう言ってくれると思っていたよ。ありがとう。」
「いえ こちらこそ」
こうして握手をし、アルベルトは少し微笑むとまた前を向いて歩き始めた。
「こうして新しい人が入ってくるとまた少し楽しみが増えるな」
アルベルトはこう呟くと話の続きをし始めながらまた歩みを進めた。
「まず最初に断っておくが、ここの裏の姿は君が思っているような黒い組織ではない。」
「あの物言いだと物凄い黒いことをやってるものだとばかり… すいません」
「いやいや いいんだ。そう思っているとわかったからこそ最初に否定をしたんだ。」
「 で…一体ここで僕はどんな仕事を…?」
「ああ 肝心なことを話忘れてたな。簡潔に言おう。
<< 図書館内に出現する魔獣を制圧する >>これだけだ。」